夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

『芳華 Youth』

2019年05月24日 | 映画(は行)
『芳華 Youth』(原題:芳華)
監督:フォン・シャオガン
出演:ホアン・シュエン,ミャオ・ミャオ,チョン・チューシー,ヤン・ツァイユー,
   リー・シャオファン,ワン・ティエンチェン,ヤン・スー,チャオ・リーシン他
 
平日に休みを取り、京都・東福寺で女子会ランチ
12時に東福寺駅で待ち合わせていたから、その前に1本映画を観ることは可能だったけれど、
前日晩に『ドント・ウォーリー』、前々日晩には2本観ているから、
ええ加減、体がしんどい。無理をするのは止めて、10時過ぎまではごろごろしていました。
 
美味しくごはんを食べて昼酒も呑み、京都駅のイノダコーヒでお茶。
名古屋からわざわざ日帰りで来てくれている友人を見送って解散。私は大阪へ戻る。
 
まっすぐ帰ろうかなぁ、1本観て帰ろうかなぁとまた悩む。
どうしても観たかった本作は、この日観ておかなければ機会を逃しそう。
えいっ、観逃して後悔するのは嫌だから、しんどくても行ってやる。
 
文化大革命のさなか、1970年代の激動の中国が舞台。
原作は『妻への家路』(2014)のゲリン・ヤン。
あの頃、初恋を心に秘めて、あなただけをみつめていた――。」
このキャッチコピー、グッと来ませんか。
予告編から想像していた物語とは少し異なる青春群像劇でした。
 
文化大革命の末期、17歳のホー・シャオピンはダンスの才能を認められ、
軍の歌劇団“文芸工作団(文工団)”に入団する。
故郷ではつらい目にばかり遭ってきたシャオピンは、
新しい生活に夢と期待を抱き、意気揚々。
 
離れざるを得なかった実父に自分の軍服姿を見せたいと思っていたのに、
入団当日には軍服が支給されず。
支給を待てない、どうにも待ちきれないシャオピンは、
同室のリン・ディンディンの軍服をこっそり持ち出して写真館へ。
実父に送る写真を撮り、元の場所へ返したから大丈夫。
しかしそれがバレていじめられるはめに。
 
体臭がきついと陰口どころか面と向かって言われ、
ダンスのさいに組んでくれる相手もいない。
周囲になじめずにいる彼女に、唯一優しくしてくれたのが模範兵のリウ・フォン。
フォンに対して恋心が芽生えるが、フォンはディンディンのことが好きで……。
 
予告編を観た折、てっきりシャオピンが主役だと思っていました。
始まってみると、語り手は同じ文工団のエース的存在シャオ・スイツ。
彼女の目線を通してシャオピンやそのほかの団員のことが描かれ、
スイツ自身の切ない想いも。シャオピンとスイツ、ふたつの片想い。
 
青く切ない恋の話ばかりではありません。
1979年に起きた中越戦争が描かれるシーンは、『オーヴァーロード』よりもグロいほど。
全身にやけどを負ったり、手足がもげたりする様子に目を覆いたくなります。
 
故郷を抜け出せば幸せになれると思っていた少女が、
いじめに遭い、戦争を体験し、一気に英雄扱いされ、精神に異常を来す。
自分の想いを打ち明けられないままに迎える人生の終盤。
静かに実った恋が嬉しい。
 「すべての人々の輝かしい青春時代に捧ぐ」。
 
なぜフォンがディンディンみたいな性悪を好きになったかだけは解せませんけどね。(^^;

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする