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米国のシリア攻撃 危険広げる「米国第一」の暴挙 ― 米市民・欧州・国連安保理からも抗議・批判の声

2017-04-11 | 国際ニュース・世界情勢

 シリア北部での化学兵器による攻撃で子どもをはじめ多数の死傷者が出たとの報道を受け、米トランプ政権は6日(日本時間7日)、シリア中部の空軍基地へ59発のミサイルを撃ち込みました国連安保理の決議もない国際法違反の攻撃は、シリアの化学兵器問題の解決につながらず、同国の6年に及ぶ内戦の終結をさらに遠のかせる暴挙でしかありません

調査と内戦解決に逆行

 化学兵器の使用は誰によるものであれ、人道と国際法に反する許されない行為です。しかし一方的なシリア攻撃は、米国自身の国連での主張にも反します。

 米国はミサイル攻撃の前、英仏とともに国連安保理に提示した決議案の中で、シリアでの化学兵器使用の責任者の特定と処罰を求め、化学兵器禁止機関(OPCW)と国連による、軍事施設を含むシリアでの化学兵器攻撃の調査を提起し、同国への軍事制裁には言及していませんでした。シリアは化学兵器禁止条約の加盟国であり、OPCWの調査が適切です。軍事攻撃はそれを妨げるものです。

 トランプ大統領は攻撃について、「化学兵器の拡散と使用を防ぎ、抑止することは、米国の国家安全保障上の死活的な利益」と正当化を図っています。ここには、シリアの人々がおかれた苦境の打開とは無縁の、国連憲章や国際法を無視した「米国第一」主義の危険が現れています。

 国連のグテレス事務総長は7日の声明で、シリア情勢の深刻化に懸念を示し、内戦には政治解決しか道はないと強調、すべての当事者の取り組みが急務だと呼びかけました。安保理の同日の討論でも、ミサイル攻撃を支持する英仏の一方で、」(グテレス氏攻撃への批判と紛争激化への警告や、シリア内戦終結のため米国とロシアに率直な話し合いと協力を求める意見(エジプト)が相次ぎました。内戦の解決は「テロとのたたかいの前進にも不可欠です。

 ところが安倍晋三首相は、いち早くトランプ政権の「決意を支持する」と表明しました。米国追従の極みで、内戦悪化をもたらす側に日本政府を立たせるものです。

 重大なのは、「東アジアでも大量破壊兵器の脅威は深刻」と北朝鮮の核・ミサイル開発を念頭に、トランプ政権の行動を高く評価したことです。自民党幹部からも「北朝鮮にかなり強いメッセージになった」「一定の抑制効果になればいい」と歓迎の声が聞こえます。

 しかし北朝鮮問題での軍事解決は、シリア内戦についてと同様、ありえません。米トランプ政権は、「すべての選択肢がテーブルにある」と、北朝鮮への軍事力の行使も辞さない態度を見せていますが、北朝鮮は「われわれは断固たる先制攻撃で徹底的に粉砕する合法的な権利がある」と反発しています。軍事対軍事のエスカレートにより朝鮮半島で紛争が起きれば、おびただしい犠牲が出ることは避けられません。

朝鮮半島での再現許さず

 安倍政権は、地域と世界に深刻な事態をもたらす軍事攻撃を米国に促すような態度はやめるべきです。北朝鮮には、国際社会の結束した経済制裁の実施と、外交交渉で核・ミサイル開発の放棄を迫ることが重要であり、日本は、そうした方向に進むよう米国に働きかけることこそ必要です。

 

ホワイトハウス前 ミサイル攻撃に米市民抗議

 トランプ米政権が6日、シリアの空軍基地に巡航ミサイルを発射して直接的な軍事攻撃を行ったことに対し、米国の市民・平和団体が7日、ワシントンのホワイトハウス前で抗議集会を開きました。「これ以上の戦争は嫌だ!」と唱和し、シリアの内戦などの問題は外交による解決を目指し、中東からの難民を受け入れることなどを訴えました。


 

写真

(写真)ホワイトハウス前でトランプ政権のシリアへの軍事攻撃に、プラカードや横断幕を掲げて抗議する市民=7日、ワシントン

 

 「戦争はこれまで解決にはならなかった」「テロリストを利する戦争に反対」「国境沿いの壁も難民の受け入れ禁止も、爆弾も地上軍投入も反対」などと書かれたプラカードや横断幕が掲げられました。平和団体の代表や大学生がマイクを手にしました。

 

 参加者のマイケル・ビアーさん(53)は、「トランプ政権の攻撃は議会などの承認も得ていないし、国際法違反で、愚かで間違った行為だ」と強調。「シリアで軍事的解決を目指してはいけない。全ての関係国が対話すべきだ。難民を受け入れることもわれわれの責任だ」と語りました。

 

 アリ・サバさん(30)は、「もちろん多数の市民の犠牲者を出した化学兵器の使用はひどいことだ。しかし軍事行動の強化は紛争の解決にはならない。交渉による政治的解決しかない」と訴えました。

 

国連安保理が緊急会合 法的正当性を問う声

 国連安全保障理事会は7日、シリアに対するトランプ米政権のミサイル攻撃を受け、緊急会合を開きました。米国の同盟国などが支持や理解を表明する一方、米国の単独行動に対して、批判や法的正当性を問う声も上がりました。


 国連のフェルトマン事務次長(政治局長)はシリア民間人の保護が最優先課題だとした上で、必要なのは「国連の諸原則に根差した緊急の行動だ」と強調。米国の軍事行動を暗に批判しました。

 緊急会合開催を求めたボリビアは、安保理がシリアで起きた化学兵器攻撃をどのように調査するか議論している時に、米国が一方的な攻撃を行ったことは平和と安定を脅かすと批判。「私たちは多国間協調主義を擁護するためにここにいる」と述べ、一方的な行動を禁じた国連憲章の尊重を求めました。

 ウルグアイも武力の非行使が国際関係の中心原則だとして、「わが国は常に一方的な武力行使を拒否してきた」と表明しました。

 米国のヘイリー大使は、化学兵器の「拡散と使用を阻止することは米国の利益だ」として、今回の武力行使は「完全に正当化される」と主張。「もっとやる用意がある。その必要が無いことを望む」と述べ、単独の軍事行動を重ねて実施する構えであることを強調しました。

 日本の別所浩郎大使は「米国がさらなる事態悪化を防ぐために昨夜取った行動を理解する」と支持しました。

 

 

欧州の左翼政党が一斉批判

 米軍のシリアに対するミサイル攻撃について、欧州の左翼政党は7日、国際法違反だとして非難し、シリア紛争の平和的解決に向けた努力が必要だと強調しました。

 ドイツ左翼党のワーゲンクネヒト、バルチュ両共同議員団長は、攻撃が「国際法違反」で「シリアの平和解決を遠ざけ、(過激組織)ISを喜ばせる」と非難しました。

 シリアで発生した化学兵器攻撃の全面解明を求め、ドイツ政府に「攻撃に反射的にトランプ政権を支持するのではなく、米ロ関係の安定化に努力すべきだ」と主張。「シリアの平和解決は国連安保理のもとで、米ロの参加によってのみ可能だ」としています。

 欧州左翼党のギジ議長は、シリアが米国を軍事攻撃しておらず、国連安保理の承認もないとして「攻撃は国際法違反だ」と指摘。化学兵器攻撃が誰によるものか未解明な現状で「だれが米国に世界の裁判官となって、罰を加える権限を与えたというのか」と批判しました。

 「米国とロシア、トルコ、サウジアラビア、イラン、そしてなによりシリアの全当事者が、戦争終結のために妥協を見いださなければならない」と述べました。

 英労働党のコービン党首はフェイスブックで「米国のミサイル攻撃は、シリア紛争をさらに激化させる恐れがある」と指摘。シリアの化学兵器攻撃という「戦争犯罪」には国連による緊急かつ独立した調査が必要だと指摘し、「一方的な軍事行動」ではなく、「ジュネーブ和平交渉の再招集と、話し合いを通じた紛争解決へのたゆみない国際的圧力が必要だ」と述べました。

 


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