言語空間+備忘録

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格付け会社への信頼喪失

2009-10-26 | 日記
安達誠司 『恐慌脱出』 ( p.31 )

 サブプライム・ローン問題は2つのルートで、他の優良な住宅ローンに波及し、金融危機を深化させた。第1のルートは、前述の金利上昇である。金利上昇は、サブプライム・ローンから始まり、住宅ブーム崩壊の進行に伴ってAlt-A、プライム・ローンなど、優良な借り手のデフォルトに波及していった。これは住宅ローン全体のデフォルト率上昇につながる。
 第2のルートは、格付け会社の格下げによって、投資家の間で、「次はどの商品が格下げになるのか?」という「弱い者探し」が始まったことである。住宅市場での価格上昇率の鈍化によって、当然、投資家は、格下げの動きはサブプライム・ローンだけにとどまらないはずだと考えるようになる。そうすると、まだ高格付けが維持されているうちに売却しておこうと考える投資家が増加する。これによって、政府保証がついているはずの政府系住宅金融会社が組成した住宅ローン関連の証券化商品の、格付け引き下げリスクが高まった。それらの証券化商品に売りが殺到し、価格が急落した。
 また、このような危機が進行する中、政府系住宅金融会社であるファニーメイ、フレディマックの経営危機説が台頭した。問題とされたのは、低い自己資本比率であった。
 両社が組成する住宅ローン関連の証券化商品には、政府保証がついている。ファニーメイやフレディマック自身の自己資本比率の高低は、これらの証券化商品のリスクとは無関係のはずであった。しかし、いったん火がついたパニックは、投資家の冷静な判断を不可能にさせた。これが住宅ローン関連の証券化商品の価格暴落に、拍車をかけた。


 サブプライム・ローン問題は、(1) 金利上昇と、(2) 次に格下げされるであろう商品売却する動きの連鎖によって、優良な住宅関連金融商品の価格暴落・格下げへとつながった、と書かれています。



 ファニーメイやフレディマックの自己資本比率・経営状態は、「両社が組成する住宅ローン関連の証券化商品には、政府保証がついている」 ので、「無関係のはずであった」 が、価格が暴落した。これをもって、「いったん火がついたパニックは、投資家の冷静な判断を不可能にさせた」 と評価されているのだと思いますが、

 これは本当でしょうか?

 投資家がパニックになり、冷静な判断が不可能になった、という面が、まったくなかったとは思いませんが、この評価には、疑問があります。

 「サブプライム・ローンと格付け」 でみたように、格付けが下がれば、自己資本比率も下がります。したがって、金融機関としては、( 自己資本比率を維持するために ) 売らざるを得ません。証券化商品に政府保証がついていて、支払いが確実であろうと、格付けが下がれば、売らざるを得なくなることには、変わりありません。

 したがって、投資家 ( 金融機関 ) は 「冷静に判断して」 売却したのではないかと思います。価格暴落は ( 構造的に ) 必然、と考える余地があります。



 本来、政府保証がついていれば、格下げはあり得ないはずです。それにもかかわらず、売られたのはなぜか。それを考えると、おそらく、格付け会社に対する信頼が失われたからではないかと思います。というか、それしか考えられません。

 金融機関は、もともと、格付け会社を信頼してサブプライム・ローン関連商品を買っていたはずです。ところが、その商品が格下げされて損失を蒙ったのですから、その時点で、格付け会社は信頼を失ったとみられます。商品を大量に買っていた金融機関ほど、格付け会社を信頼していたはずであり、そのような金融機関ほど、損失が大きく、失われた信頼も大きい、と考えられます。

 価格暴落は、必然だったのかもしれません。
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