夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

『愛がなんだ』

2019年05月17日 | 映画(あ行)
『愛がなんだ』
監督:今泉力哉
出演:岸井ゆきの,成田凌,深川麻衣,若葉竜也,穂志もえか,
   中島歩,片岡礼子,筒井真理子,江口のりこ他
 
「109シネマズの日」にオンライン予約していたのは前述の『チア男子!!』のみ。
上映が終了したのは21:00だから、もう1本なんてことは考えないほうがいい。
なんぼ金曜日といえども、もう1本観たら帰宅は日付が変わる頃。
しかも翌日の土曜日は朝5時起きの予定だったから、早く寝たい。
迷ったけれど、ええい、ついでに観てしまえと、その場で本作のチケット購入。
 
今泉力哉監督だし、原作は角田光代だし、観たいとは思っていた作品です。
そして、迷った末に観てよかった。かなり好き。
冨永昌敬監督による題字にも惹かれます。
 
28歳のOL・テルコ(岸井ゆきの)は、友人の結婚式の二次会で知り合ったマモル(成田凌)にぞっこん。
つきあっているわけでもないのに、マモルから連絡があるたびに駆けつける。
飲みに行こうと言われれば行くし、買い物をしてきてくれと言われれば即座にOK。
ついでに頼まれもしない部屋の掃除までして、夜ふけにマモルから追い出される始末。
マモルの都合のいいようにされているが、マモルの顔さえ見られればテルコはいいのだ。
 
そんなテルコの様子を見て、親友・葉子(深川麻衣)は呆れる。
しかし葉子にはまるでテルコのような存在のナカハラ(若葉竜也)がいる。
ナカハラはただただ葉子のことが大好きで、葉子の頼みをいっさい断らない。
葉子から邪険にされても冷たくされてもおかまいなし。
 
マモルのことを最優先するうちに仕事がおろそかになり、テルコはついに会社をクビに。
再就職先として探すのは、マモルに呼ばれたらいつでも飛び出せる仕事。
 
ところがある日、マモルに呼び出されていそいそと出かけると、
そこには見知らぬ女性・すみれ(江口のりこ)が同席していた。
マモルより遥かに年上で、ヘヴィースモーカーで、がさつで、肌も荒れた女。
それなのに、どうやらマモルはすみれのことが好きらしく……。

恋愛は、五分五分の気持ちを持てる相手がいちばんいいと思っていると過去に書きました。
つきあってもらっているという気持ちと、つきあったってるという気持ち。
そのどちらか片方が強いとき、自分のことが好きじゃないと。
今もその考えは変わりません。
 
はたしてこのテルコはどうなのでしょう。
マモルは別にテルコのことが好きではない。ただの都合のいい女。
それをはっきりわかっているのかどうかもわからない。
わかっているのにわかりたくないから、気づかないふりをしているのか。
 
「やらせて」と言われて、バカみたいに嬉しそうな顔をしてそうしてしまう。
まったく見ていてイライラするのですが、
これが私自身であれば、自分のことをすごく嫌いなはず。
なのにテルコは自己嫌悪に陥っている様子もありません。
 
「いまどき、オトコで会社をクビになるなんてバカですよね」という後輩社員。
そう言われても「そうだよねぇ」と笑うテルコ。
彼女はこんな自分のことが嫌いなどころか、好きなのかもしれません。
嫉妬とか自意識過剰なところとか、嫌なところ丸見えな自分。
それでもそんな自分を可愛いと思っているふしがある。
あーバカだアホだと思うけれど、これが人間なのかなぁ。
 
好きで好きで仕方がない、その人自身になりたい、
それが叶わないならばせめてその人に会える友だちとか家族とか、なんでもいいからなりたい。
それぐらい誰かを好きになったことのある人なら、
アホじゃなかろかと思いながらもこの気持ち、わかるはず。
 
ほとんどの登場人物のことが好きになれないけれど、
ナカハラにだけはちょっぴり共感します。
 
愛って、ほんと、いったいなんだ?
なんでもいっか。そんな定義は要らないや。

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