箕面三中もと校長から〜教育関係者のつぶやき〜

2015年度から2018年度に大阪府の箕面三中の校長を務めました。おもに学校教育と子育てに関する情報をのせています。

子どものペースに合わせる

2016年03月17日 19時09分55秒 | 教育・子育てあれこれ



無口な子との会話は、けっこう難しいものです。
無口な子とは、話しかけてもあまり返事が返ってこない、反応があまりない子のことを、ここではいいます。

無口な子でも、おとなから話しかけると、けっこう話し始める子もいますが、なかには、ほとんど何も答えない子がいます。

おとなは、相手が話さないものだから、ときどきイラつくことになります。私にも経験がありますが、自分が担任しているクラスの女子生徒に、家庭訪問して話しているとき、相手がジーと黙って何も答えません。こちらは質問を重ねていきました。それでも何も答えません。私はついに爆発してしまい、強い口調で言いました。「答えないとわからんやないか!」それでもその子は黙ったままで、たいへん気まずい思い出として、いまも思い出します。

こうした無口な子と話すときには、まず聴くことから始めます。このとき、自分のペースで、自分の聞きたいことを聞くのではなく、子どものペースで、子どもの話したいと思っていることを聴くことがポイントです。

子どものペースといっても、一人ひとり違い、様々です。そのペースに合わせて話を聴くには、子どもをよく観察する必要があります。そうでないと、子どもの応対を待てずに、おとながつい自分のペースで話してしまって、「こういうことだね」と結論づけてしまいかねません。

この「待てない」応対は、学校の教師でもよくやってしまう失敗です。とくにおとな側が忙しくしているときは、つい自分のペースで話してしまうこともあるでしょう。

しかし、考えてみると、教師が子どもの様子をよく見て、子どものペースで、子どもが話したいことを聴くということは、無口な子だけでなく、すべての子どもと対話をする基本中の基本です。教師なら当然必要とされる力です。

たとえば、私にはこんな経験があります。家庭訪問をして不登校傾向のある子と話したときのことです。クラスの友達がその子への手紙を書いてくれました。その手紙には、「今度の校外学習においでよ」と誘う文面が書かれていました。

それをその子に見せました。
手渡したときは、最初は「フーン」という感じでした。
私は「どう思う?」と言い、その子の様子をよく見ていました。
その子はジッと手紙を読んでいます。

次の瞬間、少し表情が緩みました。その瞬間に、「(校外学習に)おいでと言ってやるで」と声をかけました。

そして「うれしくない?」というと、「うん、ちょっとうれしい」とさらに表情が柔らかくなり微笑みが出ました。

私は、「(よろこんでくれるなら)手紙を持ってきてよかった」と言いました。

結局、その子は校外学習に参加できました。

子どもの様子をよく見て、その子のペースにあわせて、その子が話したいことを聴くというのはこういうことだと思います。

保護者の方も、お子さんとコミュニケーションをとるときには、今までよりも子どもの様子をよく見て、子どもがどう反応するかを見てください。

子どもが何を感じ、何を話したいと願っているのかを感じてみてください。そこから思春期の子どもが、話してうれしいと思う会話の第一歩が始まります。





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