言語空間+備忘録

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ガソリン税の使途と、高速道路無料化の是非

2010-08-09 | 日記
山養世 『道路問題を解く』 ( p.44 )

 高速道路の借金爆弾を解決する方法は、超低金利のいま、旧道路公団の危険な借金を、国が返済してしまうことです。それによって、将来の巨額の国民負担のリスクはなくなるのです。国が借金を引き受けた時点で、高速道路はほかの国道と同様に無料になります。旧道路公団の借金がなくなれば通行料金を取る根拠がなくなるからです。国民は、高速道路を自由に使えるようになり、本当のフリーウェイがやっと実現するのです。
 高速道路無料化の財源は十分にあります。ひとつは、小泉首相が余っているといったガソリン税などの道路財源です。年間二兆六〇〇〇億円の暫定税率の一部を充てれば、十分に返済できます。また、霞が関の埋蔵金といわれる財政の剰余金を充てることもできます。余っている金で、将来は国民が負担することになる借金の返済を行うだけの話です。
 もう一つ財源があります。首都高速や阪神高速など、大都市圏の高速道路では混雑税として料金を徴収し、その収入を借金返済の財源に充ててもよいでしょう。残りを全国の高速道路の維持費に充てることもできます。
 高速道路の無料化に税金をつぎ込むな、という批判は的外れです。もともと、高速道路ユーザーはガソリン税などを負担してきました。ところが、その税収は高速道路には使われず、一般道路の建設に使われてきたのです。そのうえで、高速道路の料金を取られているのですから、二重取りされていたのです。ですから、高速道路無料化を実現することは、本来の姿に戻り、高速道路ユーザーの税金で、高速道路の借金を返すにすぎないのです。
 高速道路無料化が実現したときの、地方を中心とした経済効果はいうまでもありません。日本経済の変化の第一歩が踏み出せるのです。


 高速道路のユーザーはガソリン税などを負担してきたうえに、通行料まで取られてきた。これは二重取りである。高速道路無料化が当然である。無料化の財源は十分にある、と書かれています。



 「二重取りされていた」という部分が、いまひとつ、わからないので、調べてみました。



Wikipedia」の「ガソリン税

ガソリン税(がそりんぜい)とは、正式には「揮発油税及び地方揮発油税」をいう。 現在1リットル当たり53.8円の税金が課され、そのうち25.1円が後述する暫定税率分。

いずれも、国税・間接税・目的税(地方揮発油税は「地方」という文字が入っているためか、地方税だと説明するサイトもあるが、これは誤りで正しくは国税である)。


 「ガソリン税」とは、「揮発油税」及び「地方揮発油税」である、と書かれています。



 とすると、「二重取りされていた」というためには、「揮発油税」または「地方揮発油税」の使途が「高速道路の」維持改修などに限定されていなければならないはずです。その部分が、ひっかかります。税法 (↓) を読んでみても、そのような記述 (使途の記述) は見当たりません。



法令データ提供システム」の
   「揮発油税法(昭和三十二年四月六日法律第五十五号)
   「地方揮発油税法(昭和三十年七月三十日法律第百四号)



 それではなぜ、著者は「二重取りされていた」と述べているのか。それを考えてみると、おそらく、

   高速道路を走る際には、揮発油税および地方揮発油税がかかり、さらに、
   高速道路の通行料がかかる

ということだと思われます。

 しかし、この論理は、「高速道路は本来、無料である」という前提がなければ成り立たないのではないかと思います。すなわち、この前提がなければ、ガソリン税 (揮発油税および地方揮発油税) は一般道を走る際にもかかるのであり、高速道路については、「高速」道路であるために別途、通行料がかかる、と考える余地もあるはずです。

 このように考えれば、著者の主張は、「結論先にありき」の主張であり、「二重取りされていた」というのは、高速道路無料化の根拠にはならないと思われます。

 したがって、上記根拠による高速道路無料化には、疑問符がつきます。



 しかしながら、無料化の根拠に疑問があるとはいっても、無料化してはならない、ということにはなりません。

 「高速道路無料化の財源は十分にあ」る、「小泉首相が余っているといったガソリン税などの道路財源」と「首都高速や阪神高速など、大都市圏の高速道路では混雑税として料金を徴収し、その収入を借金返済の財源に充ててもよい」ということであれば、

    無料化すべきである、とはいえないまでも、無料化してもよい、

と考えることになると思います。



■追記 (2010-08-16)
 「揮発油税・石油ガス税の使途を限定する規定

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