もちろん、急いで取りに出かけた。阪急の甲陽園からはバスが出ていない。しかし、阪神の西宮駅に行けば森林公園行のバスがある。
西宮で菓子折りを買ってバスに乗り込む。細い曲がりくねった道を揺られながら、30分ほどで森林公園に到着。さっそく定期券を受け取った。本当に良かった。
ところが、問題は帰りである。森林公園は極めてバス便が悪い。1時間に1本しかない。阪急甲陽園まで歩いて帰ろうかとも思ったが、2キロほどもある。先日歩いたから新鮮味もない。ということで、小一時間公園の中を散歩したり本を読んだりしながらバスを待つ。
そして、やっとバスが到着。と思いきや高校生で超満員だ。
「わー、かなわんなー。まるで東京の山手線並みだ」。しかし、ここまで待って乗らない手はない。あきらめて「むぎゅー」と割り込む。
山道だからバスは右に左に大きく揺れる。そのたびに手すりを持つ手に力が入る。「この子たちは毎日、こんなギューギュー詰めのバスで通学しているのか」などと思いながら乗っていたら、突然、横のほうから女子生徒が「座られますか?」と声をかけてくれた。そして席を譲ってくれたではないか。なんと・・・。もちろん厚意に甘えた。
兵庫県立西宮甲山高校の生徒だ。森林公園に来る途中、甲山高校の前を通ってきたから間違いない。定期券が戻ってきたこともうれしかったが、席を譲ってくれる生徒がいたことはもっと嬉しかった。甲山高校、いい教育しているね。帰ってから、早速校長先生宛に「こんないい生徒がいました」というお礼の葉書を出しておいた。
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