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mimi-fuku通信

このブログを通して読み手の皆様のmimiにfukuが届けられることを願っています。

<ヴィジュアル・データ百科:現代の世界> 書籍のご案内。

2008-10-23 20:22:22 | 文芸・思想・書物
ヴィジュアル・データ百科 現代の世界
ケンブリッジ現代社会国際研究所
原書房

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 ヴィジュアル・データ百科 現代の世界
 ケンブリッジ現代社会国際研究所
 原書房

 ISBN4-562-04154-1
 B4変型判・224頁
 商品の寸法: 28.2x24.2x1.8cm
 5040円
 オールカラー

 【2008年10月10日;発売開始】


 <mimifukuから、一言。>

 偶然図書館で新書として見つけた本です。
 内容は、6部に分けられています。

 Ⅰ:環境
 Ⅱ:社会
 Ⅲ:国家
 Ⅳ:金融とビジネス
 Ⅴ:テクノロジー
 Ⅵ:文化

 それぞれの分野で、「これでもか!」と言えるようなデータがいっぱい。
 ただし、首を傾げるデータも多く、明らかに数値の間違いを指摘できる箇所もあり(レコードの売り上げや金保有量等)、全面的に信頼できるかは疑問です。

 それでもこの書籍を推薦できる理由は、キーワードが現代社会の隆盛に即しており、また欄外に出典URLが記載されるなど今までのデータ本とは違った見易さがあります。

 資源の埋蔵国や枯渇資源の推定年数。
 各国の債務や為替レートの変動などの注目されるデータも満載。

 著作は、アメリカの研究者なのでアメリカよりに偏った既述も多いのですが、国際認識はアメリカを中心に回っていますので、そのことを念頭に読み続ければそれなりに楽しく読み進むことができます。

 5040円と決してお安くはないので、図書館などで内容を確認してから手元に置くかどうか判断した方が良いでしょう。

 私は、買おうかな~って、思案してます。
 図書館に返すまで2週間あるし、じっくり検討。
 でも、データ好きの方には、本当にお薦めです。 


 【 商品の内容。】

 人間と地球がどんな状況に置かれていて、これから先、どうなっていくのか?
 最も関心の高い環境問題から人口、食糧、水、国家や政治、またメディアや文化にいたる全50項目を、フルカラーの写真や図表で読み解く、画期的な「世界百科」登場!

 { 推薦:池上彰氏 }
 何を読み取り、未来をどのように予測するのか。
 その楽しい作業は、あなたに託されている。

 { 推薦:弘兼憲史氏 }
 日本と言う国が、世界の中でどのように振舞えばいいのか?
 考えさせてくれる一冊である。

 <ケンブリッジ現代社会国際研究所。>
 1988年に設立。
 ケンブリッジ現代社会国際研究所(CIRCA)は、国際政治、経済、地理的な統計調査など、グローバルな時事統計情報を収集、分析し、各企業、団体へ向けて提供し続けている。
 
 <日本語版監修:猪口孝氏。>
 1944年新潟生まれ、国際政治学者、中央大学教授、東京大学名誉教授。
 1982年に『国際政治経済の構図』でサントリー学芸賞、2008年に『国際関係論の系譜』で日本公共政策学会作品賞を受賞。
 ほか著書に『地球政治の構想』『「国民」意識とグローバリズム』『国際政治の見方』など多数。
 またEU編『ヨーロッパ統計年鑑』の監訳も手がけている。

 

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「キャロル闘争宣言、~ロックン・ロール・テレビジョン論」 龍村仁著。

2008-07-20 22:48:50 | 文芸・思想・書物
 今日も熱い一日でした。
 今、テレビでは、一昨日の夜に録画したブライアン・ウィルソンのライブを見出した所です。
 リッキー・マーティンとポール・サイモンが終わって、ヒストリーの紹介場面で、記事を書き始めています。

 久しぶりにレンタルCDを借りて来ました。
 MISIAさん記事中のコメントに出ていた、「星空のライブ」。
 ノラ・ジョーンズの「ノット・トゥ・レイト」。
 サラ・ヴォーンの「with クリフォード・ブラウン」。
 期間が、一週間あるんで、おいおい聞きます。

 図書館で借りてる本で、ホント、珍本?が一冊。
 龍村仁さんの書いた、

 「キャロル闘争宣言、~ロックン・ロール・テレビジョン論」

 内容は、NHKのディレクターだった龍村さんが、ロック・バンド、キャロルを紹介するゴールデン・タイムのドキュメンタリー番組の放送が、上層部に不許可にされ、そのことに対する龍村さんの抵抗が、一般紙をも巻き込んで騒動になったことと、龍村さん自身の行動(職員でありながらの無許可の映画製作)に対し、NHKが解雇通告を出したことに対する裁判の経過報告。
 主張が、1970年代前半の労働運動に近いものと感じられますが、龍村さん自身が、なぜNHKの職員の立場に執着を覚えるかの解答が見受けられず、個人制作を主張する映画と、組織の中での個人製作の限界を感じながら、自らが制作会社を起業するといった(後にそうなっていくのですが、)前向きな意見が感じられず、現代感覚からは不思議でした。
 当時のキャロルの伝説を考える時に、たった一度、ゴールデン・タイム(1973年8月某日、金曜日午後7時30分の予定)での、当時は記録できない記憶としてのドキュメンタリー番組が放送されるよりも、週刊誌から朝刊紙までを巻き込んだ連日のスキャンダラスな記録報道の方が、一般大衆の記憶に強く残ったのではないかと思います。

 
 この本を突然読もうと考えた事情は、2~3週間前の土曜日に突然友人がKISSのライブ・ビデオ見せてと尋ねてきたことから、NHKアーカイブスで、放送されたヤング・ミュージック・ショーのビデオを引っ張り出し、見ながら当時の事を話していました。
 ストーンズのことや、パープル、果てはベイシティ・ローラーズのこと。
 で、
 「アーカイブスで、ヤング・ミュージック・ショーの「キャロル」を放送するって言ってたけど録画したの?」と聞かれ、すっかり忘れていたことを思い出しました。
 テレビの番組情報誌で、2年位前に、日曜日の夜のNHKアーカイブスに「キャロル」の文字を見つけ、「へ~っ、やるんだ。」って、驚いて、友人に録っとくからって言ってたっけ。
 実は、その放送の予定日に放送されず、この再放送もどうやらお蔵入りになったようです。
 で、
 1973年10月27日、午後4時、(1973年の10月20日、午後2時10分の説もあり)より放送された、「キャロル」の映像が、最近(2~3ヶ月前?)になって、偶然に立ち読みしていたある雑誌(題名が分からない)で特集記事として紹介されていて、気になって調べていたら上記の「キャロル闘争宣言、~ロックン・ロール・テレビジョン論」に辿り着いたわけで、早速検索。
 *1973年10月27日、午後4時。「キャロル闘争宣言:田畑書店」での既述。
   *1973年の10月20日、午後2時10分。「キャロル暴力青春:ワニ・ブックス」での既述。

 呆れたのが、この本。
 ヤフーのオークションで3万円を超える価格で落札。
 もう一冊は、7700円位だったかな?

 それで、図書館の蔵書検索を調べてみると、あっさりビンゴ。
 借りてきて、読んでるわけです。
 でも、お薦めじゃないです。
 時代の中の闘争は、現代的じゃないし、キャロルについての既述も極少。
 でも、272ページからのジョニー大倉さんの手紙は、失踪事件の核心が見えて興味深いものでした。

 著書中、矢沢永吉さんの年齢が誤ったものを記載していますが、
 矢沢永吉さんの著書「成り上がり」の中で、
 「自分の年齢をメンバーや仲間に疑われて、スタッフ、メンバーみんな集めて免許書を見せた。」との既述との共通点も垣間見えてきます。

 ひとつのアーティストに興味を持ったら、その人の情報を集たり、学生時代ならその情報を共有する仲間達と出会い情報交換したり、マニアの集いなら、他人から見ればどうでも良い些細な真実を求め数時間に渡って議論したり。

 私が思う、好きという事実は、好奇心と想像力。
 好きなことに対する集中力と記憶力は、人間の可能性をどこまでも高める原動力になります。
 興味を持った異性の誕生日は直に覚えられるでしょ?
 でも生活に関係がないと皆が言う計算式を覚えようとは中々しないものです。

 <鉄は、熱いうちに打て。>
 心に熱を持った瞬間を逃さぬよう、年齢を重ねたいものです。
 と同時に心に熱を持つ瞬間を何時までも感じていたいものです。

 と、今日はここまで。
 最初に予定していた記事の内容とは、まるきり変わってしまいタイトルも変えなければなりませんね。
 思いついたままに。
 それも、「心の熱。」と通じるものがあるのかも知れません。

 暑い日が続きそうですが、規則正しい生活で乗り切りましょう。

龍村仁さんのプロフィール(ホーム・ページ内) 
http://www.gaiasymphony.com/co_jin.html

 

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「蟹工船」小林多喜二著 ~何が若者を惹きつけているのか?

2008-06-11 23:37:37 | 文芸・思想・書物


蟹工船  (岩波文庫)

小林 多喜二
岩波書店

価格 525円
アマゾンへのリンク。
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 2008年6月8日に秋葉原で起きた無差別殺傷事件の日、日本テレビで偶然に見かけた番組の中で、現代の若者達の間で、「蟹工船」が秘かなブームだとの報道を見た。

 山村聡さんが監督された映画の映像と共に紹介されたこの著書に付いて、何人かの若者の意見が電波にのった。

 その内の、一人の若者が述べた、
 「沸々とした鬱積する思いが、いずれ通信に乗って大きな波となり爆発する可能性。」
 についての意見は、現代の雇用制度のあり方が、それほど大きなストレスを生じているのかと、その実態に疑問を抱いた。

 今回の25歳の青年が起こした秋葉原の凄惨な事件の背後にも、現代の雇用制度の問題点が見え隠れしているとの指摘もあり、早速に上記の著書を図書館で借り、今読み終えたところだ。

 読み終えた感想は、この著書の時代とは大きく懸離れた現代社会の中で、20代の若者を惹き付ける理由を見出すことは難しく感じる。

 著書の中の強制的な労働形態の本質は現代とは比較にならない劣悪な環境下での人権侵害。

 蟹工船(海を移動する蟹の缶詰工場)という、逃げ場の無い環境での労働。
 小部屋に密集する労働者の不潔な環境が生み出す数々の害虫。
 男性社会特有の暴力による支配や、鬱積した思いと欲望の封じ込め。

 さらに、著書中触れられている、炭鉱労働や鉄道の開業に向けての強制労働の過酷さを、私達の生きている時代に実感を持てと言っても無理な話だと感じるし、この時代の著書を、現実的に我が身に置き換えのできる方々は、昭和15年以前に生まれた人達ではないか?

 それでも、文中
 「今は、これでよくなったそうだよ。天候の観測ができなかったり、地理がマスターされていない時代は、多くの船が沈没し、ロシアの捕虜になったり・・・。」
 との既述は、いつの時代もテクノロジーの進化と、政治の安定(国の豊かさの安定)が、国民生活にとっての豊かさの進化を生み出すことを感じさせる内容。

 また、劣悪な環境化においても、中積み船を通して、蟹工船に映画(映像の上映)が届いたり、手紙が届いたりと、1929年(昭和4年)の時代の文化を見るようで驚いた。

 都会で生活する民と、東北で暮らす農民との格差を感じ、働き場を求め蟹工船に乗務することになった人達の抑圧が、ひとつの団結となり船内ストライキへと向う件と、その後の挫折が上手く描写されており、速度感を感じる文体は読みやすく、一気に読破できた。
 ~ ただし、荒っぽい表現や露骨な単語も多く、上品な方には覚悟がいるかも?

 先ほど、著書について、
 「若者を惹き付ける理由を見出すことは難しく感じる。」と書いたが、
 見知らぬ乗船員達が抑圧に対して団結していく過程は共感できるし、世代間での話し合いが稀薄と言われるゲーム機世代の方々にとって新鮮に写る文書なのかなと感じた。

 つまり、
 話し合うことが苦手な世代の誕生(決め付ける事はしてはならない)が、抑圧のはけ口を談話や団結に見出すことのできない現実について、私達大人は、解決の方策を考えなければならないのだろう。

 余談になるが、文中ドストエフスキーの「死の家の記録(文中:死人の家)」との既述に、蟹工船を書いた25歳までの小林多喜二が、小樽の地でロシア文学を読んでいることにも驚きを覚えた。
 ~過去のブログ内記事<オペラが凄い。>の記事の中でのヤナーチェクの歌劇「死者の家」は、上記の作品をオペラ化した作品。

 また、もしこの記事にふれて、この本を読んでみようと思われる方や、既にお読みになった方がおられれば、同時にセルゲイ・エイゼンシュテイン監督が27歳の時に制作した、映画「戦艦ポチョムキン」(1925年作品)の視聴もお薦めする。
 ~できれば、読書後に映画を鑑賞する順序の方がリアリティが増すと感じる。

 共産主義は、ソビエト連邦の崩壊とともに否定された思想と考えられているが、プロレタリア文学やプロレタリア映画を見ることも平等に対する概念を知る上で誤りではないと感じる。
 ~「戦艦ポチョムキン」は、共産主義のプロパガンダ映画として制作されている。
   しかし、そうした見方よりも映画の未来を決定付けた幾つかの手法が試みられた名作。
  1925年(昭和元年)制作の映画の持つリアリティは、現代の比ではない。
  現代映画のヒューマニズムやリアリズムは、この映画の時代に追いついてはいない。
  この記事は、改めて書きたいと思う。


 否定されるべきは、資本主義や共産主義の思想ではなく、あらゆる思想形態の下で、支配後に指導的立場を手にした階級や人達による富の独占や、国家として蓄えるべき富を不平等な形で分配する手法(法律)であって、すべての思想形態を学習することに対して否定すべき要件は、何もないと感じる。

 



戦艦ポチョムキン
監督: セルゲイ・エイゼンシュテイン
価格: ¥ 3,675 (税込)

アイ・ヴィー・シー

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ホームレス中学生 /麒麟・田村裕 (著)  ~mimifukuの読み方。

2008-04-19 21:00:08 | 文芸・思想・書物


ホームレス中学生 / 田村裕 (著)

 2007年9月20日にワニ・ブックス初版発行。1300円+税
 現在までに、200万部以上をを売り上げており、ワニブックス史上最高の発行部数となった。

ホームレス中学生
麒麟・田村裕
ワニブックス

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<mimifukuの読み方。>

 今年の初め頃に図書館に予約していた本が、貸し出し可能とのメールが入ったので早速に取りに行ってきました。
 1時間強で読めそうなので、夕食前に一気に読んでしまいました。

 内容のどの部分が脚色で、どの部分が真実なのかを判別できませんが、すべて真実であるとの前提で、一寸だけ感想文?を書いてみます。

 まず、母親への強い愛情を感じました。
 その家族にとって、愛すべき母親の早すぎる不幸が、一家を離散に導いた事実を、物語らしい語り口で書いている文章構成は、思った以上に感情移入しやすいものになっています。
 また、平易で読みやすい文体に加え文字も大きく、ベスト・セラーになる理由が理解できました。

 話の筋で、生活保護や奨学金制度などの制度についての用語はなく、そのことが逆に著作の真実味を帯びる結果になっていると感じました。

 この著作の中で、もっとも有名な「公園生活」の場面を読みながら、大人からの見方(有効な制度の活用、~児童福祉法、里親制度、
児童扶養手当制度なども田村さんのような境遇の場合には有効と感じます。)を排除して進む展開には、この先どうなるんだろうとハラハラ・ドキドキ。

 でも、「人生を変える奇跡的な出会い~47p」から、少し安心して読むことができました。
 このような境遇に陥った時に、大人の手助けは肝要で、地域の大人の姿勢や、この国の社会制度に救いを求めながら、兄弟で助け合いながら進展するストーリーは、読み物としても考えさせる内容になっています。

 近年、我国でもアメリカ型格差社会構造を手本としたような国策を展開しており、また、少子化社会の中で親戚縁者との関係も今後は衰退していくものと見られ、この「ホームレス中学生」のような事態が現実のものとして、起きうることも予想されます。
 貧困は、高齢者や子供達に容赦なく襲い掛かるようでは先進国としてあるべき制度が機能しているとは言えず、税収のない中で国として、国民として、この先どのような制度が望ましいのか議論すべきでしょう。

 特に、社会保障制度の中で生活保護の管轄は各市町村ごとの判断だったと記憶していますが、税収不足と赤字体質に悩む地方財政の破綻も考慮に入れどのような税制が、今後この国の未来の不安解消に結びつくのかを考えさせられる著作であったと思います。

 制度と法律。

   ・・・膠着してる場合じゃないんですけどね。
   大連立するにも思想なし。
   誰か助けて!!

   そんな声が聞こえてきます。


 追記 :著作の中で一番笑えたのは、「10キロ女の正体。」
        読まれてない方のために、内容は秘密です。

 

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「マイルス・デイヴィスとは誰か」平凡新書 ~mimifukuの読み方。 

2008-03-12 22:44:19 | 文芸・思想・書物


 「マイルス・デイヴィスとは誰か」
      小川隆夫、平野啓一郎共著
        2007年9月10日初版発行

マイルス・デイヴィスとは誰か (平凡社新書 392)
小川 隆夫/平野 啓一郎
平凡社

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  <著作の中の象徴的段落。> 

 黒人であったマイルス・デイビスの願いは、白人に黒人の音楽を認めさせることによって、黒人に認められたいとの想いがあった。

 音楽に対する姿勢は、自分とは全く違うスタイルの音楽で大成功を手にした、黒人歌手のマイケル・ジャクソンや、黒人でありながらも、伝説を作り上げた不世出のギタリスト、ジミー・ヘンドリックスの音楽観にも、ライバル意識を燃やし、「俺の方が音楽は優れているのに、なぜ彼らは俺よりも遥かに人気があるのか?」との疑問を持ち続け、その時代にあった別のアプローチを考えるタイプのアーティストであった。

 目指す音楽の方向性に合わせて頻繁にメンバーを入れ替え、帝王に君臨しながらも、メンバーとして参加した他の若手演奏家とのプレイを通して、新しいスタイルの音楽を学び、新しい可能性に触発されることを楽しめるタイプの人物であった。

 マイルスのスタイルは、新しいスタイルを模索しながらも、それを突き詰めていくことはせずに、完成する手前で次へ次へと変化させる手法を採っている。
 それは、自分が提唱したスタイルや方法論を他人が取り入れることで、自らのスタイルの役割を終え(古典化)、次の新しいスタイルに移行することがマイルスの存在証明でもあった。

 マイルスにとって考案されたシステムが固定化されることによって、変化したくてもどんどんと緻密に分節化され、身動きが取れない状態になることを嫌った。
 それは、音楽の進化とは反する、マンネリ化を生み出すからだ。
 マイルスにとってのマンネリ化は、そのスタイルを踏襲したり、歪めたり、を繰り返すだけのつまらないプロセスに過ぎない。

 しかし、スタイルの変更(革新性)とはあくまでも、拘束(形式)からの解体と、再構築(新たな形式)を秩序を持って行うこと であって、無秩序への移行ではない。
 マイルスにとって、無秩序な音楽(フリーへの傾倒)とは、混沌に過ぎず、やりたいようにやると言った音楽は否定すべきものだった。

 つまり、マイルスにとっての進化は秩序の模索であリ続けた。

 ジャズの演奏様式が持つ、近づきがたいイメージ(複雑で、真似をしたくてもできない音楽)を払拭するかのように現れた、ロックの持つ大衆性(シンプルで覚えやすいコード進行=誰もが参加できる音楽)をも謙虚に取り入れる懐の深さを持ち、次なる進展を模索し続けた。

 マイルス・バンドに入ることで成長した数々の演奏家達のその後の成功は、環境の中で揉まれることによって、参加できたことの自信を促し、参加したことによる世間の評価(認知されることによる仕事の依頼)も同時に得ることができたからであろう。

 多くの成功者にとって、成功することは同時に、過去に築いたものを維持していく事が常套手段であるが、マイルスにとっての成功とは、進化する創造性だった。

 マイルスの憧れる、チャーリー・パーカーや、ディジー・ガレスピーのようなスタイルを真似する技術が不足していることを悟ったマイルスは、別のアプローチを試みることによって、その後の変化する音楽の探求が始まった。
 つまり、他人と同じものを目指すことの愚かしさをマイルス自身が熟知していたからと言えるだろう。

 
 <マイルスの変化する音楽>
 ビパップ →クール →ハード・パップ →モード →複雑なコード・チェンジ 
 エレクトリックの導入 →フュージョン ~多様性(ファンクやポップへの傾倒。)


 <mimifukuの読み方。>

 マイルス・デイビスと言えば音楽ファン誰もが知っているビッグ・ネームと思っているのはどうやらジャズ・ファンだけのようです。
 最近の、「なんでも鑑定団」にマイルスの書いた絵が出た時に、”この人誰?”って島田紳助さんの言いようには、ガッカリ。
 ジャズの帝王も、一般の人にはただの人なのかも、
 ・・・カラヤンやビートルズと同じ評価のできるお方なのに。

 この本の題名って変でしょ?
 「マイルス・デイヴィスとは誰か」なんて、マイルス本人に決まっている。
 「マイルス・デイヴィスとは何者か」の方が、語呂がいい?
 って思う人は、この本を読むのは辛いかも?

 「マイルス・ディヴィスとは誰か」の意味は、
 「マイルスの絶え間ない進化をもたらしたのは誰か」、あるいは
 「マイルスの音楽の源流は誰のものか」の略とmimifukuは、解釈します。

 本の内容は、彼が影響を受けた演奏家と、彼が育てた演奏家、21人を通して、彼の音楽の変遷をたどるものです。

 口の悪い人に言わせると、「マイルスの創造力の多くはパクリだ。」そうです。
 マイルスの屈指の名盤<ラウンド・アバウト・ミッドナイト>のライナー・ノーツの中で、ギル・エバンス(ビルではないですよ)が、「確かに、ラウンド・ミッドナイトのアレンジは私のものだ。」と言及しています。

 細かい部分は省略しますが、ある日、マイルスがぶらりとギルのアパートに立ち寄り、いつものように気ままにコーヒーを飲みながら雑誌を読んでいたので、ギルは、あるシンガー用にアレンジを頼まれたラウンド・ミッドナイトのピアノ・フレーズを弾き始めると、突然マイルスが、「そのアレンジを、俺のレコーディングに使ってもいいか?」と尋ねるので、「OK!」を出したそうです。

 後日、ギルがレコーディングに立ち会ったそうですが、マイルスに譜面を渡してもいないのに完璧にアレンジ覚えていて、ギルのイメージ通りの指示をメンバーにだし、仕上がったのが、ジャズ史上に輝くあの名演です。

 それ以来、マイルスから頻繁にレコーディングの折、お呼びがかかったと回想しています。
 「マイルスは一度もアレンジ料を払ってはくれなかったし、クレジット(名前の表記)もしてくれなかったけどね。」だそうですが。
 もちろん、「でも、マイルスは、その後いろいろな面で私をバック・アップしてくれたし、レコード会社に推薦もしてくれた。お金がなくて、ピアノを手放したときは、すぐさま代わりのピアノをプレゼントしてくれた。マイルスは友情に厚いんだ。」

 このように書くと、マイルスを知らない人にとって、マイルスのクリエーターとしての資質に疑問を感じる方もおられると思いますが、マイルスを知るジャズ・ファンにとって、彼こそ間違いなく、<ジャズ史上最高のクリエーター>であることに異論を唱える人はいないでしょう。

 「天才とは、過去の栄光にすがらず、絶えず進化を求め挑戦すること。」
 マイルスの変化は、ピカソの変化にも匹敵するアーティステックなものでした。


ブログ内の関連記事へのリンク。
http://blog.goo.ne.jp/mimifuku_act08/e/6c3500e42e750966b3b5f958679afa1b 
 

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小説「プラダを着た悪魔」を借りてきて。

2008-03-05 21:30:15 | 文芸・思想・書物

 昨日、映画「プラダを着た悪魔」の記事を書いているときに、ちょっと調べてみたら、元ネタの小説があると言うことで、仕事帰りに図書館に立ち寄って、借りてきました。(あって良かった。)
 興味を持つとすぐに調べたがる癖は、子供の頃から変わりませんね。

 早川書房「プラダを着た悪魔」ローレン・ワイズバーガー著、佐竹史子訳。
 2003年12月20日 初版印刷、12月31日初版発行。

 
作者のローレンツ・ワイズバーガーさんは、1999年にコーネル大学を卒業後、世界的なファッション雑誌<VOGUE>に就職。
 編集長のアシスタントを9ヶ月勤めたあと、旅行雑誌社に転職とあるので、小説(映画)の内容は、意外と事実に即してるのかも。

 家に帰って、食事まで30分程の時間があったので、本を覗いてみると出だしのスピード感ある文章表現から喰い付けます。
 編集部への入社面談のシーンも想像力を駆り立てる内容になっていて、映画以上に面白そう。
 ただ、小柄で極細身のメリンダのイメージは、映画とは少し違うかも。
  それにアンドレアは、予想以上にガサツな女性に描かれています。
 また、ブランド名や、デザイナー名等、多くのカタカナ文字があり、ファッション用語に見慣れない文字がありますが、そこはアンドレアになったつもりで、色々と調べながら読んでいくのも楽しいと思います。
 一度、本気で身に付けた知識は、一生の財産になります。
 と、書きながら、ホントに最後まで読めるのだろうか???
 
 約500ページの長編ですが、 興味のある方はどうぞ。
 

  

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哲学/神/科学 ~それぞれの解答。(再編集)

2008-02-02 20:37:48 | 文芸・思想・書物


「哲学って何?」

「哲学を考える上で、科学と神の話題が必要となるけど聞く?」

「簡単に答えて。」

「アインシュタインの言葉だったと思うのだけれど、『神とは謎だ。』との問いかけをどう解釈する?」

「神様は、人知を超えた存在と言うこと?」

「うん。じゃ、言葉を変えて、『謎とは、神だ。』は、どう思う?」

「えっ?。」

「確か、アインシュタインの考えの中に、
『人間は、答えを導き出せない時に神の存在を口にする。』との命題に対して、
科学が提示する答えが有効になればなるほどに、
『神の存在は、人の心の中から薄れていく。』ってのがあったと記憶してるんだけれど。」

「うん。」

「で、『神とは謎だ。』の問いかけをどう感じる?」

「科学の発達や文明の歩みが、人の心から信仰心を奪ったって事?」

「う~ん。信仰心と言う言葉は別にして、“神”のみを考えると、神の存在って、人の心(脳の働き)の中で、自分ではどうにもならない事態が起きる時に浮かぶことが多いと思うのだけれど。
・・・例えば昔、顕微鏡が発明されてない時代に伝染病やウィルスの存在を理解するためには、“悪魔”や“邪気”の存在が信じられたように、あるいは、自然災害の原因を知ることや、観測による気象の予知が不可能だった時代に、台風や地震を説明するためには、“神仏や天の怒り”との解釈が必要とされたように、『謎に対する答えとして、神の存在は必要だった。』との意味だと思う。と同時に、人類の歴史は今の社会では想像もできないような生きて行くことの苦しみや死への恐怖は、人々を神への畏怖に駆り立てたと推測できる。」

「うん。」

「時代が進むににつれて、科学の発達や医療の発達は、謎に対する答えを人間が文明の進行や実験で証明し解決していくことが可能になったことを人類の進歩と仮定して、哲学は人類が生きる上で、謎に対する答えを個人の思考によって解決しようと、暫定的に出した答えだと思う。つまり、科学的な証明ができない時代の中で、自然の猛威や、不条理な取り決めに対して、あるいは人知ではどうにもならない事態に対して、救済する手段を考えることが哲学の発展に寄与したと思うし、言い変えればそれが宗教の成り立ちと考えることもできる。」

「分かりにくい。」

「うん。で、哲学って言葉は、人の生き方や考え方によく使われる場合が多いよね。例えば、松下幸之助さんの経営哲学とか、矢沢永吉さんの人生哲学とか、イチロー選手の野球哲学とか。各界を代表する人達のように、他人の言葉に流されず自分の経験や考えをしっかりと持った人に用いると哲学って言葉は納まりがいいよね。そうした場合に、哲学のない人達ってのは、<自分の確固とした思想や主張を持たず、日和見主義や自己保身のために信念を変える人> のことと仮定すると哲学の意味が把握しやすいような・・・。」

「それは、分かる。」

「逆に哲学を持った人達って、それが万人にとって正しいとは言えない事でもその人にとって正しいことなら、他人の目を気にしないで前に進んで行く人と言い変えることができると思うし、それは個々の人達が生きて行く上で重要な答えなんじゃないかな。」

「頑固過ぎるのも困るけどね。」

「で、今回の話題のマトメなんだけど、
『哲学とは、謎に対する証明はできないけれど、人が生きていくうえで重要なそれぞれの答え(考え)。』
と仮定して、
『科学(医療も含め)とは、研究や実験や技術革新の進歩によって、謎に対する証明ができた答え(立証された結論)。』
と仮定する。さらに、
『神とは、人知では証明できない謎に対する答えとして人類が生み出した知恵(概念)。』
と仮定すると、哲学の意味が見えてくると思う。」

「神が知恵?じゃあ、神の存在はどうなるの?」

「う~ん。神の存在の有無に言及することは、現代社会では、まだまだタブーな部分も多いし、神の存在が人の心の中から消え去ることはないし、人の心(脳の仕組みと蓄積された記憶)は、いつの時代でも神を必要としている。それに加えて、宗教の否定や信仰心の排除は、国際社会を通してすべきじゃないし、日本の憲法にも信仰の自由は保証されている。それに、謎がある限りは神の知恵は人類にとって重要な選択肢であることに変わりはないと思う。矛盾するかな?」

「んっ?」


 上記の文書は、1月29日の記事「哲学とは?」の内容を理解しやすいように再編集したものです。元の記事は、下記リンクを表示してください。
http://blog.goo.ne.jp/mimifuku_act08/e/8f3fc74d44ac75e43d14561d50062ea3

 

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哲学とは? ~連動する思考。

2008-01-29 23:20:24 | 文芸・思想・書物

【哲学とは何か?】日常会話の中で。
 
 今日、仕事中に、仕入先の業者さんと話をしていると、突然に、
 「哲学って、なんや?」と聞かれ・・・。
 「なぜ、そんな事聞くの?」と尋ねると、
 最近の政治家は、哲学がないと友人が言うので
 「じゃ、哲学って何?、と聞いたら答えてくれなかった。」とのこと。

 で、mimifukuなりの知恵を総動員して答えを考えた。

 「哲学を考える時に、科学と神の存在が必要だけれど聞く?」

 「簡単に答えてくれ。」

 「アインシュタインの言葉だったと思うのだけれど、『神とは謎だ。』との問いかけをどう解釈する?」

 「神様は、理解を超えた存在と言うこと?」

 「うん。じゃ、言葉を変えて、『謎とは、神だ。』は、どう思う?」

 「えっ?。」

 「確か、<アインシュタイン・ロマン>って番組だったと思うのだけれど、
『人間は、答えを導き出せない時に神の存在を口にする。』との命題に対して、科学が提示する答えが有効になればなるほどに、
『神の存在は、人の心の中から薄れていく。』ってのがあったと記憶してるんだけれど。」

 「うん。」

 「で、『神とは謎だ。』の問いかけをどう感じる?」

 「科学の発展や文明の発展が、人の心から信仰心を奪ったって事?」

 「う~ん。信仰心と言う言葉は置いといて、“神”のみを考えると、神の存在って、人の心(脳の働き)の中で、自分ではどうにもならない事態が起きる時に浮かぶことが多いと思うのだけれど。
 
 ・・・例えば昔、顕微鏡が発明されてない時代にウィルスの存在を理解するためには、“悪魔”や、“邪気”の存在が信じられたように、あるいは、自然災害の原因や、予知が不可能だった時代に、台風や地震を説明するためには、“神仏や天の怒り”と感じられたように、『謎に対する答えとして、神の存在は必要だった。』との意味だと思う。」

 「うん。」

 「時代が遡るにつれて、科学の発達や医療の発達は、謎に対する答えを人間の力で証明し、解決していくことが可能になったことが人類の進歩と仮定して、哲学は、人類が生きる上で、謎に対する答えを個人の思考によって解決しようと、暫定的に出した答えだと思う。つまり、科学的に証明ができない時代の中で、不条理な取り決めに対してや、あるいは人知ではどうにもならない事態に対して、救済する手段を考えることが哲学の発展に寄与したと思うのだけれど。」

 「わからん。」

 「うん。で、哲学って言葉は、人の生き方や考え方によく使われると思うのだけど、他人の言葉に流されず、自分の経験や考えをしっかりと述べる人に用いると収まるがいいと思うのだけれど、そうした場合に、哲学のない政治家ってのは、<自分の確固とした思想を持たず、日和見主義や自己保身のために信念を変える>政治家のことと仮定すると哲学の意味が把握しやすいような・・・。」

 「それは、分かる。」

 「で、
 『哲学とは、謎に対する証明はできないけれど、人が生きていくうえで重要なそれぞれの答え。』
 と仮定して、
 『科学とは、謎に対する証明ができた答え。』
 と仮定する。さらに、
 『神とは、人知では証明できない謎に対する人類があみ出した答え。』
 と仮定すると、哲学の意味が見えてくると思う。」

 「んっ?」

 てな話を、5分くらいした今日の出来事でした。
 まっ、言葉遊びです。


【追記~思考の断片Ⅰ。】
     2008年1月30日 夜

答え=安心。
    経験による安心。

謎 =不安。
    未知への不安。
    説明のつかないこと。
    答えられない、問いかけ。

神 =謎に対する解答。
    説明のつかない事例。
    不安に対する希望。(精神構造の神への回帰。)

不安の解消    =謎に対する解答。

謎に対する挑戦 =哲学的思考。

謎に対する解答 =科学文明の発達。


偶然の概念=神の必要性。

必然の概念=科学の挑戦。


中世の世界 =宗教による思考の弾圧。

ルネサンス =思考や思想の束縛を緩和。
        ~思考(哲学)の発展と科学の発達。

解答の変化=原始宗教。
         神の成立。
         哲学の発生。
         科学による解答
       ~新たな謎の出現(脳が生み出す宿命)。
       →不安な世界=漠然とした未来への不安。

新たな謎の出現 =社会の変化の中で絶えず生まれるもの。

不安な世界 =脳が生み出す宿命。=漠然とした未来への不安。

科学が生み出す変化 =未知なる経験。=新たな不安。

哲学の存在意義 =不安に対する提案と解答。


科学が対立する神 =文字として残存する宗教的教義の嘘と真実。

哲学が対立する神 =特定の人が、保身目的に利用した神と言う概念。
             =保身が生み出した差別や格差。

宗教が対立する神 =唯一神への信仰と、他の神の排除。

科学が対立する哲学 =曖昧な表現世界。現代社会では意味を持たない造語の意味付け。

哲学が対立する科学 =解答の偏りと、情緒のない解答が及ぼす画一思想。

哲学の優位点=人間の位置付けの定義化と人生の目的を提案。

哲学が提示する科学の問題点=これまで築き上げられた人間の位置付けの崩壊と目的の無意味化。

 哲学とは、確認しようがない問いかけに対する暫定的な答えとして存在したと仮定するも、答えられない問いかけこそが科学の発展に寄与したとも考えられる。


              ~この項の哲学は西洋哲学に対する私的な感想です。
                頭の体操として、お使いください。


【追記~思考の断片Ⅱ。】相反する思考
     2008年2月01日 夜


答え =神の思し召し。

科学的答え =
時には残酷。
          真実の憂鬱。

謎 =未知への期待。
    人間の本質的な興味。
    神秘への憧れ。    

神 =自然。(あるがままに)
    絶対的なもの。
    説明のいらない真実。
    
宗教 =
共同体であることの安心。(精神構造の神への依存。)
     
明確な解答としての教義。

不安の解消 =未来への提案 =天上世界の存在。

謎に対する挑戦 =調和された世界への反発。

謎に対する解答 =教義の中に示された奥深い戒め。
           =生物の循環システムの保持。

偶然の概念 =神が与えた真実。

必然の概念 =神の作った世界。

中世の世界 =宗教的な思想や行動の確立。

ルネサンス =美しく調和された思考や思想の崩壊。
        ~野蛮で乱雑な思考と、文明の発達による覇権思想への序章。

不安な世界 =自由がもたらした大衆の無規律な行動。

科学が生み出す変化 =自然への冒涜と環境の破壊。

哲学の悪意性 =無意味な言葉の羅列と大衆に植えつけた都合の良い解釈。

神が対立する科学 =自然が生み出した調和された社会秩序の崩壊。
             =生産システムが生み出す自然への脅威。
             =あるがままにを受け入れない人間社会の欲望への糾弾。

神が対立する哲学 =覇権の道具として利用された、無神論と言う概念。
             =物を中心に発達した唯物的思考と止め処のない生産。
            
神が対立する宗教 =神への信仰を利用した、差別制度や排他主義。

                                                           ・・・逆もまた真なり?

 

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イエスの戒め ~クリスマス特集 その2

2007-12-24 00:00:03 | 文芸・思想・書物

クリスマスの夜に聖書について考えてみた。

新約聖書 マタイによる福音書より。

 ~第五章後半の日本語訳原文~

 「完全なものとなりなさい。」
  (JBS 日本聖書教会出版本に基づく。) 


 昔の人々に、
 『殺すな。殺す者は裁判を受けなければならない』
と言われていたことは、あなたがたの聞いているところである。
 
  しかし、わたしはあなたがたに言う。
 兄弟に対して怒る者は、だれでも裁判を受けなけねばならない
 兄弟にむかって愚か者と言う者は、議会に引きわたされるであろう。
 また、ばか者と言う者は、地獄の火に投げ込まれるであろう。
 
 だから、祭壇に供え物をささげうとする場合、兄弟が自分に対して何かうらみをいだいていることを、そこで思い出したなら、その供え物を祭壇の前に残しておき、まず行ってその兄弟と和解し、それから帰ってきて、供え物をささげることにしなさい。
 
 あなたを訴える者と一緒に道を行く時には、その途中で早く仲直りしなさい。
 そうしないと、その訴える者はあなたを裁判官にわたし、裁判官は下役にわたし、そして、あなたは獄に入れられるであろう。
 よくあなたに言っておく。
 最後の一ゴドラントを支払ってしまうまでは、決してそこから出てくることはできない。


 『姦淫するな』
と言われていたことは、あなたがたの聞いているところである。
 
  しかし、わたしはあなたがたに言う。
 だれでも、情欲をいだいて女を見る者は、心の中ですでに姦淫をしたのである
 もしあなたの右の目が罪を犯させるのなら、それを抜き出して捨てなさい。
 五体の一部を失っても、全身が地獄に投げ入れない方が、あなたにとって益である。
 もしあなたの右の手が罪を犯させるのなら、それを切って捨てなさい。
 五体の一部を失っても、全身が地獄に落ち込まない方が、あなたにとって益である。

 
 また
 『妻を出す者は離縁状を渡せ』
と言われている。

  しかし、わたしはあなたがたに言う。
 だれでも、不品行以外の理由で自分の妻を出す者は、姦淫を行わせるのである
 また出された女をめとる者も、姦淫を行うのである。
 
 
 また昔の人々に
 『いつわり誓うな。誓ったことは、すべて主に対して果せ』
と言われていたことは、あなたがたの聞いているところである。
 
  しかし、わたしはあなたがたに言う。
 いっさい誓ってはならない。天をさして誓うな。そこは神の御座であるから。
 また地をさして誓うな。そこは神の足台であるから。
 またエルサレムをさして誓うな。それは『大王の都』であるから。
 また自分の頭をさして誓うな。あなたは髪の毛一すじさえ、白くも黒くもすることができない。
 あなたがたの言葉は、だだ、しかり、しかり、否、否、であるべきだ。
 それ以上に出ることは、悪から来るのである。
 

 『目には目を、歯には歯を』
と言われていたことは、あなたがたの聞いているところである。
 
  しかし、わたしはあなたがたに言う。
 悪人に手向かうな。
 もし、だれかがあなたの右の頬を打つなら、ほかの頬おも向けてやりなさい。
 あなたを訴えて、下着を取ろうとする者には、上着も与えなさい。
  もし、だれかが、あなたをしいて1マイル行かせようとするなら、その人と共に2マイル行きなさい。
  求める者には与え、借りようとする者を断るな

 
 『隣人を愛し、敵を憎め』
と言われていたことは、あなたがたの聞いているところである。
 
  しかし、わたしはあなたがたに言う。
 敵を愛し、迫害する者のために祈れ
 こうして、天にいますあなたがたの父と子となるためである。
 天の父は、悪い者の上にも良い者の上にも、太陽をのぼらせ、正しい者にも正しくない者にも、雨を降らして下さるからである。
  あなたがたは自分を愛する者を愛したからとて、なんの報いがあろうか。
 そのようなことは取税人でもするではないか。
 兄弟だけにあいさつしたからとて、なんのすくれた事をしているだろうか。
 そのようなことは異邦人でもしているではないか。
 それだから、あなたがたの天の父が完全であられるように、あなたがたも完全な者となりなさい


ブログ内の関連記事へのリンク。
http://blog.goo.ne.jp/mimifuku_act08/e/bbc92789d5fbe494f9ac22159d54d2c2

 

【山上の垂訓】 ~山上の説教。

 
 マタイによる福音書の中に記される、キリスト教を最も象徴的にとらえた説教として有名な一節。

 新約聖書{マタイによる福音書}第5章には、「イエスはこの群集を見て、山に登り、座につかれると、弟子たちがみもとに近寄ってきた。そこで、イエスは口を開き、彼らに教えて言われた。」と記された後に、下記の垂訓がイエスの口から述べられている。

 
  こころ貧しい人たちは、さいわいである。
  天国は彼らのものである。
 
  悲しんでいる人たちはさいわいである。
  彼らは慰められるであろう。

  
  柔和な人たちは、さいわいである。
  彼らは地を受けつぐであろう。
 
  義に飢えかわいている人たちは、さいわいである。
  彼らは飽き足りるようになるであろう。

  
  あわれみ深い人たちは、さいわいである。
  彼らはあわれみを受けるであろう。

  
  心の清い人たちは、さいわいである。
  彼らは神を見るであろう。

  
  平和をつくり出す人たちは、さいわいである。
  彼らは神の子と呼ばれるであろう。

  
  義のために迫害された人たちは、さいわいである。
  天国は彼らのものである。

 
 わたしのために人々があなたがたをののしり、また迫害し、あなたがたに対し偽りの様々な悪口を言う時には、あなたがたは、さいわいである。
 喜び、よろこべ、天においてあなたがたの受ける報いは大きい。

  
と、記された後に冒頭の旧約聖書との相違点について語られている。

 

【mimi-fuku的評説】
 
 現代の日本に住むものにとって、一冊の書の内容を信仰し、その信仰を遂行するために、人々が争い、血を流してきた事実をどのように受け止めれば良いのかは、個々の自由である。
 
 自由に信仰について考え、時には否定できる社会の実現は、この50年間くらいで手に入れた私達の財産であり、更に現存する新しい自己伝達手段を手に入れたのはこの10年くらいである事実も同時に私達は認識すべきなのだろう。
 
 社会が生み出した、新しい自己伝達手段で、書き手の私と、読み手のあなたとの交流がなされている。
 
 イエス・キリストの生きた時代の伝達手段。
 信仰を広めた時代の伝達手段。
 
 拡大解釈になるが、覇権こそが最良の伝達手段であったのかも知れない。
 おそらく、それはイエスの望んだことではないにしても、信仰の偏りが争いを生み出してきた事実をイエスの戒めと共に考えてみよう。

 メリー・クリスマス。
 

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モーセの十戒 ~クリスマス特集 その1

2007-12-23 22:50:04 | 文芸・思想・書物

旧約聖書 出エジプト記 

~第20章(抜粋)

モーセの十戒(じっかい)

 
 1 わたしはあなたの神。あなたは、私のほかのなにものをも神としてはならない。

 2 あなたは自分のために、刻んだ像を造ってはならない。
   どんな形を造ってもならないし、それにひれ伏してはならない。

 3 あなたは、あなたの神。主の名前をみだりに唱えてはならない。

 4 安息日を覚えて、これを聖とせよ。
    6日の間働いて、7日目は主の安息日として何もしてはならない。

 5 あなたの父母を敬え。

 6 あなたは殺してはならない。

 7 あなたは姦淫してはならない。

 8 あなたは盗んではならない。

 9 あなたは隣人について、偽証してはならない。

10 あなたは隣人の家をむさぼってはならないし、
   すべての隣人の家人や持ち物をむさぼってはならない。

 
 この記事と関連するブログ内リンク。
 (新約聖書におけるイエスの戒め)

http://blog.goo.ne.jp/mimifuku_act08/e/540ebc0d0ddc5c0aa42ff737ceba09c7

 
 旧約聖書は、ユダヤ教の聖典。
 (ユダヤ教聖書/ヘブライ語聖書との呼び名もある。これは、キリスト教徒の新約と、旧約との区分に対して、ユダヤ教徒にとって神は唯一のため、区分されることへの回答と考えるべきだろうか?)
 
 「十戒」は、チャールトン・へストン主演の映画でも有名で、ユダヤ人にとっての最も重要な戒律とよばれる。
 旧約聖書の中にイエスの出現が予言されているとされ、クリスマスの特集としてこの戒律を記することにした。
 

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