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言語空間+備忘録

メモ (備忘録) をつけながら、私なりの言論を形成すること (言語空間) を目指しています。

相対取引の流動性

2009-10-26 | 日記
安達誠司 『恐慌脱出』 ( p.32 )

 前述したファニーメイ、フレディマックの経営危機によって、従来は信用リスクが低いと考えられてきた証券化商品(プライム・ローンなど)の価格も急落した。これに伴って、これらの証券化商品からさらに派生したCDS(クレジット・デフォルト・スワップ)などを多く取り扱っていた大手の投資銀行が経営危機に陥った。

(中略)

 問題は、これらの新しい金融商品には株式市場のような1つの取引所に需給を集約させて価格調整をする「市場」がなく、「相対」で契約が交わされていたという点である。相対契約は、契約の相手方が存在して初めて有効である。つまり、もし、ある住宅ローン関連の証券化商品がデフォルトした場合、あらかじめCDS取引の契約を交わして毎月保証料を支払っていたとしても、その証券化商品のデフォルトと同時に相手方が経営破綻してしまうと、リスクの肩代わりをしてもらえなくなってしまう。リーマン・ブラザーズ経営破綻の意味は、そこにある。
 経済評論家や大学教授の中には、アメリカの金融システムを「市場原理主義」と呼ぶ向きもある。しかし実際の金融取引では、「証券取引所」のような「市場」で一極的に取引の管理が行われている金融商品はきわめて限定的である。実際の金融取引は、会社同士の「相対取引」で成立しているものが圧倒的に多い。
 このような相対形式の金融取引で、相手方が経営破綻などによって契約不履行になるリスクを「カウンターパーティリスク」と言う。リーマン・ブラザーズの経営破綻は、まさに金融業界全体に深刻な「カウンターパーティリスク」をもたらした点に大きな意味があった。


 金融取引は、相対取引が圧倒的に多い。リーマン・ブラザーズの経営破綻によって、相対取引におけるカウンターパーティリスクがもたらされた、と書かれています。



 カウンターパーティリスクが現実化したのは、損失が巨額だからだと思います。損失額が小さければ、カウンターパーティリスクなど、問題になりません。

 「格付け会社への信頼喪失」 が、サブプライム・ローン問題の原因 ( のひとつ ) であるとすれば、格付け会社を不要とする制度を考えなければ、問題は解消しないのではないかと思います。



 ところで、格付け会社には、本来、個別に評価すべき個性的な金融商品を、同質的な金融商品にするための工夫・装置としての側面が認められると思います。すなわち、格付け会社は、相対取引を市場取引に近づける機能を担っていた、と考えられます。

 とすれば、( すくなくとも主要な金融商品には ) 格付け会社を不要とする制度はあり得ないのではないか、とも考えられ、流動性を保つ仕組みをどうすればよいか、が問題となります。

 どうすればよいか、私にはわかりませんが、

 おそらく、誰にもわからないので、流動性が枯渇してしまったのではないかと思います。誰かが、すばらしいアイデアを出せば、問題がひとつ、片づくのではないかと思います。



■追記
 「一般的・汎用的な金融商品」 と書いていた部分を、「同質的な金融商品」 に修正しました。