その後ロヒンギャ(ラカイン州のイスラム教徒)に対する弾圧をめぐって、スーチー氏に対する国際的な批判が高まった。最高顧問たるスー・チーはいったい何をしているのか、というわけである。中にはノーベル平和賞を取り消すべきだという意見もあった。しかし、今回のクーデター(2020年2月)を見て、ようやくスーチー氏がなぜロヒンギャへの人権侵害を食い止められなかったかが理解できた。
簡単に言えば、スーチー氏には実権がなかったということだ。民政に移行したことでミャンマーは民主化されていたと思われていたが、実は2008年に制定されていた憲法では「国会議員の25%は国軍最高司令官の指名による」とされ、事実上の軍人枠が設けられ、軍が大きな政治的影響力を保ったままだったのだ。
スーチー氏はこうした軍部の権力をそぐための憲法改正をもくろんでいた。これが軍部の反発を呼び、今回のクーデターになったというわけである。スーチー氏の一刻も早い解放を望む。(イラストは AERA 2021年2月15日号より転載)
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