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9・11テロと真珠湾攻撃は米国の陰謀だったらしい

2012-10-11 | 日記
孫崎亨 『日米同盟の正体』 ( p.60 )

 九・一一同時多発テロ前の米国の安全保障政策はどういうものであったか。
 ソ連の崩壊によって米国は世界最強の軍事組織を確立した。しかし、一九九三年一月から二〇〇一年一月まで継続したクリントン大統領の政権は、安全保障にさしたる関心を持っていない。米国は、せっかく築いた最強の軍事組織が弱体化する危険を孕み(はらみ)始めた。ここに九・一一同時多発テロが発生した。これによって、軍事行動をより積極的に行いうる環境が生まれた。では、最強の軍事組織の堅持を望むグループが九・一一同時多発テロの発生を誘導する動きをすることはなかったのであろうか。

(中略)

 二〇〇二年一月二七日、ワシントン・ポスト紙一面は、九・一一同時多発テロが生じた日のブッシュ大統領の行動を詳細に報道した。その中で、「ブッシュは『本日二一世紀の真珠湾攻撃が発生した』と口述させた」(筆者訳)と報じた。では、ブッシュが口述させた「二一世紀の真珠湾攻撃」という言葉が意味するものは何か。
 その際には、まず、真珠湾攻撃の意味を理解する必要がある。じつは真珠湾攻撃は、第二次大戦の英国の状況と深く関連している。当時英国はドイツの攻撃にさらされ、瀕死の状況であった。これを打開するには米国が参戦し、ドイツと戦ってくれる必要がある。しかし、米国国民は第二次大戦に参戦するつもりはなく、中立の立場を貫いていた。ここで真珠湾攻撃が生じた。
 当時、英国首相だったチャーチルは、『第二次世界大戦』(河出書房新社、一九七二年)に真珠湾攻撃の目の感銘を次のように記している。
「一七ヵ月の孤独の戦いの後、真珠湾攻撃によってわれわれは戦争に勝ったのだ。日本人は微塵に砕かれるであろう。私はかねて米国の南北戦争を研究してきた。米国は『巨大なボイラーのようなもので、火がたかれると、作り出す力に限りがない』。満身これ感激と興奮という状態で私は床につき、救われて感謝に満ちたものだった」
 チャーチルは真珠湾攻撃があったから、英国が救われたと述べている。チヤーチルは南北戦争を研究してきたと言っている。たしかに南北戦争の始まりは、見事なくらい、真珠湾攻撃と類似している。この事情は清水博の『世界の歴史17 アメリカ合衆国の発展』(講談社、一九七八年)によると、リンカーンは奴隷州の連邦からの分離は認めないと明言し、同時に「南部が攻撃しないかぎり、戦争は起こらない」という主旨を述べたという。南部にあるサウスカロライナのチャールストン港入口にあるサムター要塞はまだ星条旗を掲げていた。リンカーンはこれに食糧の補給をすると通報し、補給艦を派遣したが、南部はこれを北部の挑戦と受け止め、要塞を攻撃した。北部では星条旗が砲撃されたとして、「旋風のような愛国心」が巻き起こった。
 リンカーンは南部が独立する動きを見せている中、米国の統一には、戦争が必要と見ている。自ら戦争を開始することはなかったが、南部から先に攻撃させる状況を作り、攻撃を受けた国民の怒りを背景に、望んでいた戦争に突入させた。
 真珠湾攻撃が米国安全保障関係者の間でいかなる評価を得ているか。
 キッシンジヤーは『外交』(日本経済新聞出版社、一九九六年)で真珠湾攻撃を、「アメリカの参戦は、偉大で勇気のある指導者の並たいていでない外交努力が達成した大きな成果だった。……孤立主義的な国民を大規模な戦争に導いた」と「評価」している。同書によると、一九四〇年五月まで米国人の六四%は平和の維持はナチスの敗北より重要だと考えていたが、真珠湾攻撃で、ナチスの勝利を妨げることより平和を望むのは三二%になった、という。
 キッシンジヤーは、「並たいていでない外交努力」て米国が参戦できたと書いている。並たいていでない外交努力で戦争を避けたのではない。外交努力て参戦できたという表現を使用している。米国が日本につきつけた満州を含む中国全土からの撤退という要求は日本がのめないものと見なしている。
 英戦略家ベイジル・リデル・ハートは、『戦略論』(原書房、一九八六年)で、四一年八月一日のルーズベルトの対日石油禁輸命令について、日本\i戦うしかないという成り行きに陥ることはわれわれが以前行った研究によって、われわれが常に意識してきたことである、日本が四ヵ月以上も自らの攻撃を繰り延べたことは注目すべき事実である、と述べている。
 これらを踏まえて,ブッシュが日記に口述させた、「本日二一世紀の真珠湾攻撃が発生した」の意味合いを考えてみたい。
 BBC(英国放送協会)は二〇〇二年八月、「ブッシュ大統領は二一世紀のチャーチルか」との題で、ブッシュはチャーチルに対して崇拝の気持ちを持っていると報じた。ブッシュは、ホワイトハウスにチャーチル像を持っている。そんな彼は当然、チャーチルの代表作『第二次世界大戦』の真珠湾攻撃についての記述も知っているだろう。さらに、キッシンジャーはブッシュ政権下、助言者として、最も頻繁にホワイトハウスを訪れていた。こう見ると、ブッシュの「二一世紀の真珠湾攻撃」は偶然出てきた言葉ではない。

(中略)

 一九九七年六月、米国の有力な保守主義者たちは、「二〇世紀の歴史は危機が生ずる前に状況を整える必要があり、危機が差し迫る前に対応する必要があることを教えた。われわれは地球規模の責務を追求するため国防費を大幅に増強すべきである」(筆者訳)等を主張点とする「アメリカ新世紀プロジェクト(PNAC)」というグループを立ち上げた。このグループは保守強硬派をほぼ網羅し、二〇〇一年にブッシュ政権が成立するや、安全保障関係の中核を構成した。設立趣意書の署名者(s)及び会員には次ぺージの表の人物がいる。
 この表を見ると、PNACメンバーはパウエル国務長官を除き、国務省、国防省の中核をほぼ完全に押さえている。このPNACは九・一一テロの一年前の二〇〇〇年九月、PNACの数々の文書の中でも最も重要な「米国防衛再建計画」を公表した。
 この文書は、米国は新たな世紀において、安全保障面で世界の指導的立場を維持するために変革に取り組むべきであると主張した後、「新たな真珠湾攻撃のように大惨事を呼びかつ他の現象を引き起こしていく事件がなければ、この変革は長いものになるだろう」(筆者訳)と述べた。
 つまり、軍事力強化には議会の反対などがあって容易ではないが、新たな真珠湾攻撃があればその壁も破れ、米国の軍事優位が確保できる体制が作れると主張している。したがって新たな真珠湾攻撃の発生を歓迎している。米国は新たな真珠湾攻撃を受ける危険があるので避けなければならないと述べているのではない。歓迎するとしている。
 おそろしい話であるが、同時多発テロ事件が生じたとき、国防省、国務省の幹部は第二の真珠湾攻撃を歓迎する立場の人々が占めていた。勿論ブッシュ大統領も承知していたであろう。


 9・11テロ事件は、真珠湾攻撃と同様、米国の陰謀である、と書かれています。



 引用文中には「この表」とあります。「この表」を以下に転記します(↓)。



ブッシュ政権における主なPNACメンバー
               (s)は署名者

 人物名             ブッシュ政権での役職等

エリオット・エイブラムズ(s)   NSC中東部長
ジェブ・ブッシュ(s)       ブッシュ大統領の弟、フロリダ州知事
ディック・チェイニー(s)     副大統領
アーロン・フリードバーグ(s)   副大統領安全保障担当
ロバート・ケーガン(s)      ネオコンの中心的存在
ルイス・リビー(s)        副大統領首席補佐官
ドナルド・ラムズフェルド(s)   国防長官
ポール・ウォルフォウィッツ(s)  国防次官
リチャード・アーミテージ     国務副長官
ジョン・ボルトン         軍備管理担当国務次官補
リチャード・パール        国防政策諮問委員会委員長



 著者の記述は、説得力にあふれています。

 「米国に利用された日本のシーレーン防衛構想」において、米国の「戦略構想能力」の一端が示されたわけですが、

 今回の事例は、「戦略」を越えて、もはや「陰謀」である、といってよいでしょう。



 もちろん、上記事実関係が証明されたからといって、9・11テロ事件や真珠湾攻撃が「陰謀」である、ということにはなりません。これらはすべて、間接的に「陰謀」を示す事実にすぎず、直接的に「陰謀」があったと示す証拠ではないからです。

 しかし、「陰謀」であると考えるに足る十分な根拠が示されている、といってよいと思います。

 とくに、上記引用文のうち、下記の部分は圧倒力な説得力があります。
 真珠湾攻撃が米国安全保障関係者の間でいかなる評価を得ているか。
 キッシンジヤーは『外交』(日本経済新聞出版社、一九九六年)で真珠湾攻撃を、「アメリカの参戦は、偉大で勇気のある指導者の並たいていでない外交努力が達成した大きな成果だった。……孤立主義的な国民を大規模な戦争に導いた」と「評価」している。同書によると、一九四〇年五月まで米国人の六四%は平和の維持はナチスの敗北より重要だと考えていたが、真珠湾攻撃で、ナチスの勝利を妨げることより平和を望むのは三二%になった、という。
 キッシンジヤーは、「並たいていでない外交努力」て米国が参戦できたと書いている。並たいていでない外交努力で戦争を避けたのではない。外交努力て参戦できたという表現を使用している。米国が日本につきつけた満州を含む中国全土からの撤退という要求は日本がのめないものと見なしている。




 9・11テロ事件も、真珠湾攻撃も、著者の推測が真実であるとすれば、米国は、目的実現のために、「米国国民を犠牲にしている」ことになります。

 さすがに、ここまでやるのは「いきすぎ」ではないかと思います。



 ところで、引用文中にはありませんが、本書のなかで、著者はしきりに、「日本人には戦略構想能力がない」と述べています。

 しかし、私は、日本人には戦略構想能力がない、という著者の考えかたには反対です。

 なぜなら、私でも「戦略」は思いつくからです!!

 したがって、日本人に「戦略構想能力がない」なんてことはあり得ないと思います。



■追記
 (1) 私は日本人です。
 (2) この本の著者は陰謀論を主張していますが、元外交官です。

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