こんなタイトルを掲げるとお叱りを受けそうだが、一般的に、男性より女性のほうがおしゃべりである。(ただし、あくまで一般論ということで、ハイ)。これは、「母親が子どもに母乳を与えながら言葉を教えるため、神様がそういうふうに仕組んだ」と何かで読んだことがある。もしそれが本当なら、女のおしゃべりは育児の大切な技能ということになる。
しかし、時には母親のおしゃべりが子どもに災いとなることがある。母親が子どもの言いたいことを全部先回りして言ってしまい、いつまでたっても子どもの表現力が身につかないことがあるからだ。 それだけ世の中が忙しくなったということかもしれないが、そうやって育てられた子どもはどうなるか。
高校生になってもまだ、職員室にやってきて、「先生、しんどい」とぶっきらぼうに言ったまま突っ立っている生徒がたまにいる。「それで?」と聞き返すと、ようやく「帰らせてほしい」と用件を言う。また、授業に行くと、「先生、プリント」と単語だけを言う生徒がいる。「プリントがどうしたの?」と聞くと、前の授業で休んでいたので、その時配ったプリントがほしいということだとようやく分かる。こうした事例は最近とくに多い。ある高校生が電車の中で携帯電話で話をしていた。そのときの会話である。
「ゲッ」
「ウッソー」
「キモー」
友達同士ならこれでもコミュニケーションが成り立つかも知れないが、友達以外で同じようにやられたらたまったものではない。
私たちが日常生活でよく使う単語は3000語程度、新聞や雑誌が読めるためには3万語が必要であると言われる。しかし、今は大学生でも語彙数は1万5千語から2万語くらいに落ちているらしい(『日本語練習帳』大野晋 岩波新書)。高校生が新聞を読めないのは当然なのかも知れない。
家庭でも、「フロ」「メシ」「ネル」の3語ですます父親がいるらしいから(笑)、母親のせいばかりとは言えないかもしれないが、子どもがきちんとした主語・述語のある日本語を喋るように、家庭でも学校でも、じっと我慢して言わせることが必要である。
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