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『WIN WIN ダメ男とダメ少年の最高の日々』

2012年10月16日 | 映画(あ行)
『WIN WIN ダメ男とダメ少年の最高の日々』(原題:Win Win)
監督:トム・マッカーシー
出演:ポール・ジアマッティ,アレックス・シェイファー,エイミー・ライアン,
   ボビー・カナヴェイル,ジェフリー・タンバー,バート・ヤング他

現在、シネマート心斎橋にて公開中ですが、
すでにDVDレンタルも開始されています。
『扉をたたく人』(2007)の監督による、またしても優しさの詰まった物語。
沈んだ心にちょっぴり元気を取り戻せそうです。

顔ぶれは実力派なれども地味であることは確かですから、
日本ではDVDスルーの憂き目に遭いそうだったところ、
ポール・ジアマッティが『ロック・オブ・エイジズ』のマネージャー役でちょい目立ち、
ほなら公開してみよか……っちゅう感じなのかと勝手に想像しています。

ニュージャージー州の小さな町。
高齢者福祉を専門とする善意の弁護士マイクは、不況のせいで仕事が激減。
事務所のやかましいボイラーやすぐ詰まるトイレを修理する金もない。
地元高校のレスリング部のコーチとしてわずかな収入を得る程度。

ある日、認知症の兆候が出はじめた資産家の独居老人レオがやってくる。
本人は自宅に住みつづけたいと主張するが、一人娘とは音信不通。
州が選出した後見人を付ければ、介護施設に入れられるのは目に見えている。

後見人になれば月額1500ドルの報酬を受け取れることを偶然知ったマイクは、
レオの付き添いで裁判所へ出向いたさい、自分が後見人になるとつい申し出る。
しかも、「自宅でレオの世話をする」という検事との約束を反故にして、
レオをとっとと介護施設に入居させてしまう。

主のいなくなったレオの自宅へ立ち寄ると、ポーチにたたずむ一人の少年。
彼はカイルという高校生で、オハイオ州からまだ会ったことのない祖父を訪ねてきたと言う。

カイルの話では、母親のシンディ、つまりレオの娘は薬物中毒で入院中。
行く当てのないカイルの面倒をしばらくマイク一家がみることに。
ところが意外や意外、カイルはレスリングの実力者で……。

“Win Win”とは、自分も勝ち、相手も勝つこと。
交渉や取引などにおいて、両者ともに利得を享受することを指すのだそうです。
切羽詰まってのこととはいえ、片方だけがオイシイ思いをしようとすれば上手く行かない。
けれども双方に利得があれば、交渉事は上手く行く。
マイクがそれをよくよく考えて、見せるワザは鮮やかです。

ぶっきらぼうなカイルがレスリング部で居場所を見つけ、
メンバーに徐々に受け入れられていく姿も嬉しい。
天井に貼られた紙、「これが読めたらフォール負け」は笑えますね。

私より年下とは思えないポール・ジアマッティ、かねてから大好きです。
ますます腹が出てきて、タイプとは言えませんけれど。
劇場ではなくDVDにて鑑賞しましたが、DVDは特典映像がなかなかの充実ぶり。
インタビューにうつむきかげんで答える彼は、意外にシャイなようで。

エイミー・ライアン演じるマイクの妻ジャッキーの母性に脱帽。
“We love you”、背中に向けて最高に効く台詞。

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