バージニア労働者

アメリカで働くってどんな感じ?アメリカの企業で働く統計アナリストの労働ブログ。アメリカ生活小話や猫も登場。

難病と生きてく

2010年08月30日 | アメリカde健康管理
先週から一番上の上司からある大掛かりなプロジェクトを頼まれていて
私は毎日が月末レポート真っ只中みたいな生活を強いられていた。

そのプロジェクトも金曜日には最終版に差し掛かり、
なんとなく余裕が感じられるようになった矢先にその出来事は起きた。


このブログでもたまに登場する、同僚で友人のレベッカ。

彼女は30歳。

外から見る限り、彼女は健康そのものにしか見えないが
実は彼女、難病を抱えて生きている。

その病名は『クローン病』

胃潰瘍なら多くの人に認知されている病気でどんな症状かも知られているが、
このクローン病というのは、その潰瘍が胃だけにとどまらず、
消化器官全体(とくに小腸、大腸)に起こる病気だ。

彼女の場合は小腸ということになる。

(クローン病、くわしくは<ここ>をクリック)

原因不明で、病は完治しない。

私が覚えている限り、その病気が発生したのは
彼女が23歳の時で、それから再発したのがその5年後の28歳。

手術して、潰瘍のできた部分を取り除かなければならない。

小腸は長い(約3m)とはいえ、彼女の小腸のどれくらいをすでに失っているんだろう。

そして今年になって、またその病気が発生していることが確認された。

確認されてからも、症状がそんなにひどくない事と
大きさもわずかだったころから、
薬で痛みやら症状の進行を抑えるようにしていたのだが
クローン病の最大の敵でもある大きなストレスが彼女の前に開かった。

彼女は私生活において、いろんなストレスとも闘っている。

それが重なって、先月からもう何回も救急病院に搬送されたりしていて
彼女の健康状態はあまり芳しいとは言えない状態が続いていた。

あまり痛みがひどいものだから、
来年2月に予定されていた手術を来週火曜日に繰り上げることになったその翌日、
激痛が彼女を襲った。

それが金曜の午前中。

彼女は激痛を訴えながらも出勤してきて
仕事をしようとしたので
仕事を中断して家に帰って休養することを勧めた私たちに
彼女は「それをすると査定にひびくから」と、聞く耳をもたない。

うちの会社はありとあらゆるところで「減点制度」があり、
無断欠勤やスケジュールされていない病欠なども減点の対象であった。

彼女は頑固だ。

彼女は大人なんだし、周りがどうこう言っても帰らないと言ったら帰らない人なので
無視しない程度にそっとしておいたら

昼近くになって、頑固な彼女を支えていたものが崩壊した。

いきなり泣き崩れて、ぶるぶる震える彼女のキューブに飛んでって
彼女の体をさすりながら
私は主任に救急車を呼ぶように言った。

それからというもの

会社のメディカルユニットが車椅子を持ってきて
白紙みたいに真っ青になって泣き続ける彼女を連れ去ったこと

救急車は今こっちに向かってますからねとメディカルチームの誰かが叫んだこと

誰かが彼女の父親に電話してパニック状態で説明していたこと

いろんなことがあっという間に起こり、
いきなり隣のキューブがもぬけの殻になったこともあり
私は呆然としていた。

第一、彼女とはもう長い付き合いであるが
彼女のあんなに苦しそうな顔を見たのは初めてだったので
ちょっとしたトラウマ状態に陥った。

金曜日は余裕でプロジェクトを片付ける予定だったが
心臓がどきどきして、彼女を思うと心配でしかたなく、
それからの仕事がなかなか手につかなかった。



それから3時間が経過しただろうか。

主任がやってきて、彼女が救急病院からリリースされたことを聞いた。
要は彼女はもう家に帰った、ということだ。

あの状態から、もしかしたら手術はその日だろうと思っていたので
家に帰らされたと聞いて拍子抜けだった。

なんでも今までよりももっと強い鎮痛剤を与えられて
痛みがコントロールできた時点で「はい、これで大丈夫でしょう?お大事に。」
ということだったという。

本当に大丈夫かな。

その夕方、電話しようとしたが
すごい威力の鎮痛剤で彼女が懇々と眠っていることを想像して
メールで「目が覚めて落ち着いたら無事を確認させてね。連絡待ってます。」
と送った。

彼女からの返事を確認したのは土曜日の昼前だった。

彼女は午前5時に返事を送ってきたようだ。

メールの返事には

周りの人を驚かせてしまって悪かったという謝罪
だが自分自身もかなり恐かったという事実
ケイエスがとても親身になって心配してくれて私の生存のチェックまでしてくれて
嬉しいという感謝

が綴られていた。

それを読んで思わず涙ほろり。

鎮痛剤が効いているので月曜日は普通に通勤する予定でいるらしく、
火曜日の手術が待ち遠しいと、
まるで遠足を待ち望む小学生みたいに嬉しそうにメールに書かれてあった。

クローン病には治療法がない。
手術しても何年か後に必ずまた再発してくる厄介な病気だ。

一生その病気と闘わなければならない。

いつも健康で大病とは無関係でいられる私にしてみれば
気の遠くなるような、先が全く見えない長くて暗いトンネルをマラソンするような感じだが

彼女はもう諦めているのか、
あるいはそれが自分の人生だと
その病気と正面から向かい合っているからなのか、

どこか肝が座っているようにも見える。

明日の月曜日、
彼女が出勤してきたら、
周りをいきなりパニックに陥れたことを罵りながら
ちょっとつねってやろう。

それからぎゅっと抱きしめてやろう。


どうか彼女の手術が今回も無事に終わりますように。



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気分を取り直して、誰にも聞かれてないけど公開する
今日の晩ごはん。



イタリアン ベイクドパスタ

残り物は、ハニバニとお揃いで明日のランチに。

美味しかったです。

ああ。

消化器官が丈夫でいてくれて、本当に感謝しなくてはね。



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リトルリーグワールドチャンピオンはジャパンでしたね。
野球王国ニッポン。さすがです。


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