ミッションから異音がするという事でオーバーホール依頼を受けたFDレンジャー…







通常、リヤケースはシートガスケットでシールされているんですが、ボンドが塗られているのでどこかで一度ケースを外しているということ…















クラッチハウジングは洗浄…

大量の鉄粉…











新品…




右が新品のインプットシャフト…












5-6速の折れたシンクロハブは当然、ナイザー、リング、コーンも交換します。


















ハウジングの取り付け…



クラッチハウジング内のロッドやフォーク類も組み付けて…

各部にグリスアップしたら…







事前情報では最近他県の整備工場でクラッチをオーバーホールをしたらしく、その時にインプットシャフトのガタが大きいので早めに修理をしたほうがいい…という指摘を受けていたそうです。
実際に引取時に発進から2速、3速、4速あたりまでガラガラと大きな音がしており5速6速になると異音は消える…といった感じ。
とりあえずミッションを降ろして、原因を探りつつ必要部品の洗い出しをする事に…
まずはミッションオイルを抜いてみると…



画像だと分かりにくいと思いますが鉄粉が大量に出ております…
ドレンのマグネットにはこんな感じ…

ミッション降ろしてインプットシャフトを確認すると聞いていた通りガタガタ…

ミッションを立てて分解の準備に入ります…

リヤケースからはオイルが漏れているようですが…


よく見ると一度修理をした形跡がありました。

通常、リヤケースはシートガスケットでシールされているんですが、ボンドが塗られているのでどこかで一度ケースを外しているということ…

ただ、修理の形跡はあるもののやたらとオイリーなのでキレイに掃除してよーく調べてみると…
コレ…

分かります?
ここにクラックが…

当り面まで達しているので恐らくダメでしょう…
オイル漏れの原因も恐らくこのせいでしょう。
で、更に分解…

メインケースを取り外して…


ギヤ類や見える範囲のシンクロは問題なさそうだけど、やたらと鉄粉が多い…
ベアリングを抜き取りメイン、カウンターシャフトの取り外し…


で、メインシャフトとカウンターシャフトを抜いたら異音の原因が判明…

メインシャフトの先端部がゴリゴリに削れてる…

当然、そこに入るニードルも…

インプットシャフト側のオイルノズルも折れちゃってます…


更に5-6速のシンクロハブも破損。(そりゃあ、こんだけガタがあれば折れるよな…)

折れた破片…


インプットシャフトも抜き取り…

クラッチハウジングは洗浄…


大量の鉄粉…

鉄粉が多いのでオイルポンプも点検する為に分解すると、案の定キズだらけでした。


爪で引っかかるキズがこれだけ入っているのでポンプも交換ですね…
あらかた部品の洗い出しも完了…
交換する部品としてはメインシャフト、インプットシャフト、5-6速のシンクロユニット、フロントカバー(オイルポンプ)、各ベアリングにクラックの入ったリヤカバーといった感じ…
プレスで各ギヤ類を抜き取っていきます…





全てのギヤを抜いてメインシャフト単体に…

新品のメインシャフト…

比較…

新品…

削れたシャフト…


インプットシャフトも交換します…



右が新品のインプットシャフト…

ベアリングやリテーナを組み付けていきます…
新品のベアリングを圧入してスナップリングの選定…
1番しっくりくるサイズを選択。


更にリテーナを圧入…というか焼き嵌め。
バーナーでイイ温度まで熱します。
こういう時にサーモグラフィが役に立つ…
全体的に温まっているかが視覚的に判断できます。

で、取り付け…


100℃くらいまで温めればスコンと入ります。

次にメインシャフトに各ギヤ類を取り付けていきます…



ハブを圧入…
これも軽く温めておけば楽に入ります…




5-6速の折れたシンクロハブは当然、ナイザー、リング、コーンも交換します。




6速側のシンクロが落ちないように脱落防止をして、メインシャフトの組み付けも完了…


インプットシャフトにニードルを入れて…


新品のニードルとリテーナ




クラッチハウジングに圧入…


フロントカバーの取り付け…


インプットシャフトの取り付けが終わったらメインシャフトの組み付け…





当り面をキレイにして…

ハウジングの取り付け…

ベアリング類を入れて…

リヤケースは新品…





リヤケースは新品…




フランジのオイルシールも交換して…

ロックナットも締め付けてカシメて…

ミッションを立てての作業は完了…


ミッションを立てての作業は完了…

ホイストとガッチャで横向きにします。
ところで何でチェーンブロックのこと『ガッチャ』って言うんでしょうね…笑






シフトコントロール系統を組み付けて…

クラッチハウジング内のロッドやフォーク類も組み付けて…

各部にグリスアップしたら…

ミッションオイルを入れます。

これでミッションのO/H作業は完了。



これでミッションのO/H作業は完了。


車載して…

エンジンを始動してギヤを入れ、しばらく回して再度オイルの量を確認したら…
後は試運転をして異音が消えた事を確認して完了。
余ったメンドラはクラッチ交換時のアライナーツールとして生まれ変わって頂きました。
カットして…

ナットを溶接…

車種専用のクラッチアライナーの完成…



トランスミッションオーバーホール
最近の整備工場では,リビルトミッション交換などが多いですが、段取り良くやっていますね。
やらない工場が多いせいか,弊社にも今月はバスミッションのオーバーホール依頼が来ております。僕が古いタイプの人間なのかオーバーホールした方が達成感はありますよね。
コメントが付いたので、改めて読み直して居ます。
改めて、すげー参考に成ります。
作業しながら写真撮るのって、結構手間なんですよねー。
でも、他人に説明するのにすごい便利、自分も良くやります。
ジップロック等に入れて撮ると カメラ汚れなくて良いです。
レンズのところに切り込み入れて、レンズ部だけを出して使うと良い様です。
して、ちょっと気が付いた事が.....。
「チェーンブロック」を「ガッチャ」と呼ぶ事案ですが、
恐らく代用として「レバーブロック」を使用して居て、
それがいつの間に混同したか、勘違いして行ったか、かなーーと。
ま、私見ですが。
最近ふそうの大型のM/Tから異音でバラシましたが、部品代で90万、、、
リンク品に載せ替えました。
M130のM/Tの6thのカウンターギア当たり外れがあり、M130のトラブルと言えば6thです。
当たり外れ言っても、100万超えてからなので当然保証は無いです。
O/Hできるかはドライバーさん次第です。
上手いドライバーさんは最小限のダメージで帰庫されます。バラした時に感動し感謝感謝です。
それだとすると部品のクリアランスが不正確になり、破損 内部で「ハンマー作用」が起こりケース破損
そんな経緯が想像されます
焼き嵌めするべき所を「力」で入れたとか
アセンブリ交換した方が良いくらいの作業でしたね
ウチは少ない人数で回しているのでかかりきりで作業出来る事が少ないですが、この手の作業はある程度日数も貰えるので助かりますね…
昼間はクイックや車検など…
夜はエンジンやミッションの重整備作業…といった感じで段取りすると意外とスムーズに進みます…笑
この手の作業はやらない工場というより、出来ない工場が増えているのが現状です。もちろん金額や納期の関係からリビルト載せ換えという選択肢は全然アリですが、お客さんがO/Hを望んでいるのに技術的にそれが出来ないというのは避けたいですね…
間違いなくO/Hした方が達成感は高いですよね…
何台やってもエンジン組んだ後の一発目の始動は緊張するし、かかった時の達成感は高いものがありますからね^ ^
色んな方に作業しながら写真撮るの大変でしょ⁉︎手が汚れてるし…とか言われるんですが比較的簡単に出来る方法があるんですよ…笑
口で説明するのも難しいのですが機会があればそれも書いてみます…笑
ガッチャ…
私は初めて聞いた時からガッチャで、後ほどそれがチェーンブロックという名称なんだと知ったタチですから…
いまだにガッチャが定着してしまってますね…
てっきりラチェットをガチャガチャやる時の音からなのかな…と。笑
お便りありがとうございましたm(_ _)m
例の件、今年中には方向性を決めたいと思っています。またその時はお力添えをお願い致します!
私は運が良い⁉︎事にM130のトラブルに遭遇した事は無いですが、今後、遭遇した時のために覚えておきます。
やっぱり車は乗る人によって状態は大きく変わりますからね…
最低限の構造は理解しておく事が大事なんだと思います…
ケースによっては修理出来るかどうかの状態は運転手によって大きく変わりますからね…
憶測ですがリヤケースに関しては組み付け時のトルク不良や締め付け順序違い、もしくはキチンとハマっていない状態で締め付けた結果のような気がします…
ミッション内部に関してはメインシャフト前後のベアリングは問題なかったので、恐らくクラッチ側が先にヨレてミッション側にダメージを与えたんじゃないかな…と。
まあこれも憶測ですけどね…(^_^;)
2度もミッション脱着工賃とられるのに💦
オイル管理が悪いのかベアリングが破損するトラックが多いように感じます。(特に高速道路をよく使う車両)
ミッションオーバーホールする工場減りましたよね。
ミッションだけ持ってきてオーバーホールを依頼する工場、リビルト品を乗っける工場ばかりでなんか寂しいです。
恐らくクラッチからの異音と判断してミッションを降ろしたところインプットシャフトガタガタが判明したけど長期で止められないので後日…といった感じじゃないでしょうか…
確かにオーバーホールする工場は圧倒的に減ってますよね…
同じく、なんだかなぁ…と感じます。
やっぱりチャレンジしたいと考えてる若手がやり甲斐のある業界にしていかなければこの業界は衰退していっちゃいます…
ヨシムラさん、一緒に整備業界を盛り上げていきましょう!