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mimi-fuku通信

このブログを通して読み手の皆様のmimiにfukuが届けられることを願っています。

『粋(いき)と野暮(やぼ)』を学習し、『日本人気質』を探求する。

2010-05-30 23:15:00 | 文芸・思想・書物


 今日も、
 粋(いき)にこだわって“粋”について考えてみた。
 知人や友人に粋の意味(イメージ)を求めた所、

 イメージされる“粋”の用途は多様であり、
 “いきな
振舞、いきな言葉、いきな服装、いきな部屋、
 
いきな小道具(日用品)、いきな色、いきなデザイン(意匠)”

 普段の暮らしから連想される“粋”の共通したイメージとして、
 (いき)=くどくなく、あっさりとした行動や品物。
 と感じる。

 粋(いき)の反対語(対義語)に野暮(やぼ)がある。
 粋と野暮が一般生活で使用される例として、
 ・粋  =垢(あか)抜け、遊び慣れ、後を引かない、江戸っ子気質。
 ・野暮=真面目、融通が利かない、我を通す、無理を吹っかける。
 ・野暮ったい=場を弁えない、田舎っぽい、スッキリとしない。
 等と解説できる。

 “粋=いき”の意味に含まれる“遊び慣れ”は、
 <遊里・遊興に精通>していることとされ、
 遊郭(廓)が存在した時代の庶民と遊女との関係を表わしている。
 現代社会での生活で遊郭(ゆうかく)について知ることは難いが、
 噺家:古今亭志ん生さんの速記本に、
 遊里での男性の心得に通じる一説が紹介されている。
 『落語:おせつ徳三郎』から、
 「入山形に二つ星(最高級)の花魁(おいらん)を買うには、
 芸者から幇間(たいこ)にまで気兼ねをし随分と無駄な金を使って通い続け、
 いざとなったら向こうを向かれても喧嘩にならない。」

 つまり、
 「我が身のできる限りを遊女に尽くしても必ずしも遊女が振り向くわけではなく、
 振り向かない遊女の心を怨んで喧嘩などしない粋(いき)。」
 となるのだろう。

 「いき」の構造を著した九鬼周造さんが述べる
 “諦め=独断的な執着から離れた瀟洒として未練のない恬淡無碍の心”
 に通じる一例として貴重な噺(はなし)だと感じる。
 
~恬淡無碍(てんたんむげ)=あっさりとして欲がなく妨げのないこと。

 林家正蔵さんの『火事息子』の枕(まくら=本題に入る前の話題やつかみ)に
 「江戸の世の火消しというものは火がでると真っ先に駆けつけるのが粋な者。
 ただしそれが遊郭となると話は別で町火消しは燃えるままに観ていたそうです。
 火事で(遊女達の)仕事ができなければその間だけでも身体が休まるだろうと、
 気を利かしたものだそうです。」
 との一説があったと記憶している。

 <遊里・遊興に精通する粋>とは、
 男性の女性に対するの心遣いと(結果がどうあろうと)後を引かない、
 “引き際のよさ”こそが“粋の真髄”とされたのだろう。

 “さっぱりと後を引かない引き際”こそが、
 九鬼周造さんが述べる諦(あきら)めに通じる。
 と同時に、
 「入山形に二つ星(最高級)の花魁(おいらん)を買うには、
 芸者、幇間(たいこ)にまで気兼ねをし随分と無駄な金を使って通い続け、
 いざとなったら向こうを向かれても喧嘩にならない。」

 に読み取れる物や金銭に執着しない江戸っ子気質は、
 “江戸っ子は宵越(よいご)しの銭(ぜに)は持たぬ。”に通じる。
 私はこの言葉を是まで、
 “職人は宵越しの金(かね)は持たぬ。”と記憶してきた。
 ~江戸っ子(職人)は貯金や蓄財を野暮としその日に得た金はその日に使うこと。
   江戸っ子(職人)の金離れのよさを自慢げに語る言葉。

 
私が“職人は宵越しの金は持たぬ。”と記憶していたのは、
 “手に職があれば明日の生活の心配をする必要がないのだから、
 稼いだ金をその晩に使い切る腕自慢の職人の自信と心意気の表れ。”
 との話を地元の大工さんから聞いたことがあるからだ。
 ただし、
 誰もが明日への不安を抱く現代社会では、
 “宵越しの金は持たぬ”と言える者(職人)は少ないであろうし、
 “宵越しの金を持たぬ”は現在では褒め言葉にはならない。
 
 また、
 金離れのよさを表す言葉として前回の記事で紹介した、
 このお金は私の懐(ふところ)にあるべきお金じゃないのよ。”
 <記事:九鬼周造著「いき」の構造を読み“粋な行動”を学ぶ。>
 
は名言で古典落語の噺にも、
 『唐茄子屋政談』
 「人にするんじゃネェ。みんな自分にするんだ。」
 『火焔太鼓』
 「商人(あきんど)というものは、儲ける時に儲けておかんと今度は損ができん。」
 あるいは、
 「商人は損をする時もあるから儲けられる時に儲けておけ。」
 とある。

 粋と感じる庶民的回答としての
 “引き際のよさ=さっぱりした様”こそが“粋の真髄”とされる意識は、
 “散り際のよさ”に通じるのかも知れない。

 日本の美意識に深く浸透する“散り際(散り様)の美学”
 日本人が自然を愛でる時に欠かせないのが桜と紅葉
 花が咲く(色が付く)美しくも短い期間を終えると一斉に落下する桜と紅葉。
 日本人が好む演題:赤穂浪士(忠臣蔵)での浅野内匠頭や四十七士の死は、
 桜の散り際を連想し
何時の時代かを明記することはできないが、
 武士道が旨とする「潔さ」と「桜の散り様」が結びつけられたことは、
 その後の軍国主義に強い影響を与えたと人伝に聞いたことがある。
 
 軍歌に読み取れる歌詞で象徴的な、
  同期の桜』
 ♪貴様と俺とは同期の桜
   同じ兵学校の庭に咲く
      咲いた花なら散るのは覚悟
    見事散りましょ国のため。
 は、
 日本人に根付いた粋(いき)な精神の拡大思考ではないかと考えさせられる。
 しかし、
 『同期の桜』に読み取れる“自己犠牲”を頑なに否定することは虚しく、
 現代の日本人気質にも深く浸透する自己犠牲(極端な痩せ我慢?)の本質は、
 相手(軍国主義の場合は味方)=他人を思いやる気持ちである。
 同期の桜』の時代の自己犠牲はナショナリズム(国家主義)に傾倒し、
 現代の世界(先進各国)が目標とする国際協調にはほど遠い愛国思想が、
 現代教育を受けた者(戦後生まれ)には理解され難いのだと感じる。

 話を進める上で、
 “粋(いき)の持つ欠点”が見え隠れしてきた機会に、
 “野暮を擁護”してみよう。

 
九鬼周造著:「いき」の構造で説明される野暮は、
 野暮(やぼ)は野夫(やぶ)の音転であり、
 野人田夫(やじんでんぶ=世態に通じず人情を理解していない)の意味。
 また同著では、
 「私は野暮です。」
 
と本人が言った場合には野暮であることに自負(自信と誇り)が生じ、
 粋を選ぶか野暮を選ぶかは趣味の相違であり価値判断は有しない。
 と言及し、
 さらに、
 文化的存在規定を内容とする一対の意味が、
 一は肯定的に言表され他は否定的言葉に冠している場合には、
 公共的園内に於ける相対的な価値判断を推測することができ、
 合理、不合理という語は理性を標準とする公共圏内でできた語である。
 
 私の言葉で置き換えるなら、
 「私は野暮。」
 との言葉は開き直りではなく粋(いき)の持つ引き際の否定である。
 自分という存在を主張したい時に粋(引き際)は決して味方にはなってくれない。
 粋の語が持つ“諦め”がルールへの服従に通じる場合を想定する時に、
 “粋”が持つであろう連帯感は“受け入れる者”と“除外する者”に分けられる。
 「私は粋でなくても良い。」
 との考え方が片方に存在しなかれば粋(いき)は成立しないし、
 思考の固定は(環境変化に応じた)ルールの改正を望むことを拒むだろう。

 再び九鬼周造さんの重要な意見(抜粋)を記入すると、
 文化的存在規定を内容とする一対の意味が、
 一は肯定的に言表され他は否定的言葉に冠している場合には、
 公共的園内に於ける相対的な価値判断を推測することができ、
 合理、不合理という語は理性を標準とする公共圏内でできた語である。

 つまり、
 
粋と野暮のように相対する言葉の意味の、
 片方(仮に粋)が肯定的に言葉として使用された場合に、
 他方(仮に野暮)は否定的な言葉として人々に印象付けられる時、
 そうした言葉を使用する地域(環境)の価値観や思想が推測され、
 (相対する言葉の意味の)善や悪、正や否を語(言葉)の中に見出すことは、
 家庭や地域や国家等の集団生活(公共圏内)で造作された語(思考)である。
 再び私の言葉に置き換えるなら、

 公共圏内(国家、宗教、民族、風土)で暮らす人々が、
 (公共圏内で)良い言葉と悪い言葉を色分けすることで、
 ある言葉に“象徴的な意味付け”がなされ、
 反対することが難しい環境を作ることは、
 集団生活(公共性)の場には多々みられる。
 
~代表例として『天皇』の名称を利用した軍国思想。
 と理解すべきだろう。

 日本人の気質とは、
 農耕民族特有の集団生活が生活の基盤にあったことや、
 長期に渡る士農工商の封建制度内で息衝いてきた暮らしが、
 個人(自分)の思いを封じ込める処世術を身に付けたのかも知れないし、
 土着性の強い集団生活の中で相手を思いやる気持ちが深く浸透し、
 やがて自分(個人)の思いを押し込める集団思考が根付いたと考えられる。
 ただし、
 日本人の思いの押し込めが暗く重苦しくないと感じられる理由は、
 相手の気持ちを慮(おもんばか)る思考が人々の心の癒しとして、
 安心感(人と人との信頼)となっているからだと推測できる。
 ~ここまでの話は昭和の時代までの日本人気質。

 現代(平成以後)の日本人気質は粋や野暮とは違う合理性が闊歩し、
 其々が欧米的(特に米国的思想)な“自分の幸せ”を第一に追求し始めた。
 それが間違っているとは断言できないが、
 自分の思いを追求する社会は相手の気持ちが自分に向かないことも指摘でき、
 現代の日本人気質に多くの方々がギスギスしていると感じられるとするならば、
 他者に対する配慮が相互に不足した社会が築かれようとしているからだろう。
 
~その本質(日本人気質の急速な変化)についてはまたの機会に。

 5回に渡って記述した“粋=いき”についての私の考え。
 まだまだ尽きぬ思いはあるがこの辺で幕を引く。

 「面白かった。」が正直な感想だ。


 <ブログ内:関連記事>
 4)『九鬼周造著:いきの構造』を読み『粋(いき)な行動』を学ぶ。
 http://blog.goo.ne.jp/mimifuku_act08/e/5fcc2e1fe15aef11caf2928e01154f03

 3)白洲次郎の伊達(だて)と白洲正子の粋(すい)を観る。
 http://blog.goo.ne.jp/mimifuku_act08/e/379e8178c29d7983d922f9effa5c827e

 2)『粋(すい)と粋(いき)と通(つう)』:粋人と通人の意味を考える。
 http://blog.goo.ne.jp/mimifuku_act08/e/16fde21d9a7cd5d0336e06b0227ac1ea

 1)『雨音を楽しむ』:日本文化(日本人の精神)と音の関係。
  http://blog.goo.ne.jp/mimifuku_act08/e/f9ef76c825dfaeedd837ff7ac9dff246

 

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『九鬼周造著:いきの構造』を読み、『粋(いき)な行動』を学ぶ。

2010-05-28 00:00:00 | 文芸・思想・書物


 5月20日頃から思うところあって3冊の本を並行に読んでいる。

  ・九鬼周造:「いき」の構造
  ・桂 文楽:芸談・あばらかべっそん
  ・古今亭志ん生:志ん生長屋話
   
~「いき」の構造は再読。

 思う所とは短期マイ・ブームとしての粋(いき)についての学習。
 昨晩(26日)、
 行きつけの居酒屋で“粋とは何か?”について意見を交わした。

 店主が考える粋とは、
 「ネチネチと他人の事情に深入りをしないこと。」
 ママさんは、
 「清潔で話し上手な人。」
 お客のAさんは、
 「パリッとした服装で身のこなしが軽い人。」
 お客のBさんは変わった意見で、
 グラスにお湯を先に入れ上から焼酎を注ぎ込み、
 
「鹿児島ではこれが粋なんだよ。」

 私が粋(いき)に興味を持った理由は中期マイ・ブームの落語。
 『志ん生長屋』から<三軒茶屋>の一説。
 「江戸時代には火事は鳶職(とびしょく)が請け負ったもので、
 “他人の財産を守るため自分の身体が黒焦げになるともかまわねぇ”
 と言うような意気(粋)がありますから普段は言葉が悪くなる。」

 桂文楽さんの『芸談・あばらかべっそん』から<雪の夜ばなし>では、
 「ある大雪の晩に来るはずの噺家の到着が遅れて高座に穴が開く。
 やって来た連中は20分の噺を30分、35分と話を繋ぐが限度がある。
 雪に億劫になりヌク(無断欠席)輩も多くさらに穴が開く。
 見習いの私も引っ張り出され覚えたての『道灌』を3度やらされた時には
 聞いているお客さまもさぞ辛かったことだろうと泣きたい思いでした。
 半ベソで楽屋を下りたら身も知らないお客さんがスーッと私の傍に来て、
 “おい、若えの。ご苦労だったな”と手も切れるような一円札を、
 3枚くださった時には嬉しさに夢見る思いでした。」
 と書かれている。

 この文書を読みながら“私が粋と感じた経験”を思い出した。
 私が20代の頃にある展示会の会場で同席した旅館の女将さんを、
 車で自宅にお送りした時の降り際に点袋(ポチ袋)を手渡されたので、
 “何ですか?”
 
と中身を確認すると丁寧に折られた千円札が3枚入っていた。
 “そんなつもりじゃないですよ。”
 とお戻ししようとすると、
 “タクシーに乗っても同じくらいかかるでしょ。
  このお金は私の懐にあるべきお金じゃないのよ。”
 との言葉を気に入って家に帰って家人に話すと、
 “旅館は心付けを貰うのが通例になってるからじゃない?”
 と素っ気ない返事。
 しかし、
 “私の懐(ふところ)にあるべきお金じゃないのよ。”
 の言葉に感じた粋(いき)は生涯忘れないだろう。
 
 私は5月20日の記事に
 粋(いき)とは公共性を重んじる庶民行動のことで、
 野暮(やぼ)とは自分中心にモノを見る着眼と行動。
 
~粋(すい)と粋(いき)と通:粋人と通人の意味を考える。
 と記入した。

 ここで、
 九鬼周造著:『いきの構造』について考えてみよう。
 『いきの構造』は昭和5年に雑誌「思想」に掲載された論文で、
 1、序説。
 2、「いき」の内包的構造。
 3、「いき」の外延的構造。
 4、「いき」の自然的表現。
 5、「いき」の芸術的表現。
 6、結末。
 からなっている。

 現代人の視点で読むと著作として推薦できる作品ではないと感じるが、
 「いき」について作者が考え得る多面な角度からの分析に頭が垂れる。

 個人的には、
 <第2章:「いき」の内包的構造>に注目したい。
 作者が考える「いき」の定義は、
 “垢抜けして(諦)、張りのある(意気地)、色っぽさ(媚態)。”
 となる。

 意気地(いくじ)を「いき」とする定義は、
 「いき」とは、
 江戸児(えどっこ)の気概であり生粋(きっすい)を江戸児の誇りとする、
 江戸文化の道徳的理想の反映と位置づけ、
 “江戸の花”には(志ん生さんの噺にもある)命をも惜しまない町火消。
 鳶者は寒中でも白足袋裸足、法被一枚の“男伊達”を尚(とうと)んだ。
 さらに文書は、
 「いき」のうちには溌剌(はつらつ)とした武士道の精神が生きており、
 “武士は喰わねど高楊枝(たかようじ)”の心はやがて江戸者の
 “宵越しの銭は持たぬ。”の誇りとなったと続く。

 垢抜け(あかぬけ)を「いき」とする定義は、
 
「いき」とは、
 “あっさり、すっきり、瀟洒(しょうしゃ)たる心持”であり、
 この“あっさり、すっきり”への解脱(げだつ)は諦(あきら)めに通じる。
 男女の纏わる色事や恋沙汰の煩悩は、
 <真心が裏切られたりする経験>や<歳を重ね浮世から遠ざかる事実>等、
 世間に揉まれながらも
 “諦め=独断的な執着から離れた瀟洒として未練のない恬淡無碍の心”
 を覚え垢抜けしていく。
 “野暮も揉まれて粋となる”
 の意味は野暮(=執着)が経験を重ねることで垢抜け(=諦め)すること。

 媚態(びたい)を「いき」と定義は、
 
時代の特徴であり遊郭があった時代の遊びとしての歓楽や異性との交遊。
 現代社会の男女同権の視点とは懸離れた「いき」に戸惑いを感じる。

 「いき」の構造では、
 「いき」とは日本人特有の独特な民族性を持った言葉(行動形態)だと位置づけ、
 自然な情景(季節や人の振舞)や日本人が好んで用いる意匠(デザイン)や、
 衣服や建築物まで「いき」が活用される言葉の意味を事細かく説明している。

 九鬼周造さんの著作を読んで感じることは、
 「いき」と言う二文字の内に含まれる様々な意味の違いや感じ方の違いは、
 言葉(日本語)を使用する者として単語が持つ曖昧さを痛切に思い知らされる。
 例えば『愛国心』と誰もが口にするが『愛国心』が持つ意味は様々だろう。
 言葉は言葉巧みな者に利用され易い特徴を持ち、
 さらに言葉は、
 人の人生ばかりでなく国家の将来すらも左右する特徴を持つ。
 
 現代に生きる日本人の特徴として言葉の意味を深く理解せずに、
 単語の持つイメージ(印象)に左右されている人達を多く見かける。

 また、
 現代に生きる日本人の特徴として数字に対し非常に敏感に反応し、
 自分を平均値に置きたいとする願望を強く感じる。

 私は5月20日の記事中に
 粋(いき)とは公共性を重んじる庶民行動のことで、
 野暮(やぼ)とは自分中心にモノを見る着眼と行動。
 と記入した。

 公共性を重んじる粋(意気=心の動き)とは、
 “他人の財産を守るため自分の身体が黒焦げになるともかまわねぇ”
 ではないし“自己犠牲を理想とする考え”は利用されやすく危険だと感じる。

 私が考える公共性を重んじる粋(いき)とは、
 “おい、若えの。ご苦労だったな”
 であり、
 “私の懐(ふところ)にあるべきお金じゃないのよ。”
 である。

 仕事や作業に対する労(ねぎら)いや感謝の気持ちを言葉にしたり、
 報酬や心付け(お礼)が持つ循環を平成に入って社会は否定し続けてた。
 1990年以後の平成の世の日本の低迷を考えるキーワードとしての、
 “粋(いき)が持つ意味”“粋(心意気)の喪失”

 では、
 粋の意味を知る上で重要なキーワードである野暮(やぼ)とは何か?
 “野暮は揉まれて粋となる。”
 
九鬼周造さんが主張する野暮とは、
 “独断的な執着に傾倒し未練たっぷりで欲深いこと。”
 
となるのだろうか?

 執着(しゅうちゃく)の意味は、
 <深く思い込んで心が離れないこと。思いが捉われること。>
 それは1990年以後の日本に於いて何を意味しているのだろうか?

 日本的風土に急速に入ってきた合理主義の波は社会構造を変えた。
 大きな理由としてのデジタル技術の発展による社会変化が挙げられる。
 来る波(社会変化)を止める事はできない。
 そうした中、
 誰が(これまでの手法に)執着し続けているのか?
 また止めることのできない社会変化に相応しい制度とは何か?

 デジタル社会(IT社会)が
発展し続ける中で、
 “粋な行動”を目の当たりに学ぶことを今後益々難しいと感じるが、
 将来への不安が鬱積(うっせき)する世知辛い世の中でさえ、
 “公共性(他人を意識すること)を重んじる庶民の粋は失わないで欲しい。”
 
と心から感じるし、
 私自身が“粋=公共重視の姿勢”を心に抱いて生きたいと思う。

 
 <ブログ内:関連記事>

 5)『粋(いき)と野暮(やぼ)』を学習し『日本人気質』を探求する

 http://blog.goo.ne.jp/mimifuku_act08/e/500a0fa9ad7b12bd8220d7529e6cc56c

 3)白洲次郎の伊達(だて)と白洲正子の粋(すい)を観る。
 http://blog.goo.ne.jp/mimifuku_act08/e/379e8178c29d7983d922f9effa5c827e

 2)『粋(すい)と粋(いき)と通(つう)』:粋人と通人の意味を考える。
 http://blog.goo.ne.jp/mimifuku_act08/e/16fde21d9a7cd5d0336e06b0227ac1ea

 1)『雨音を楽しむ』:日本文化(日本人の精神)と音の関係。
  http://blog.goo.ne.jp/mimifuku_act08/e/f9ef76c825dfaeedd837ff7ac9dff246

 

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『粋(すい)と粋(いき)と通(つう)』:粋人と通人の意味を考える。

2010-05-20 22:00:00 | 文芸・思想・書物

 
 
一昨晩(おととい)の記事、
 “雨音を楽しむ:日本文化(日本人の精神)と音の関係”
 は文字にしていて思いの外に楽しかった。

 文末の言葉となった、
 粋人達は求める道具(モノ)にお金を惜しまずつぎ込み、
 粋人達の道具(モノ)に対するこだわりは職人魂を刺激した。

 は本文の書き出しには考えてもいない結論だった。

 では粋人とは何だろう。
 広辞苑で調べると粋人=すいじんと読む。
  “粋人=すいじん”の意味は、
 ~風雅を好む人。世態、人情に通じた人。

 粋の漢字を当
ブログではこれまで粋(いき)と読んできた。

 “粋=いき”の意味は、
 ~意気から転じ気持ちや身なりがさっぱりした様子。
 ~人情の表裏に通じ、特に遊里・遊興に精通していること。
 
~反対語は野暮(やぼ)。
 
 “粋=すい”の意味は、
 ~まじりけのないこと。
 ~すぐれたもの。
 ~人情に通じ物分りがよいこと。
 
~反対語は無粋(ぶすい)。

 粋の文字に秘められた言葉の意味。
 では粋人で解説されている、
 “風雅=ふうが”とはどんな意味があるのだろう。
 ~詩歌、文書の道、文藝。
 ~広義に詩歌、連俳、絵、茶。
 ~雅なこと、俗でないこと、風流。

 さらに、
 “人情=にんじょう”の意味を調べると
 ~自然に備わる人間の愛情、いつくしみ、なさけ。
 ~人心の自然の動き。


 粋(すい)に関連した言葉で通(つう)がある。
 “粋や通”は趣味人を表わす言葉として使われることが多い。
 そこで粋に通じた
 “通=つう”の意味を調べてみると、
 ~ある物事について知り尽くしていること。
 ~人情や花柳界の事情をよく知り、さばけていて、野暮でない人。
 となる。

 通には通人との言葉もあり、
 “通人=つうじん”の意味は、
 ~世間の物事をよく知る人。
 ~人情の機微に通じた人。
 となる。
 
 上記の言葉の説明は一昨日の記事中の、
 現代社会における“使い捨て文化”に潤いがないと感じる理由は、
 日本文化の源流だった風流や粋(いき)の文化(精神)を、
 日本人が捨て去ったからなのだろう。
 
との私の拙文の言葉の真意を確認するための作業だった。

 粋人(すいじん)達は求める道具(モノ)にお金を惜しまずつぎ込み、
 粋人達の道具(モノ)に対するこだわりは職人魂を刺激した。
 の意味を私は技術革新の源泉である”と文字にした。

 使い捨て文化(社会)の中にモノ(道具)に対する愛情を感じることはできない。
 我国に残されている歴史を紐解いて見ても所有者の道具に対する愛着と、
 供給すべき職人達の道具にそそぐ情熱は並大抵のものではない。
 
 歴史上の偉人や粋人達はモノに生命を与えるべく職人達を育てた。
 実例は枚挙に暇はなく、
 織田信長や豊臣秀吉は各地に城を建て<狩野一族>を重用し、
 徳川(三代)家光は<東照宮>や<初音の調度>を世に残し、
 権力者の飽くなき欲望は職人達に完全・完璧を求めた。
 ~時代々々の権力者達の心の動きを粋(いき)とは決して呼ばない。
   しかし注文者の希望に応えるべく研鑽した職人達の心意気=粋(いき)。
   残された優れた文物は後の職人達に大きな刺激と自信を与え続けた。  

 時の権力の贅沢は一見すると無駄遣いのようにも見えるが、
 権力者達が職人達の研鑽に対し出費を惜しまなかったことで、
 明治の開国の折に<世界に対し交換すべき物品>を提示することができた。
 ~万国博覧会での日本の技術に対する高い評価とその後の貿易。

 “戦国の世”の後の“太平の世”では庶民の暮らしにも潤いが与えられ、
 文化の発展(庶民の暮らし)は街中の職人のレベルをも高めたと考えられる。 
 粋(いき)の文化とは天下泰平の世の都(特に江戸)で咲いた、
 “庶民達の助け合う心意気”が根底にあるのだろう。
 
 地方での農民の暮らしは相変わらずの貧困に喘いだと考えられるが、
 京の都や江戸の町での<洛中図>に見られる暮らしは明るく楽しい。

 日本の(名のある)家系では脈々と道具(モノ)を末代に伝える慣習があった。
 先祖代々が口にした一碗の茶碗を現存する家族で茶を楽しむ文化。
 昨今では父親が高級な機械式腕時計を息子に託す例も増えていると聞く。
 元々は着物や箪笥等の生活用品も末代のためにと大切に保管(形見分け)され、
 裕福な家系の人心は今の幸福だけでなく“末代の幸福”すらも考慮に入れた。

 現在の“場当たり的な合理主義”の対極にある、

 日本人にとって粋(すい)とは、
 
少しだけ自分の思いを我慢しても、
 他人の幸せを考慮に入れる心意気。
 だと私は考える。

 話を戻そう。
 粋人(すいじん)達は求める道具(モノ)にお金を惜しまずつぎ込み、
 粋人達の道具(モノ)に対するこだわりは職人魂を刺激した。
 
の言葉の意味は、
 適材に適当の報酬を与える=正当な代価を市場が熟慮する。
 
であり、
 そうでなければ市場経済に潤いを齎すことはできない。

 2010年:我国のデフレ事情の問題は個(自分)を中心とする野暮の蔓延。
 ・自国や地元に関係なく1円でも安くモノを手に入れたいと考える個人心理。
 ・物品を保持せず“安価なら買い替えれば良い”との安易な購買行動。
 ・他人が儲けることは許さない=自分が儲かることも許されない。
 等の考えは<天に向かって吐くツバ>のようなものだろう。

 粋人や通人と呼ばれる人達の思考は、
 ・人と人との係わりを重んじ多少の数字(価格)の違いには気にも留めない。
 ・物品を手に入れる時には吟味するも手に入れた物品は末永く寵愛する。
 ・人に施しをする心意気は何れ自分の身に恩恵を与える事実を熟知している。
 となるのだろうか?


 さらに、
 ・お金(すうじ)に対する個人の過剰な防衛反応。
 ・公共に対する見境のない支援の要望。
 ・公金の私的流用性の高い行政行動(公金の私物化)。
 等は末代(未来)を不幸にする野暮の極致だと感じる。

 “粋(すい)の意味”とは、
 
少しだけ自分の幸福(思い)を我慢しても、
 他人の幸福(環境)を考慮に入れる心意気。
 
さらに、
 今現在の身の回りの幸福(生活)を追求するだけでなく、
 少しだけ未来永劫・末代の幸福(平安)を考慮すること。

 つまり、
 粋(いき)とは公共性を重んじる庶民行動のことで、
 野暮(やぼ)とは自分中心にモノを見る着眼と行動。
 で言葉の意味が通じるのではないかと思う。

 本文には敢えて触れなかった、
 粋(いき)に纏わる“男女の機微”も言い変えれば情の有無に係わる。
 情(じょう=なさけ)とは“人と人との結び付き”のことであり、
 人心に備わるべき他人への配慮に乏しければ、
 
“野暮な御仁”と呼ばれても致し方ないのではないか?

 今日は“そんな、こんな”を文字にした。


 <ブログ内:関連記事>

 
5)『粋(いき)と野暮(やぼ)』を学習し『日本人気質』を探求する。
 http://blog.goo.ne.jp/mimifuku_act08/e/500a0fa9ad7b12bd8220d7529e6cc56c

 4)『九鬼周造著:いきの構造』を読み『粋(いき)な行動』を学ぶ。
 http://blog.goo.ne.jp/mimifuku_act08/e/5fcc2e1fe15aef11caf2928e01154f03

 3)白洲次郎の伊達(だて)と白洲正子の粋(すい)を観る。
 http://blog.goo.ne.jp/mimifuku_act08/e/379e8178c29d7983d922f9effa5c827e

 1)『雨音を楽しむ』:日本文化(日本人の精神)と音の関係。
  http://blog.goo.ne.jp/mimifuku_act08/e/f9ef76c825dfaeedd837ff7ac9dff246


コメント (4)
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『雨音を楽しむ』:日本文化(日本人の精神)と音の関係。

2010-05-18 22:00:00 | 文芸・思想・書物


 先週の月曜日(2010年5月10日)。
 新宿周辺の裏通りを歩いていると突然の雨。
 カバンの中の折り畳み傘を開くと小気味良い雨音が響いた。
 ~10数年前に名古屋の丸善で購入したもの。
 降り始めのやや大粒の雨に、
 “雨音の弾く音”を久しぶりに感じた。

 今では殆ど街中で見る事はできない、
 
“和傘の雨音は格別”であったと、
 (温泉街に住む)地元の人に聞いた事がある。
 また何かの本で、
 “フォックス社のヒッコリーの雨傘”の雨音は、
 「格別なモノだ。」と読んだ事がある。

 そんな話を出張中の顧客との会話の中に織り込んだ。
 今では世界中に音が溢れている。
 自動車の音や携帯電話の音など街中では、
 無音な空間を探すことさえ困難だ。
 それは戦後生まれの者にとって日常的な習慣として定着。
 現代人は、
 “音楽を楽しむ”ことはあっても、
 “音を楽しむ”ことを求めない。

 傘の歴史を紐解くと今から1500年前頃に日本に伝わったとされている。
 私の知る限りでは徳川美術館が所蔵する国宝『源氏物語絵巻:蓬生』
 
図版http://www.tokugawa-art-museum.jp/artifact/room6/01.html
 に描かれている和傘に現代様式の原型を求める事ができる。
 

 以前に日本の伝統文化である茶道の話題の中で、
 “茶の湯の沸く音を心静かに楽しむ”と記述した。
 後で調べてみると“茶の沸く(煮える)音は六つ”に分かれるのだそうだ。
 <釜の六音=魚目、蚯音、岸波、遠浪、松風、無音。>
 ~または魚眼、蟹眼、雀舌、小涛、大涛、無声とも言う。
   魚目(ぎょもく)は茶経:微かに声あり一沸となす。
   松風(まつかぜ)は松樹に抜ける風の音。
   以上:原色茶道大事典(淡交社)に記載。
 茶席に招かれた人達が心をひとつに同じ音を楽しむ。
 無駄な言葉を排し自然が生み出す音に耳を傾ける日本的な精神文化。

 禅の教えである
“無の境地”“一心(不乱)”が含まれ、
 一心とは邪念を排除し無に入る道理を持つ”とされる。
 
 
初音(はつね)とは、
 鶯(うぐいす)や時鳥(ほととぎす)のその年の初めての鳴き声を尊んだ言葉とされ、
 徳川美術館が所蔵する『国宝:初音の調度』でも表わされている。
 図版→ http://www.tokugawa-art-museum.jp/artifact/room5/07.html

 また名のある武家屋敷には鶯の声を聴くための箱も珍重された。

 近代の日本人が自宅に庭を求めた大きな理由は、
 庭の木々に寄り付く“小鳥達の鳴き声”かも知れない。 

 自然には、
 風の音があり、水の音があり、火(雷)の音がある。
 自然には、
 
耳を澄まさなけば聴こえない音が沢山ある。
 日本人は、
 虫の音や鳥のさえずりを好んで詩歌にした。

 音を好む文化は傘に弾く雨音にさえ工夫(材質や張り)を施した
 さらに、
 
湯の煮だつ釜の製法にさえ工夫が施されたかもしれない

 現代社会の使い捨て文化に潤いがないと感じる理由は、
 日本文化の源流だった風流や粋(いき)の文化(精神)を、
 日本人が捨て去ったからなのだろう。

 粋人達は求める道具(モノ)にお金を惜しまずつぎ込み、
 粋人達の道具(モノ)に対するこだわりは職人魂を刺激した。
 
~それが技術革新の源泉であることに私は疑いを持たない。

 
音を楽しむ文化は精神修行の場にも通じる。
 たまには心を静かにし、
 一心に音に耳を傾けたいものだ。


 <ブログ内:関連記事>

 
5)『粋(いき)と野暮(やぼ)』を学習し『日本人気質』を探求する。
 http://blog.goo.ne.jp/mimifuku_act08/e/500a0fa9ad7b12bd8220d7529e6cc56c

 4)『九鬼周造著:いきの構造』を読み『粋(いき)な行動』を学ぶ。
 http://blog.goo.ne.jp/mimifuku_act08/e/5fcc2e1fe15aef11caf2928e01154f03

 3)白洲次郎の伊達(だて)と白洲正子の粋(すい)を観る。
 http://blog.goo.ne.jp/mimifuku_act08/e/379e8178c29d7983d922f9effa5c827e

 2)『粋(すい)と粋(いき)と通(つう)』:粋人と通人の意味を考える。
 http://blog.goo.ne.jp/mimifuku_act08/e/16fde21d9a7cd5d0336e06b0227ac1ea


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宇多田ヒカルさん&北野武さん:暇があったら読んでみて!

2010-04-26 21:55:00 | 文芸・思想・書物


 先日尾崎豊さんの記事を文字にしていた折に、
 偶然見つけた2つのインタビュー。
 月刊:『文藝春秋』では過去の人気記事のアンケートを取り、
 “あなたが選ぶびっくり記事”としてランキングを発表。

 その第1位が以前当ブログでも紹介した、
 宇多田ヒカルさんとダニエル・キイス氏との対談。
 ~ダニエル・キイス氏は「アルジャーノンに花束を」の作者として知られる。
 ランキングの第2位が、
 北野武(たけし)さんと淀川長治(ながはる)さんとの対談。
 
偶然見つけた“Big対談”は今回初めて読みました。
 ~大好きな淀川長治さんの会話術は私にとって貴重な文書です。

 Web公開期間が限定されている可能性もありますので、
 興味のある方は早めにチェックしてください。

 アンケートのBest1&Best2!
 面白くない訳がないですよ。

 *もうひとりの私/宇多田ヒカル×ダニエル・キイス
 http://www.bunshun.co.jp/bikkuri85/rank01_01.htm

 *死ぬ前に一度あんたに会いたかった/北野武×淀川長治
 http://www.bunshun.co.jp/bikkuri85/rank02_01.htm

 *文藝春情:あなたが選ぶ“びっくり記事85”
 http://www.bunshun.co.jp/mag/bunshun85/index.htm


 ~以下文藝春秋ホームページより記事転載。

 ☆リクエスト総合トップ10(応募総数:150694人)
 
  1位 もうひとりの私/宇多田ヒカル×ダニエル・キイス
    (平成12年1月号) 32222票
  2位 死ぬ前に一度あんたに会いたかった/北野武×淀川長治
    (平成8年11月号) 27328票
  3位 明日は明日の風が吹く/石原裕次郎
    (昭和33年3月号) 25293票
  4位 「アンネの日記」の父の記録/O・フランク
    (昭和28年5月号) 21979票
  5位 わが愛の物語・王冠を賭けた世紀の恋/ウィンザア公
    (昭和25年10月号) 19775票
  6位 大殺界・細木数子の正体/佐野眞一
    (昭和62年8月号) 19749票
  7位 私のノーベル賞くたくた日記/田中耕一
    (平成15年2月号) 19312票
  8位 バタバタ暮しのアロハ社長/本田宗一郎
    (昭和30年10月号) 17413票
  9位 「ジャイアンツ」と私/長嶋茂雄
    (昭和56年1月号) 16919票 
 10位 ヒットラー日記/アドルフ・ヒットラー
    (昭和29年11月号) 15408票

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読書な話題。

2010-04-21 22:00:00 | 文芸・思想・書物


 だるい。
 一昨日は仕事の京都のついでに
京阪電車で大阪:天満橋まで足を延ばして、
 <造幣局の桜の通り抜け>に行ってきました(たぶん4回目?)。
 滞在時間:約1時間15分に写真を168枚撮影し内152枚が有効。
 満足のいく写真が沢山撮れてご満悦(でもアップする時間が今週はない)。
 一昨日は早朝からのお出かけで平素歩く距離の数倍を歩き回ったので、
 今日はお疲れが出たみたいです。
 
 帰りの電車の中で図書館で借りている、
 ・尾崎康さん著:『弟・尾崎豊の愛と死と』
 ・古今亭志ん生著:『なめくじ艦隊』
 を読書。

 尾崎豊さんの本は今週の土曜日にNHK-BS2で放送される特番の予習。
 志ん生さんの本はマイ・ブームの落語関連。
 他に、
 綾小路きみまろ著:『有効期限が過ぎた亭主…。』
 を借りています。

 この本ではないのですが以前借りた“きみまろさんの本”の中に、
 「お金を上手に使う人は先ず例外なく人に対してお金を使いますね。
 成功する人の多くは“生きたお金の使い方”をする。
 その逆にお金持ちと言っても自分のことにしかお金を使わない人は、
 成功を続けることは難しいし“数字に捉われると死に金”になります。」
 みたいな趣旨の言葉があって共感。

 最近“速読術について”よく耳にします。
 一瞬で文字を図形化して記憶する。
 でも読書ってそんなもの?

 本を読むのは作者との対話であって、
 帰りの電車の中で『なめくじ艦隊』の一説が気に入って、
 本を閉じ20分程ぼんやりと言葉の意味(嬉しさの本質)を考えました。
 長くなるので今日は内容に触れませんが知人にその話をすると、
 「成る程な~。」と感心されました。

 “あらすじを知ること=本を読むこと”
 ではないですし、
 ・文書・文体の魅力を学ぶことや、
 ・作者の経験と自分の経験をリンクさせることや、
 ・コレまでに感じたこともなかった価値観を著作に見出す時、
  必ず自分の言葉に置き換える作業をその場で実行すること。
 そのため、
 ボクの読書術は人よりも多くの時間がかかります

 でも10頁も読んで見て作者の力量不足や、
 読み続けても新しい発見がないと感じたら、
 速読はできませんが“キーワードを斜め読み”して、
 内容に共感できなければ読むことを止めます。

 先日亡くなった井上ひさしさんは多くの所蔵書で有名な方ですが、
 NHKで放送された『100年インタビュー』の番組中に、
 「総てを読んでいるわけではなく必要な部分を読むことが多い。
 所蔵書すべてに目は通していますが、
 何度も読み返す本もあれば(まったく)読まない本もある。
 必要だと感じた時に必要な箇所を読む。
 だから何処に何の本があってその本の内容については理解しています。」
 みたいな発言をされて“そうだよね”って。
 だって自分がそうだもん。
 意味わかります?

 もう10時。
 頼まれている仕事片付けなくっちゃ…。
 ではまた。
 
 

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三沢さんと清志郎さんと宇多田さんの本の話題&臓器移植と死について。

2009-06-21 22:00:00 | 文芸・思想・書物

 
 
なんかすごいタイトルで苦笑してます。
 石川県は昨日~今日と季節はずれの猛烈な暑さ。
 台風3号の影響でしょうか?

 今日も三沢光春さんの話題から。
 先日6月17日に発売された週刊プロレスが異例の売れ行きとの記事。
 「13日の試合中に亡くなったノアの三沢光晴さん(享年46)の特集号が異例の売れ行きを見せている。日本で唯一のプロレス専門週刊誌「週刊プロレス」(ベースボールマガジン社)は17日発売号が、1日で約5万部が完売。増刷した約5万部も残りわずかで、東京・千代田区の同社にはファンから「どこで買えるのか?など、問い合わせが殺到している。同社の販売部は「反響の大きさは今春のWBCと同じ。いやそれ以上でしょう」と分析した。20日に発売された「緊急追悼特集号」(定価420円)も約8万部を発行したものの週明けには完売の勢いだ。都内でプロレス関連の書籍を多く扱う書店の担当者も「今回はプロレスファン以外の方も購入されています」と、あらためて三沢さんの影響力の強さを実感していた。」
 (ニッカン・スポーツ:2009年06月21日記事転載)
 私は幸い友人に頼まれた分を含め2冊名古屋でゲット。
 週プロの追悼特集号(6月20日発売)も地元書店で予約済。
 明日には手に入ると思います。
 都市部の方は明日の東京スポーツ&ニッカン・スポーツの緊急発売号に注目。
 タブロイド判でキオスク&コンビニで発売。
 詳しくは→ http://blog.goo.ne.jp/mimifuku_act08/d/20090617
 
 
週プロを名古屋着直後に名古屋駅前・大名古屋ビル地下の三省堂で購入。
 その後仕事で市内を廻り帰りにJR界隈の書店を3件梯子(はしご)して、
 久しぶりに1時間30分くらい本の散策をしました。

 三沢さんともうひとつのお目当ては、
 忌野清志郎さんの追悼本
 ロッキング・オン・ジャパンの追悼号も早々と完売。
 JR高島屋:
三省堂の店舗で聞いたところ間もなく増刷が出来上がるとの事。
 店舗には3件どこにもないので帰宅してアマゾンで調べて所→7日~14日後。
 「まっいいや。」と思い注文した所、一昨日到着(6月16日第二刷発行分)。
 忌野清志郎1951-2009と題された本の内容は210ページに及ぶB5版。
 写真満載、読み応え充分で、
 172p~189pのチャボのインタビューにウルウル。
 (インタビュアーは、渋谷陽一さん)
 やっばキヨシとチャボは盟友だよね。
 他にも資料も充実。
 1050円は安すぎ?
 そんな感じ。

忌野清志郎1951-2009

ロッキング オン

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 で清志郎さんの本を探していたら、
 宇多田ヒカルさんの顔が突然目に。
 これもロッキング・オンが発売しているCutと言う名の月刊誌。
 3万字にもおよぶロングラン・インタビューが掲載されており、
 帰りの電車で読もうと購入。
 (インタビュアーはこれも渋谷陽一さん、~いい仕事してます。)
 宇多田さんはご存知のように日本を代表する歌姫の1人。
 ファースト・アルバム『First Love』は累計1000万枚に迫る勢い。
 赤裸々に語られた3万文字(約80分の語り言葉)は、
 今の宇多田さんの心境が包み隠さず正直に語られています。
 ここまで言っていいの?の24頁。
 その他に、
 岡田准一さん、松山ケンイチさん、蒼井優さん等の記事。
 価格は690円の6月号なので取り寄せになるのかな?

Cut (カット) 2009年 06月号 [雑誌]

ロッキング・オン

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 宇多田さんの事で強く記憶しているのが、
 文藝春秋の2000年1月号:最後の証言集/私たちが出会った20世紀の巨人。
 対談:もうひとりの私『ダニエル・キイス/宇多田ヒカル』が、
 強く印象に残っている。
 *下記WEB-ROADさんのブログ記事へのリンク(文春評)
  http://blog.goo.ne.jp/hiron323/e/bef8994afe3f2e09df9f34c1353c83ad

 その中で、
 「今死んでしまえば伝説の人ととして永遠に人々の心に残る。」
 の件は一夜にしてトップスターになった宇多田さんの戸惑いを感じ、
 スターの位置について考えさせられました。
 賢いがゆえの自己表現の難しさ。
 インタビューでは、自分を素直に受け止めようとする姿勢と、
 オーディエンス(応援してくれるみんな)の期待と自分感との開き。
 男っぽいウタダが、女性として目覚めつつある自分への期待。
 宇多田さんのインタビューを読みながら、
 先日NHK-BShiで放送された、
 『イブ・サンローランの革命』の言葉。
 「私は女性が男性化することを望んでいるわけではありません。
 女性には女性の持つ美しさ(女性らしさ)があります。
 女性に男性が着用するような衣服を着せても女性らしさはでます。
 女性が男性と同等に張り合う(競い合う)のではなく、
 女性らしさで男性に対抗するのです。」
 を思い出しました。
  http://blog.goo.ne.jp/mimifuku_act08/d/20090611
 
 
 宇多田さんの想いは容姿ではなく内面的な部分が占めるのだろうと感じますが、
 自分のあるべき位置を模索する1人の女性の姿はみんな同じ。
 人は人ですし、生きることの真実は自分との対話。
 充分に自分との対話ができるように自分を磨く。
 ひとつに集中せずに多岐な思考と判断を持てれば選択肢は増します。
 そんなことも感じながらCutのインタビューを読みました。

 再び三沢さんの話に戻しましょう。
 三沢さんの人柄を知る記事を紹介。
 ~試合中の事故で13日に死亡したプロレスラー三沢光晴さんは、
 臓器移植に強い関心がありNPO法人「日本移植支援協会」の活動に、
 10年近く協力していた。
 法案が衆院を通過した18日は三沢さんの47回目の誕生日
 「天国の三沢さんに報告します。
 三沢さんと臓器移植の深いつながりを感じます」
 と同協会メンバーは故人をしのんだ。
 同協会によると三沢さんは、
 兄貴分として慕ったジャンボ鶴田さんが、
 肝臓移植の手術中に死亡
したことがきっかけで、
 臓器移植に関心を持つようになったという。
 平成12年ごろから同協会の活動に協力するようになった。
 「プロレスラーって怖い人だと思っていましたが、
 すごく優しい笑顔が印象的でした。」
 と同協会事務局長の高橋和子さん(56)は振り返る。
 協会のトークイベントに出演したほか機関誌の表紙にも登場。
 プロレス会場の入り口で移植患者への募金やドナーカードの配布も行った。
 募金には三沢さんが社長を務めた「プロレスリング・ノア」のレスラーたちも協力。
 協会に観戦チケットがプレゼントされたこともあった。
 プロレス会場で『ドナーカード持ってるよ』と話すファンの方はすごく多い。
 三沢さんのおかげで「臓器移植への理解は格段に深まったと思います」
 と高橋さんは語る。
 高橋さんの胸には、
 三沢さんがつぶやいた
 「助けられるといいね。」
 という言葉が刻まれている。
 「寡黙だけど、思いやりのある人でした。
 いまだに亡くなったとは信じられない。」
 と故人をしのんだ。
 同協会は、臓器移植の認知度アップに貢献したことをたたえ、
 7月に予定される追悼イベントで三沢さんに感謝状を贈る予定だ。
 本来は秋の法人設立10周年の際に直接手渡そうと考えていたという。
 「思わぬ事故で、天国への感謝状になってしまいました。
 法案が通った今、改めてありがとうと言いたい。」
 高橋さんは祈るように語った。
 (MSN産経ニュース:2009年6月18日/記事転載)‎

 ジャンボ鶴田さんは、B型肝炎を患いプロレスを引退。
 鶴田さんは臓器移植を受けるためフィリピン・マニラで手術。
 手術中に大量出血のために2000年5月の死亡。
 手術(肝臓の臓器移殖)の詳しい記述は、
 夫人である保子さんの著書の中に詳しく記載されています。

つぅさん、またね。―ジャンボ鶴田を支えた家族の記録
鶴田 保子
ベースボールマガジン社

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 また また保子さんは、Jumbo鶴田を設立し臓器移殖促進に尽力されている。
  http://www.jumbo-t.com/kikin.html

 一流のセレブとは、
 有名であることやお金持ちであることだけでなく、
 社会貢献に尽力される方々

 2人の師匠である馬場さんの好きな言葉。
 「紳士たれ。」

 実直な2人の弟子は忠実に社会貢献に励みました。
 (でも三沢さんは一寸だけお下劣だったけど…。)

 ・・・。

 臓器移植法案と人の死について。>

 個人的な見解としては脳死=人の死の問題以上に、
 尊厳死希望死について考えている。

 生と死。
 <死の思い出>と共に生きることを否定できないが、
 生と生の関係に焦点を当てた生き方をしたいと思う。

 その考えに忠実に発言すれば、
 生への希望と臓器移植。
 思考は多様化すべきだが、
 答えは生への希望に軍配を上げたい。

 

 つづき→ http://blog.goo.ne.jp/mimifuku_act08/d/20090622

 

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【世界を変えた100日】 :写真がとらえた歴史の瞬間/書評。

2008-12-19 21:30:00 | 文芸・思想・書物


 私の好きな本に
 『In our time:写真集マグナムの40年』文芸春秋社 (1990年10月初版発行) 
 がある。
 今では、図書館の書庫に隠れ、人目に付くことはないが、
 発行して以来、必ず2~3年おきに借りてきては、ページを開く。

 今回紹介する『世界を変えた100日』もまた、気になる写真満載のお薦め写真集である。
 大きさは、B5よりも小さくやや正方形に近くなる。
 ページ数は300を超えボリューム感があり、税込み2940円は手頃な価格と感じる。
 <1851年:第一回のパリ万国博覧会。>から
 <2005年のハリケーン・カトリーナ。>まで、
 歴史が動いた100日を選別し、時代々々の報道カメラマンがとらえた250枚余りの写真で紹介される真実の瞬間。

 100日分の写真とともに分かりやすい解説が付いており、歴史好きな学生にもお薦め。
 文字ばかりで構成された歴史教科書とは違い、時代の一枚を読み解く能力を身に付けることは歴史が好きになる近道になると考える。
 ただし、殺伐とした写真も数枚あるので小さい子に買い与える場合は、熟慮が必要かな?
 
 マグナムとは違ったアプローチは、一見素朴だが、多くの群衆に焦点をあてた写真も多く、細部を読み取れば時代と生活が実感できる。
 逆にマグナム的な写真として、
 <1954年3月のマッカーシズムの終焉。>
 の記事に記録された2人の表情の切り取りは、悪意に満ちており、
 その一瞬をカメラに収め、ネガを現像(げんぞう)し、写真の出来を確認したカメラマンのほくそ笑む顔を連想することも容易だ。

 世情に合わせ解説記事から、さわりだけをちょっと紹介。

 *1929年10月29日:世界大恐慌。

 10月24日の暗黒の木曜日に続く、
 10月29日の悲劇の火曜日として知られるこの日、バブルは完全に崩壊した。
 1640万株が取引され、時価総額の12%にのぼる140億ドルの損失。
 ダウ平均が暴落前の水準に回復するのに25年もの月日を要した。
 現代の経済学者の中には、マネーサプライを上手く調整すれば大暴落は避けられたと言う者もいる。
 だがそれは、
 20世紀の抗生物質があれば14世紀のペストは防げたと言うのと同じだ。
 いずれにせよ、大恐慌の原因は強欲と無知。
 アメリカン・ドリームの妄信であった。
 続く数ヶ月の間にショックや重圧で身投げした者や命を落とした者は、
 ”自信過剰”の犠牲者だった。
 

世界を変えた100日
写真がとらえた歴史の瞬間

ニック ヤップ
日経ナショナルジオグラフィック社

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 『世界を変えた100日』ニック・ヤップ著
 日経ナショナル・ジオグラフィック社:2940円

 ~ 書評:藤代冥砂氏/写真家 ~
 
 ぺらぺらとページをめくることができない。
 ほぼ見開きごとに、一枚の写真とテキストが対になっているシンプルな構成なのだが、まずどうしても写真にページをめくろうとする指先が止められてしまう。
 それらの写真は、撮影者の芸術表現というよりも記録に徹しているものがほとんどで、素朴なものばかりである。
 私はそれらの写真をまずじっと見つめる。
 時間にすればわずか数秒ほどで、そこに映っているものが何かを読み取ろうとする。
 およそ見当がつくときもあるし、そうでないときもある。
 次にテキストに目をやるのだが、私はその度に小さな衝撃を覚えた。
 *戦艦ポチョムキン号の反乱。
 *マチュピチュの発見。
 *南極点初到達。
 *毛沢東の長征開始。
 *ゲルニカ空爆。
 *DNAの発見などなど。

 教科書などの文字でしか知らなかった人類史上の大事件を写真で見るというだけなのだが、それ自体にこれほどインパクトがあるということも驚きだった。
 言うまでもなく、私たちは日々膨大な写真を目にして暮らしている。
 それでも、尚、写真に強く反応する何かがまだ残っていることが驚きだ。

 中にはアングルや構図、シャッターのタイミングによって、撮影者のメッセージがあらかじめ込められたものもあるが、それらは少なく、逆に客観的事実を歪めたかのような違和感を覚えさせる。
 心を動かされるのは、むしろ素朴な写真の方である。
 このことは写真の力の一つを強く語っていると思う。
 何よりも映っている物そのものが、被写体こそが、まず写真の命なのだということだ。
 さらに、生の事実に触れることの難しさ、客観的に物事を見ることの難しさ、そういったことについての思考まで、この本は誘ってくれた。
 見る愉しみ、考える愉しみに満ちている一冊だと思う。

  <産経ニュース:2008年12月7日/記事転載。>


 ~以下、アマゾンのホーム・ページより転載。

  『世界を変えた100日:100 Days in Photographs』
  ~Pivotal Events That Changed the World~

 単行本: 313ページ
 出版社: 日経ナショナルジオグラフィック社 (2008/10/24)
 言語 日本語
 ISBN-10: 4863130503
 ISBN-13: 978-4863130500
 発売日: 2008/10/24
 商品の寸法: 22.6 x 18.6 x 2.4 cm

 【内容の紹介】

 写真という技術が世に生まれてから現代に至るまでの世界の特別な100日を、詳細な解説と共に、第一線のカメラマンの作品を通して語る一冊。
 第一級の報道写真でつづる、ビジュアル現代史の決定版!

 写真技術の登場以来、カメラのレンズは数々の"決定的瞬間"を切り取ってきた。
 リンカーン大統領暗殺の実行犯グループの処刑、
 第一次世界大戦の引き金となったオーストリア皇太子暗殺の現場、
 原爆が投下された直後の広島の街…。

 戦慄の場面を克明に写しとる一方で、カメラはまた、心を打つ光景もフィルムに収めていく。
 エイズに対する偏見がまだ根強い中で、幼い患者をローマ法王が抱きしめた瞬間。
 そして、家族に津波の危険を知らせようと、高波が迫る沖へ駆けていく母親の姿…。

 本書は、写真という技術が世に生まれてから現代に至るまでの、世界の特別な100日を、詳細な解説とともに、第一線のカメラマンの作品を通して語る一冊。
 今まで見えなかった歴史の"真実"が見えてくるかもしれない。

 【本書の特徴】

 *カメラが目撃した激動の時代から、世界を変えた100日を紹介。
 *写真とともに歩む『ナショナル ジオグラフィック』誌と、世界最大のフォトライブラリー「ゲッティ イメージズ」のコラボレーションによる特別企画。
 *膨大なコレクションから貴重な記録と傑作写真を厳選し、モノクロ・カラー 計250余点を収録。
 *「その日」の出来事と時代背景、報道写真の歩みをコンパクトに解説。

 【主な収録日】

 1865年4月14日 リンカーン大統領暗殺

 1903年12月17日 ライト兄弟の初飛行

 1912年4月14日 タイタニック号の沈没

 1929年10月29日 世界大恐慌

 1941年12月7日 真珠湾攻撃

 1945年8月6日 広島、原爆投下

 1963年11月22日 ケネディ大統領暗殺

 1969年7月20日 アポロ11号の月面着陸

 1986年4月26日 チェルノブイリ原発事故

 2001年9月11日 米同時多発テロ

 2004年12月26日 スマトラ沖大地震 
                         ほか  

 

 <関連記事:リンク>
 *Photography.nationalgeographic.com
 http://photography.nationalgeographic.com/photography/photos/100-days-photo-gallery.html

 

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オバマ氏:大統領選挙 <勝利宣言> ~英文テキスト/その2

2008-11-06 20:06:00 | 文芸・思想・書物

 
 
*下記文書は、2008年11月4日、アメリカ・シカゴにおいて、第44代大統領に当選した、オバマ氏の<勝利宣言>のスピーチ(英語:全文)です。 
 計1万2千字を超える長文ため、その1、その2に分けて掲載します。
 この英字文書を一度コピーし、PCメールに貼り付け携帯メールに転送すれば、
 極上の英文テキストになると考えます。

 *オバマ氏:大統領選挙 <勝利宣言>
 ~英文テキスト/その1へのリンク。
  http://blog.goo.ne.jp/mimifuku_act08/e/03b0dcb6f57de1588e34c15ec0aa1691


 OBAMA in Chicago (Tuesday, November 4, 2008)  VOL.2

 There will be setbacks and false starts.
 There are many who won't agree with every decision or policy I make as president.
 And we know the government can't solve every problem.

 But I will always be honest with you about the challenges we face.
 I will listen to you, especially when we disagree.
 And, above all,
 I will ask you to join in the work of remaking this nation, the only way it's been done in America for 221 years ?
  block by block, brick by brick, calloused hand by calloused hand.

 What began 21 months ago in the depths of winter cannot end on this autumn night.

 This victory alone is not the change we seek.
 It is only the chance for us to make that change.
 And that cannot happen if we go back to the way things were.

 It can't happen without you, without a new spirit of service, a new spirit of sacrifice.

 So let us summon a new spirit of patriotism, of responsibility, where each of us resolves to pitch in and work harder and look after not only ourselves but each other.

 Let us remember that, if this financial crisis taught us anything, it's that we cannot have a thriving Wall Street while Main Street suffers.

 In this country, we rise or fall as one nation, as one people. Let's resist the temptation to fall back on the same partisanship and pettiness and immaturity that has poisoned our politics for so long.

 Let's remember that it was a man from this state who first carried the banner of the Republican Party to the White House, a party founded on the values of self-reliance and individual liberty and national unity.

 Those are values that we all share. And while the Democratic Party has won a great victory tonight, we do so with a measure of humility and determination to heal the divides that have held back our progress.

 As Lincoln said to a nation far more divided than ours, we are not enemies but friends. Though passion may have strained, it must not break our bonds of affection.

 And to those Americans whose support I have yet to earn, I may not have won your vote tonight, but I hear your voices. I need your help. And I will be your president, too.

 And to all those watching tonight from beyond our shores, from parliaments and palaces, to those who are huddled around radios in the forgotten corners of the world, our stories are singular, but our destiny is shared, and a new dawn of American leadership is at hand.

 To those ? to those who would tear the world down: We will defeat you.
 To those who seek peace and security: We support you.
 And to all those who have wondered if America's beacon still burns as bright: Tonight we proved once more that the true strength of our nation comes not from the might of our arms or the scale of our wealth, but from the enduring power of our ideals: democracy, liberty, opportunity and unyielding hope.

 That's the true genius of America: that America can change.
 Our union can be perfected.
  What we've already achieved gives us hope for what we can and must achieve tomorrow.

 This election had many firsts and many stories that will be told for generations.
 But one that's on my mind tonight's about a woman who cast her ballot in Atlanta.
 She's a lot like the millions of others who stood in line to make their voice heard in this election except for one thing:  Ann Nixon Cooper is 106 years old.

 She was born just a generation past slavery; a time when there were no cars on the road or planes in the sky; when someone like her couldn't vote for two reasons ?
 because she was a woman and because of the color of her skin.

 And tonight, I think about all that she's seen throughout her century in America ?
 the heartache and the hope; the struggle and the progress; the times we were told that we can't, and the people who pressed on with that American creed.
  Yes we can.

 At a time when women's voices were silenced and their hopes dismissed, she lived to see them stand up and speak out and reach for the ballot.
 Yes we can.

 When there was despair in the dust bowl and depression across the land, she saw a nation conquer fear itself with a New Deal, new jobs, a new sense of common purpose.
 Yes we can.

(AUDIENCE: Yes we can.)

 When the bombs fell on our harbor and tyranny threatened the world, she was there to witness a generation rise to greatness and a democracy was saved.
 Yes we can.

(AUDIENCE: Yes we can.)

 She was there for the buses in Montgomery, the hoses in Birmingham, a bridge in Selma, and a preacher from Atlanta who told a people that We Shall Overcome.
 Yes we can.

(AUDIENCE: Yes we can.)

 A man touched down on the moon, a wall came down in Berlin, a world was connected by our own science and imagination.

 And this year, in this election, she touched her finger to a screen, and cast her vote, because after 106 years in America, through the best of times and the darkest of hours, she knows how America can change.
 Yes we can.

(AUDIENCE: Yes we can.)

 America, we have come so far.
 We have seen so much. But there is so much more to do. So tonight, let us ask ourselves ?
 if our children should live to see the next century; if my daughters should be so lucky to live as long as Ann Nixon Cooper, what change will they see? What progress will we have made?

 This is our chance to answer that call.
 This is our moment.

 This is our time, to put our people back to work and open doors of opportunity for our kids; to restore prosperity and promote the cause of peace; to reclaim the American dream and reaffirm that fundamental truth, that, out of many, we are one; that while we breathe, we hope. And where we are met with cynicism and doubts and those who tell us that we can't, we will respond with that timeless creed that sums up the spirit of a people.
 Yes, we can.

 Thank you. God bless you. And may God bless the United States of America.


 *オバマ次期大統領:勝利宣言和訳(gooニュース)。
   http://news.goo.ne.jp/article/gooeditor/world/gooeditor-20081105-05.html

 

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オバマ氏:大統領選挙 <勝利宣言> ~英文テキスト/その1

2008-11-06 20:05:30 | 文芸・思想・書物

 
 *下記文書は、2008年11月4日、アメリカ・シカゴにおいて、第44代大統領に当選した、オバマ氏の<勝利宣言>のスピーチ(英語:全文)です。 
 計1万2千字を超える長文ために、その1、その2に分けて掲載しています。
 この英字文書を一度コピーし、PCメールに貼り付け携帯メールに転送すれば、
 極上の英文テキストになると考えます。

 出典は、下記URLでご確認ください。
 *SFGate.com(San Francisco Gate)
 http://www.sfgate.com/cgi-bin/article.cgi?f=/n/a/2008/11/04/politics/p215742S46.DTL


 OBAMA in Chicago (Tuesday, November 4, 2008) VOL.1

 Hello, Chicago.

 If there is anyone out there who still doubts that America is a place where all things are possible, who still wonders if the dream of our founders is alive in our time, who still questions the power of our democracy, tonight is your answer.

 It's the answer told by lines that stretched around schools and churches in numbers this nation has never seen, by people who waited three hours and four hours, many for the first time in their lives, because they believed that this time must be different, that their voices could be that difference.

 It's the answer spoken by young and old, rich and poor, Democrat and Republican, black, white, Hispanic, Asian, Native American, gay, straight, disabled and not disabled.
 Americans who sent a message to the world that we have never been just a collection of individuals or a collection of red states and blue states.

 We are, and always will be, the United States of America.

 It's the answer that led those who've been told for so long by so many to be cynical and fearful and doubtful about what we can achieve to put their hands on the arc of history and bend it once more toward the hope of a better day.

 It's been a long time coming, but tonight, because of what we did on this date in this election at this defining moment change has come to America.

 A little bit earlier this evening, I received an extraordinarily gracious call from Senator McCain.
 Senator McCain fought long and hard in this campaign. And he's fought even longer and harder for the country that he loves. He has endured sacrifices for America that most of us cannot begin to imagine. We are better off for the service rendered by this brave and selfless leader.

 I congratulate him;
 I congratulate Governor Palin for all that they've achieved.
 And I look forward to working with them to renew this nation's promise in the months ahead.

 I want to thank my partner in this journey, a man who campaigned from his heart, and spoke for the men and women he grew up with on the streets of Scranton ... and rode with on the train home to Delaware, the vice president-elect of the United States, Joe Biden.

 And I would not be standing here tonight without the unyielding support of my best friend for the last 16 years ... the rock of our family, the love of my life, the nation's next first lady ... Michelle Obama.

 Sasha and Malia
 ... I love you both more than you can imagine.
 And you have earned the new puppy that's coming with us ...to the new White House.

 And while she's no longer with us, I know my grandmother's watching, along with the family that made me who I am.
 I miss them tonight.
 I know that my debt to them is beyond measure.

 To my sister Maya, my sister Alma, all my other brothers and sisters, thank you so much for all the support that you've given me.
 I am grateful to them.

 And to my campaign manager, David Plouffe
 ... the unsung hero of this campaign, who built the best ? the best political campaign, I think, in the history of the United States of America.

 To my chief strategist David Axelrod
 ... who's been a partner with me every step of the way.

 To the best campaign team ever assembled in the history of politics ... you made this happen, and I am forever grateful for what you've sacrificed to get it done.

 But above all, I will never forget who this victory truly belongs to.
 It belongs to you. It belongs to you.

 I was never the likeliest candidate for this office.
 We didn't start with much money or many endorsements.
 Our campaign was not hatched in the halls of Washington.
 It began in the backyards of Des Moines and the living rooms of Concord and the front porches of Charleston.
  It was built by working men and women who dug into what little savings they had to give $5 and $10 and $20 to the cause.

 It grew strength from the young people who rejected the myth of their generation's apathy ... who left their homes and their families for jobs that offered little pay and less sleep.

 It drew strength from the not-so-young people who braved the bitter cold and scorching heat to knock on doors of perfect strangers, and from the millions of Americans who volunteered and organized and proved that more than two centuries later a government of the people, by the people, and for the people has not perished from the Earth.

 This is your victory.

 And I know you didn't do this just to win an election.
 And I know you didn't do it for me.

 You did it because you understand the enormity of the task that lies ahead. For even as we celebrate tonight, we know the challenges that tomorrow will bring are the greatest of our lifetime ?
 two wars, a planet in peril, the worst financial crisis in a century.

 Even as we stand here tonight, we know there are brave Americans waking up in the deserts of Iraq and the mountains of Afghanistan to risk their lives for us.

 There are mothers and fathers who will lie awake after the children fall asleep and wonder how they'll make the mortgage or pay their doctors' bills or save enough for their child's college education.

 There's new energy to harness, new jobs to be created, new schools to build, and threats to meet, alliances to repair.

 The road ahead will be long. Our climb will be steep.
 We may not get there in one year or even in one term.
  But, America, I have never been more hopeful than I am tonight that we will get there.

 I promise you, we as a people will get there.

(AUDIENCE: Yes we can! Yes we can! Yes we can!)


 *オバマ氏:大統領選挙 <勝利宣言>
   ~英文テキスト/その2へのリンク。
  http://blog.goo.ne.jp/mimifuku_act08/e/1b4a3a5c017096cff15377aa0a446cbe 

 *オバマ次期大統領:勝利宣言和訳(gooニュース)。
 
http://news.goo.ne.jp/article/gooeditor/world/gooeditor-20081105-05.html

 

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