米軍北部訓練場「返還」式が強行された22日、沖縄名護市では、13日に発生した、MV22オスプレイ墜落事故に抗議し、配備撤回を求める集会が開かれました。翁長雄志県知事は、県民の願いに応え、政府が招待した式典への出席を拒否するとともに抗議集会に駆け付けました。
![]() (写真)オスプレイの墜落抗議と撤去を求める緊急抗議集会。壇上右から2人目は翁長知事=22日、沖縄県名護市 |
県内政党や経済界有志、市民などでつくる「辺野古に新基地を造らせないオール沖縄会議」主催の抗議集会開始10分前、会場にあふれるほどの約4200人がつめかけた中に翁長知事が到着すると、知事の毅然(きぜん)とした姿勢をたたえる拍手が湧き起こり、しばらく鳴りやみませんでした。
翁長知事は「このような重大事故を起こしたオスプレイの着陸帯を造り、返還式典を強行した政府には、県民に寄り添う姿勢が全く感じられない。県民は新基地建設を断念させるまでたたかい抜くものと信じている。建白書の精神に基づき、辺野古新基地は絶対に造らせない、オスプレイの配備撤回の公約実現に向け、不退転の決意で取り組む」と力を込めました。
稲嶺進名護市長は「負けない方法をわれわれウチナーンチュは知っている。それはあきらめないことです」とのべ、知事を先頭にさらなる県民の団結を呼びかけました。
「オール沖縄」の県選出国会議員6人が相次ぎ発言し、日本共産党の赤嶺政賢衆院議員は「オスプレイの配備撤回と、着陸帯の全てを撤去させるまで翁長知事とともに頑張り抜こう」と訴えました。
「基地の県内移設に反対する県民会議」が呼びかけたスタンディングには、約400人が式典会場となった万国津梁(しんりょう)館前(名護市)の国道沿いに、開始の約2時間前から集結。200人超の警視庁機動隊による警備の中、横なぐりの雨でずぶぬれになりながら、怒りと決意を胸に「偽りの返還、まやかしの負担軽減は許さない」「高江の森を返せ」「オスプレイは日本、沖縄から出ていけ」のシュプレヒコールを響かせました。
返還式典の強行に抗議
沖縄県東村高江などに強行される米軍オスプレイパッド(着陸帯)建設と引き換えに、国頭(くにがみ)村と東村にまたがる米軍北部訓練場の「過半」が22日午前0時に「返還」されました。北部訓練場の総面積約7800ヘクタールのうち約4000ヘクタールの返還で、県内の米軍基地は約17%減り、在日米軍基地が沖縄に集中する状況も約74%から約70%になります。日本政府は同県名護市内で「返還式」の開催を強行。会場近くでは、「オスプレイが運用する新たな基地はいらない」などと全面返還を求める県民が式典に抗議するスタンディングに取り組みました。
(コメント) こんなにも理不尽に、こんなにも横柄な米軍や日本政府に対決している翁長知事に心から尊敬をこめて感謝をします。
オスプレイ飛行中止せよ
― 沖縄県議会 墜落に抗議決議 自民反対、公明・維新は退席
沖縄県議会は22日、「欠陥機米軍MV22オスプレイ墜落事故に関する意見書(抗議決議)」を与党(社民・社大・結連合、会派おきなわ、日本共産党)の賛成多数で可決しました。自民は反対、公明と維新は退席しました。
可決された意見書は、「墜落現場は集落のすぐそばに位置しており、一歩間違えば住民を巻き込む大惨事につながる重大な事故」であり、同じ日にオスプレイが普天間基地で胴体着陸を起こしていたことも「県民に大きな不安と強い衝撃を与えた」と墜落に抗議しています。
米軍トップの「県民や住宅に被害を与えなかったことは感謝されるべきだ」との発言に批判の声が上がっていることにも言及し、
(1)事故原因の徹底究明
(2)オスプレイの飛行を中止し、配備の撤回
(3)普天間基地の閉鎖・撤去と県内「移設」断念
(4)在沖海兵隊の撤退
(5)ニコルソン在日米軍沖縄地域調整官の更迭
―を求めています。
自民は、事故を「不時着」とし、オスプレイの県外への分散移転を求める独自案を提出しました。
日本共産党の渡久地修県議団団長が与党案に賛成し、自民案に反対する討論を行いました。
渡久地議員は、事故は墜落か不時着か、オスプレイの配備撤回を求めるのか―の根本的な点で与野党が一致しなかったことを指摘。墜落となると日本政府の責任も問われ、今後の訓練や自衛隊のオスプレイ導入に影響が出ることから、墜落や機体の欠陥を否定していると指摘しました。
女性殺害事件、オスプレイ墜落事故、さらに県民の声を無視したオスプレイの飛行の全面再開に県民の怒りは頂点に達しており、与党案は可決されるべきだと訴えました。
自民案は、自民会派の賛成少数で否決されました。