息子を殺してしまった夢を見た。
どうやって殺したのか、
なぜ殺したのか、
そのへんは全然、夢には出て来なかった。
ただ私が息子を殺したという事実がある所から夢が始まった。
私は罪に問われていない。
普段の通りに生活していた。
ただ、息子がいなくなっただけ。
しかも私の手によって。
ものすごい喪失感があった。
なんで殺しちゃったんだろう??? と後悔していた。
必死で、いい方向へ考えようとした。
夫と娘と3人で、仲良く暮らせるね。
学費も、もうかからないね。
部屋の床も、もう散らからない。
床に脱ぎ捨てた服や、お菓子のゴミが、
散乱している様子に悩まされなくてすむ。
でも、ダメだった。
「ただいまー」と言って帰って来る低い声がもう聞こえない。
絶対、これは何かの間違いだ。
いなくなったなんてありえない。
私が殺したこと自体が何かの間違いだ。
どこかから、神様がひょっと返してくれるに違いない。
そう思っても、ゲームじゃないんだから、とも思う。
殺した人は、生き返ってこないよ。
どうして殺しちゃったんだろう。
もっとよく考えればよかった。
もう姿を見ることもできないし、声を聞くこともできない。
ものすごく怖くなった。
異次元の世界に入り込んだようだ。
ここは、本来の世界じゃないと思った。
でも、夫も娘も誰も助けてくれない。
私が殺したんだから。
神様、助けて!!!
本気で願った。
目が覚めた。
夢だった。
息子のベッドに行って、手を握った。
寝ぼけた息子が、
「ん? なに? どした?」と言う。
「怖い夢見たの」と言って抱きしめると、
「あー、わかった、わかった」と寝てしまった。
↑
なんか、冷静に読むと気持ち悪いやり取り。
でも、案外やさしいのよ、こういう時ってさ。
(起きたら覚えてない)
やっぱりダメ。
どんなにできそこないでも、
長所が見つけにくい息子でも、
どんなに散らかしても、
どんなに足の踏み場がなくても、
生きていてくれなくちゃダメだ。
ちなみに夢判断では、
「人を殺す夢」は、大吉。
あきらめていたことが、突然よい方向に向かって動き出す。
特に恋愛中であれば幸運はさらに大きい。
失恋から一発逆転で、
相手からあなたが思われるようになるだろう。
・・・・・本当にそうなら嬉しいけど、ありえな~い!
夫、休日出勤。
娘、演劇部の都大会のための総会で出かけた。
息子は、夕方からバイト。
私は一人で、ミュージカルワークショップの、
Kさんの演技講座を受けに行く。
ゴールデンウィークだからか、
今日の参加者は、主催者を含めて3人。
みっちり受講できました。
またも、Kさんのワンマンショーから始まる。
CDでしか聴いたことのないあの歌を、目の前で歌い上げてくれる。
ちょっぴり台詞入り。
贅沢だなぁ。
それから、昔、ご自分がやった舞台の、
大好きな場面というのを語ってくれた。
好きな場面の台詞は何年たっても忘れないと言い、
その場面の、主人公との会話をざっと説明してくれ、
さあ、じゃ、ちょっとやってみるか、という話にいきなりなる。
即興劇ではないけど、
即興で台詞を覚えて、やってみる。
すごく情景が目に浮かびやすい場面なので、
あっという間に入り込めた。
(目の前に大海が広がる)
Kさんは、切り取った場面の説明がおじょうずだ。
それから、今日の教材はウェストサイドの、
最後の場面のマリアの台詞。
私は「ウェストサイドストーリー」を観たことがない。
例によって、観劇ブランクのせいだ。
大雑把なストーリーと、「Tonight」は知っているがそれだけ。
マリアの短い台詞。
深い、深い、静かな怒りと憎しみ。
時々、気持ちが高ぶってくるが、
また、怒りのあまりにスッと冷める。
本気で怒った女は怖いぞ。
怒りのあまり、静かになるという経験、
わりと私はよくあるので、こちらもやりやすかった。
Kさんは、
「俺は演出家にはなれない。
言葉で演技を説明できないから。
口移しになっちゃうけど、
あとは、自分の色を足してやってみて」
と、おっしゃる。
その口移し、私の考えているニュアンスと同じなんです。
実行できるかどうかは別として。
ほんのわずかな、こんな瞬間でも、
芝居ができて、自分ではない人間の怒りに身をまかせる。
快感であり、幸福だ。
これこそが自分のやりたいことなのだと思う。
ジロドゥもやりたい。
シェイクスピアもやりたい。
「リリオム」がやりたい。
娘にも、早く受けさせたい、Kさんの講座。
なぜかタイミングが合わなくて、参加できないけど。
外はいつのまにか雷雨。
ドトールに寄って、読書。
なんだか久しぶりに元気が出たので、
すき焼き風の煮物を作った。
9時にはキドコロ寝。
夜、娘と一緒に自由劇場へ「オンディーヌ」を観に行く。
私も観たことがなかったし、
娘も、一度は観ておくべきだと思ったので。
それに、ジロドゥの戯曲がなんだか好きになりそうなのだ。
(戯曲集が高いっ!)
観劇の時には、モンドカフェでパスタを食べるのが、
娘の楽しみのひとつなのだが、今日は、お休みだった。
がっかり。
こんなことなら一駅、足をのばして古奈屋へ行けばよかった。
しかたなく、近所のウェンディーズで夕食。
「オンディーヌ」、3幕です。
娘が寝やしないかと、気にしてチラチラ横を確かめた。
しかし「おもしろい!」というお言葉。
私が高2だったら、ぜったいおもしろいとは思わなかっただろう。
ハンスが水の精たちに試されているところや、
オンディーヌの、天然発言がおもしろかったそうだ。
私は、言葉のおもしろさがたまらない。
ジロドゥって、ものすごく健全な人生観を持っていると思う。
あと、石丸さんの表情の微妙な変化。
水の王の魔法の豪快な仕掛け。
きれいだった。
日下さん、さすがに凄みがある。
終演後、娘が、
「のどがかわいた、どこかでゆっくり本を読みたい」
と言うが、すでにけっこう遅い時間。
開いている店も少ないので、
24時間営業の、家の近くのマックへ行くことにした。
すると、息子から電話。
「6万勝ったから、奢ってやるよ」と言う。
・・・・・パチンコのことです。
6万勝ったのだそうです。
完全にジージの遺伝子です。
本人、機嫌がいいのでありがたくごちそうになりました。
もちろん、
いつも勝つと思うな、それで稼ごうと思うな、と、
厳しく言いましたが。
しかしパチンコで6万って、
私の1ヶ月の給料と、たいして変わらないじゃん。
バカバカしくなってくる。