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米国の銃社会 規制求める声にどうこたえる

2017-11-11 | 報道・ジャーナリズム

米西部ネバダ州ラスベガスの野外コンサート会場で59人が死亡、500人以上が負傷した10月1日の銃乱射事件から1カ月―。惨劇の衝撃がさめやらぬ中、5日にはテキサス州の人口900人ほどの小さな町サザーランドスプリングズの教会で26人が死亡し、16人が負傷する銃乱射事件が発生しました。米国内の銃による事件は、大学構内、福祉施設内、住宅地と場所を選びません。1992年にはルイジアナ州で、日本の高校生がハロウィーンでの訪問先で射殺される事件もありました。米国人の4割が銃所有もしくは銃のある世帯に住んでいる背景があります。

国民の懸念が広がる中

 ニューヨーク・タイムズ紙が伝えた米疾病対策センターの最新統計では、米国での銃による死亡者は2016年が3万8000人で、15年の3万6000人から2000人も増えました。2年連続の増加です。死者のうち約3分の2は自殺で、殺人と過失致死は約1万人となります。

 米国民の不安は高まっています。民間世論調査機関ギャラップがラスベガスの事件後に実施した世論調査では、自分か家族の誰かが銃撃事件の犠牲者になるかもしれないとの心配があるという回答が「非常に」「ある程度」を合わせると39%に上っています。

 そうした懸念は銃規制強化への強い要望となっています。同じギャラップの調査では、有権者の24%が銃規制で「同じ考えの候補者に入れる」、61%が「重要な要素の一つ」と回答し、合わせると85%が投票の際に銃規制を考慮に入れると回答しました。過去最高です。「主要問題ではない」は12%にすぎません。

 米国での銃規制は、悲惨な事件が何度も繰り返される中で、浮上しつつも進展がみられないのが現実です。

 オバマ前大統領は16年1月、銃販売店と比べて規制が弱かった見本市やインターネット販売でも販売店同様の免許を義務付け、銃購入者の身元調査を義務付ける規制強化策を発表しました。

 同大統領は規制強化を議会に呼び掛けてきましたが、共和党の反対で法整備が進まないため、大統領権限で可能な範囲での規制策として打ち出したものでした。

 規制に反対する共和党のバックにあるのが、トランプ大統領の支援団体でもある全米ライフル協会です。議会に規制策反対での献金攻勢をしています。

 テキサス州での乱射事件は親族間のトラブルが要因と言われていますが、トランプ大統領は訪日中の記者会見(6日)で「銃の問題ではない。メンタルヘルスの問題」と述べ、銃規制に背を向けました。ことし2月には、精神疾患を持つ人の銃購入の規制緩和につながる法案に署名しており、規制強化とは逆の方向です。

問われる大統領の姿勢

 米国では今、規制強化を求める世論にトランプ政権がどうこたえるのかが問われています。1年後には、上院議員の3分の1と下院議員全員を改選する中間選挙を控えており、有権者の判断も示されます。「人の命を守るため、議会とホワイトハウスは行動をとるべきだ」(バイデン前副大統領)などの声がラスベガスでの事件後高まっており、米国での銃規制が動きだすのか、注目されています。


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