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『安魂』

2022年02月16日 | 映画(あ行)
『安魂』
監督:日向寺太郎
出演:ウェイ・ツー,チアン・ユー,ルアン・レイイン,北原里英,チェン・ジン,
   シャン・カンチョウ,サイ・ショウイ,ホウ・トウカイ他
 
京都シネマにて、『国境の夜想曲』の次に。
 
日中国交正常化50周年を記念して制作された日本/中国作品です。
原作者はチョウ・ターシン。監督は『こどもしょくどう』(2018)の日向寺太郎。
AKB48の元メンバー・北原里英が全編中国語で出演しているのも話題。
涙涙の物語を期待して観に行ったのですけれど。
 
唐大道は高名な作家。
妻の瑞英との間に授かった一人息子の英健に学歴こそすべてと説き、
英健がサッカーを楽しんでいた少年時代に都会へと引っ越し。
サッカーなど無意味だと勉学に勤しむことを強いて、
英健もその期待に報いて一流大学から一流企業へと就職を果たした。
 
29歳になった英健は、恋人の張爽を両親に紹介、結婚したいと告げる。
しかし大道は張爽が農村出身であることを理由に反対。
自分のせいで親子断絶してほしくはないと、張爽は身を引く。
 
張爽との別れに傷心していたそのとき、
英健は、目の前にいた日本人留学生の星崎沙紀が置き引きに遭うのを目撃。
咄嗟に犯人を追って捕まえた後、倒れてしまう。
 
病院に運び込まれた英健は悪性の脳腫瘍であることが判明。
手術の甲斐なく、「父さんが好きなのは、自分の心の中の僕なんだ」と言い残して亡くなる。
 
何も手につかなくなった大道は、ある日、路上で英健に生き写しの青年を見かける。
彼の名前は劉力宏と言い、父親と共に心霊治療所を開いていた。
英健に再会したい一心で、大道は降霊を頼むのだが……。
 
巷の評判はいたって良いようです。でも私は好きになれなかったなぁ。
実にイライラしました(笑)。
 
中国の父親像としてはこれが一般的なのでしょうか。
とにかく独善的で、子どもの気持ちなんてまったくわかっちゃいない。
自分の言うとおりにしてさえいればいいんだと決めつけている。
 
何ひとつ父親に背くことはしなかった英健が、
結婚相手だけは自分で見つけた素晴らしい女性を連れてきたのに、
育ちのレベルが違いすぎると父親は即却下。アンタ何様やねん。
 
息子が亡くなってから後悔したって遅い。
息子に瓜二つの力宏に出会い、贖罪の気持ちを見せたところで、ただの自己満足に思えます。
しかも心霊治療所は堂々の詐欺で、カモを探していただけなのですから。
 
詐欺とわかっているのに、力宏と会えなくなると贖罪の機会を逸するから認めたくない。
いい加減に目を覚ませという妻の言葉に耳を貸さず、詐欺師にカネなんぼでも払う。
 
もしかすると本当に力宏は英健だったのかもと感じさせるラストも、
父親にとって都合のいい解釈であって、私はシラけてしまいました。
 
まぁ、素直に「良い作品だった」と言える人のほうが善人でしょうね(笑)。
息子のいるお父さんの中には号泣する人もいるかもしれませんが、
これを観て感動する男性のことは私は信用できない。言い過ぎかしら。(^^;

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