言語空間+備忘録

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「増税なき復興」の具体策

2011-09-30 | 日記
産経ニュース」の「東日本大震災 国会は「増税なき復興」を まず公務員人件費削減せよ」( 2011.9.30 02:47 )

 野田佳彦政権は東日本大震災の復興財源に充てる臨時増税案をまとめ、自民、公明両党に3党協議を提案したが、国会が今、取り組むべきは「増税なき復興」の具体策作りである。

 提示されている増税総額11兆2千億円は、27日発表された9兆2千億円を修正したものだが、「腰だめ」の数字といわざるを得ない。しかも国民に厳しい負担を強いる一方、政府・与党の歳出削減努力は極めて不十分だ。凍結したはずの新たな国家公務員宿舎の建設再開や国会議員の定数削減の放置など枚挙にいとまがない。

 ≪議員の定数減は放置≫

 さらに、増税はデフレから抜け出せない日本経済に決定的な打撃を与えかねない。国会議員の中にも増税への強い異論があるのは、日本を衰退させることへの危機感によるものだろう。

 臨時国会は30日閉会されるが、与野党は増税ありきの方針を修正し、増税の前にやるべきことを実行してほしい。

 増税なき復興の具体策はどうなのか。

 27日の衆院予算委員会で興味深い質疑があった。みんなの党の江田憲司幹事長が民主党のマニフェスト(政権公約)を引用して「国家公務員の人件費2割カットで1兆円の財源を捻出するとの約束は実現するのか」と野田首相にただした。首相が「平成25年までに取り組む。旗は降ろしていない」と答えると、江田氏は「だったら、1兆円×10年で、10兆円の財源が増税せずとも捻出できるではないか」とたたみかけた。

 江田氏は安住淳財務相にもただしたが、回答は要領を得ないままだった。年間1兆円以上の歳出削減を生む国家公務員の人件費削減という自らの約束を果たそうとせずに、増税に走る姿勢は国民の理解を到底得られない。

 政府は公約の代わりに国家公務員給与を時限措置で約8%引き下げる法案を国会に提出したが、これでは合計でも6千億円しか捻出できない。また、人員削減に向けた中央省庁出先機関の地方移管も進んでいない。

 公務員人件費の削減を地方にも広げれば、さらに大きな歳出削減効果が見込める。肥大化する地方交付税の圧縮にもつながる。首相が強調する財政規律の維持や財政再建にも貢献するだろう。

 増税を前提にしてしまうと、国会議員や国家公務員の人件費削減など、自ら身を削ろうとする推進力は失われる。阪神大震災では増税せずに復興を果たした事実を思い起こす必要がある。今回も、これを達成する政治の決意を示すことを優先すべきである。

 幅広く財源を探す努力も問われる。国債整理基金特別会計の活用も検討課題だ。野党の中には10兆円の剰余金を使うことや一般会計からの定率繰り入れの停止を求める意見がある。

 ≪国債基金活用もある≫

 定率繰り入れ停止は、これまでにも財政事情が悪化した際などに何度も使われてきた手法だ。今年度予算に計上した20兆円余りの国債費のうち、元本償還に充てる約10兆円の繰り入れの一部を停止すれば復興費用に回せる。

 政府は復興債について、10年程度での短期償還を前提に臨時増税を打ち出してきた。だが、再建された道路や橋、港湾などのインフラは将来世代も広く利用できる。現役世代だけで返済する理由はない。自民党からも60年で償還する建設国債の利用を求める声が上がっている。再検討すべきだ。

 民主党は次の臨時国会の早期召集を野党に約束し、与野党協議再開を呼びかけているが、増税路線を改めずに額を調整する内容にとどまるなら、何も変わらない。

 6月には超党派議連の「増税によらない復興財源を求める会」が日銀による復興債買い取りなどを求める声明を発表した。デフレ脱却や成長戦略を重視する賛同者は民主、自民両党を中心に210人に達している。

 予算委で首相は「経済が良くなったときに増税するのでは、償還の道筋を明らかにしたことにならない」との立場を崩さなかった。復興費用がかさんだ場合の増税幅拡大についても「可能性はある」と答弁した。

 これが最高指導者の言葉だろうか。「歳出削減や税外収入でまかなえない分は国民に負担してもらう」という首相の説明も、詭弁(きべん)というしかない。


 「増税なき復興」の具体策が報じられています。



 上記報道のうち、次の記述が(とくに)興味深いと思います。
 27日の衆院予算委員会で興味深い質疑があった。みんなの党の江田憲司幹事長が民主党のマニフェスト(政権公約)を引用して「国家公務員の人件費2割カットで1兆円の財源を捻出するとの約束は実現するのか」と野田首相にただした。首相が「平成25年までに取り組む。旗は降ろしていない」と答えると、江田氏は「だったら、1兆円×10年で、10兆円の財源が増税せずとも捻出できるではないか」とたたみかけた。

 江田氏は安住淳財務相にもただしたが、回答は要領を得ないままだった。年間1兆円以上の歳出削減を生む国家公務員の人件費削減という自らの約束を果たそうとせずに、増税に走る姿勢は国民の理解を到底得られない。
 これによれば、民主党がマニフェストで主張していた公約「政治家、幹部職員などが率先し、国家公務員の総人件費を2割削減します。」を守るだけで増税なき復興が可能になるにもかかわらず、(野田政権は)それを推進しようとしていない、ということになります。

 ううむ…。 この指摘は鋭いですね。国家公務員の人件費2割削減が「適切」といえるのか(=削減しすぎではないか)という疑問はあるものの、野田首相自身が「平成25年までに取り組む。旗は降ろしていない」と答えたというのですから、「それならなぜ、ただちに実行しないのか」という話になりますね。。。

 また、
 政府は復興債について、10年程度での短期償還を前提に臨時増税を打ち出してきた。だが、再建された道路や橋、港湾などのインフラは将来世代も広く利用できる。現役世代だけで返済する理由はない。自民党からも60年で償還する建設国債の利用を求める声が上がっている。再検討すべきだ。
という主張も説得的です。



 「増税はやむを得ない」と政府は主張していますが、「増税なき復興」の道筋は、たくさんあるわけですね。。。

 私は
 6月には超党派議連の「増税によらない復興財源を求める会」が日銀による復興債買い取りなどを求める声明を発表した。デフレ脱却や成長戦略を重視する賛同者は民主、自民両党を中心に210人に達している。
という方法を想定していましたが、「増税なき復興」の方法が多数あるなら、「なぜ増税に固執するのか」が問題になると思います。
 予算委で首相は「経済が良くなったときに増税するのでは、償還の道筋を明らかにしたことにならない」との立場を崩さなかった。復興費用がかさんだ場合の増税幅拡大についても「可能性はある」と答弁した。
 ということであれば、私が「官僚にもインセンティブを!」で主張しているアイデアが実現する見込みはなさそうです。

 野田政権は実質、勝栄二郎(=財務省事務次官)政権である、という話がありますが、上記報道を読むかぎり、それは否定し難いように思われます。