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「今回はちがう」シンドロームによるバブルの生成とその崩壊を契機に、銀行危機、通貨危機、インフレ危機を経由して対外債務・対内債務のデフォルトを引き起こしてきたのが金融800年の歴史である。著者はこのことをデータで実証している。主に欧米を中心とした分析であるが、日本語版への序文として次のように書いている。
1942年に、日本はその長い歴史の中で唯一の対外債務デフォルトを起こした。戦後インフレの際には、日本のインフレ率は最高で568%に達した。1992年から始まった日本の『失われた10年』が特異なのは、力強い回復がまったく認められなかったことにある。
日本の『失われた10年』の全体像は、金融危機前後の年に多くの国が経験したこととさしてちがわない。民間の借り入れの大幅増と資産価格の急上昇に続いてマクロ経済の破綻と政府債務の急拡大が起きるのは、どれもきわめて典型的な症状である。
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異常な状態が長く続くと異常とは思わなくなる。そして"This time is different" の理由を探し始める。本当に「今回は違うのか?」。これからの日本経済を考えるうえで参考になる1冊である。この本を読んだあと、早速、資産の一部をドルに移し替えた。