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『ウスタード・ホテル』

2021年04月19日 | 映画(あ行)
『ウスタード・ホテル』(原題:Ustad Hotel)
監督:アンワル・ラシード
出演:ドゥルカル・サルマーン,ティラカン,ニティヤ・メーノーン,シッディク他
 
またしてもインド作品。だって好きなんだもの。
“インディアンムービーウィーク 2019"で上映された2012年の作品で、
DVD化希望の上位にランクインしてのDVD化。
TSUTAYA DISCASでレンタルしました。
 
主演のイケメン、ドゥルカル・サルマーンは、
南インドのマラヤーラムの映画界で活躍していた人気俳優で、
ヒンディー映画界にも進出したのだそうです。
舞台となっているのはケーララ州、公用語はマラヤーラム語。
マラヤーラム語もヒンディー語も英語も飛び交います。
 
ファイジは裕福なラザク家の長男。姉が4人いる。
実業家の父親アブドゥルはどうしても息子がほしいと考え、
毎年出産を余儀なくされた母親は体を壊して亡くなってしまった。
多忙な父親に代わり、姉たちがファイジの面倒を見た結果、
ファイジは無類の料理好きに育つ。
 
自分の後継者にするつもりのアブドゥルは、ファイジにMBAを取らせたい。
どこで取得するか考えるように言われたファイジは、いいことを思いつく。
これからの時代は観光。観光について学ぶためにスイスへ行くと。
それはいい案だとアブドゥルはファイジをスイスへと送り出すが、
実はファイジはスイスで一流シェフのもと料理を学び、
ロンドンのレストランで副シェフを務める話まで取り付けて帰国。
 
事実を知った姉たちは、父親が激怒するのを想像して大慌て。
そうとは知らない父親は、ファイジを良家の娘シャハーナと見合いさせる。
その席に至ってようやくファイジの野望を知った父親は案の定激怒。
パスポートを取り上げてファイジを追い出す。
 
ロンドンへ行けなくなったファイジは、祖父カリームに助けを求める。
カリームは“ウスタード・ホテル”という食堂を経営。
ファイジは食堂で働きながら、パスポートを取り返そうとするのだが……。
 
カーストの国なんだなぁと思います。
料理人の地位は低く見られていて、
カリームが料理人だったせいで、アブドゥルはいじめられてきた。
だから、自分は実業家として成功して、ファイジにもその後を継いでほしい。
アブドゥルにとっては息子が料理人になるなんて言語道断。
 
ファイジは料理が大好きだけれども、どこか大衆食堂を見下している部分があります。
自分が料理するのは一流のレストラン、金持ちの客相手。
その考えがカリームと過ごすうち、変わってゆきます。
 
終盤に出てくる、ボランティアで貧困者に食事を配達するシーンの話は強烈です。
現代にしてなお、そんな困窮状態があるのか。
このような試みが広がればいいですが、
でもそもそも金銭的余裕がなければこんなこともできないわけで。
こども食堂と同様に悩むところです。
 
人間の欲望は限りがないけれど、食欲は満腹になれば止まる。
胃袋を満たすのは簡単なこと。心も満たすのが肝心。

これを観ると絶対にビリヤニが食べたくなるにちがいない。

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