得能大輔の赤い薔薇の日々🌹 Hybrid Popstar "Daisuke Tokunoh" since2005

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【マイ・フェイバリット】大滝詠一/さらばシベリア鉄道【お気に入り】

2005-07-06 | one of my favorite
とくのうです。 こんばんは

久々にお気に入りの曲について書こうと思いました。
季節外れの曲なのですが、妙に自分の心とシンクロするので
大滝詠一の「さらばシベリア鉄道」について書きたいと思いました。

この曲はアルバム「ロング・バケイション」(写真)の最後の曲です。
このアルバムは、ほぼ全編夏っぽいイメージの曲なのですが、
この曲だけは、真冬のシベリアのイメージです。
僕は「君は天然色」や「恋するカレン」よりも、
この曲が印象にのこりました。
様々な楽器が折り重ねられてて、なんというか印象的でした。
大滝さんの曲はコード進行や展開などが凝りまくってる曲が多いのですが、
この曲はアレンジ以外はとてもシンプル。
それだけに、伝わるものを僕は感じます。
確か大田裕美も歌ってた曲だったと思います。


このアルバム、殆どの曲が松本隆の歌詞です。
そして、殆どの曲が男女のすれ違いや別れについて書かれています。
でも凄いのが、その曲ごとに一つのストーリーみたいになっていて、
何通りものはかないストーリを書いているんです。
それも、すべて場面が浮かぶような、綺麗な表現で。
この曲もやっぱりそういう歌詞なのです。

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さらばシベリア鉄道

哀しみの裏側に何があるの? 涙さえも凍りつく白い氷原
誰でも心に冬を かくしてるというけど
あなた以上冷ややかな人はいない
 
君の手紙読み終えて切手を見た スタンプにはロシア語の小さな文字
独りで決めた別れを 責める言葉探して
不意に北の空を追う

伝えておくれ 十二月の旅人よ いついついつまでも待っていると

この線路の向こうには何があるの? 雪に迷うトナカイの哀しい瞳
答えを出さない人に 連(つ)いていくのに疲れて
行き先さえない明日に飛び乗ったの

僕は照れて愛という言葉が言えず 君は近視まなざしを読み取れない
疑う事を覚えて 人は生きていくなら
不意に愛の意味を知る

伝えておくれ 十二月の旅人よ いついついつまでも待っていると

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この曲はAメロの歌詞が対句みたいになっていて、
女性の言葉 のあとに 男性の言葉が呼応しているのが印象的です。
そして答えを出さない男に対して、「あなた以上冷ややかな人はいない」
といって女は男のもとを去っていきます。
それも長い長いシベリア鉄道に乗ってしまうのです。
この曲は81年だから、当時はまだソビエト連邦の頃。
東西冷戦下では、遠い遠い国。
(たぶん2番の「連いていく」という字はソ連を想起させてるのかなあ)
二度と会うことがないのだろう、というイメージを僕は受けました。

でも、男はとても未練があるのです。
手紙のなかに、女が一人で去っていくことを後悔することばをさがしたり、
「いついついつまでも待っていると」と言ってみたり。

2番の最後ですれ違う状況を、本当に上手く表現しています。
「僕は照れて愛という言葉がいえず、君は近視まなざしを読み取れない」

この曲を聴いていると、切なくなります。
とても強く相手のことを想っているのに、言葉にできず伝わらず、
そして、疎遠になってしまう。
寂しかったり、悲しかったりすると思うんです。
多くの人はこの曲を聴いて、自分のそういう場面とシンクロさせると
思うのです。

ただ、「寂しい」とか「辛い」って歌詞ならば、誰にでも書けると思うのです。
でも、この歌詞では「寂しい」等の形容詞はあまり使われてなくて、
それでもこのエピソードから、男の寂しさや後悔というのを聴く者に
感じさせるのです。
それもシベリアという非日常的な場所や、数々の綺麗な表現をつかって。
その事に凄く感動します。

今日は何かこの曲をギターで弾いて歌ってました。
そんな気分でした。


コメント (1)
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