宇宙論、ブラックホール、ダークマター、ホーキング放射、相対論

ブラックホール、ダークマター、ホーキング放射、相対論 etc etc

その7-2・静止しているブラックホールの寿命計算

2023-05-08 01:47:44 | 日記

このページでは静止しているBHがホーキング放射を出す状況をさらに確認します。

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自然単位系を採用。

まずは質量mのBHのホーキング温度Tを計算しましょう。

T=h*C^3/(8*pi*kB*G*m) =1/(8*pi*m)

そうして温度Tで黒体が放射するエネルギーのスペクトル分布でピークとなっている光子がもつエネルギーEはこうなります。

E=2.821*T

Tにホーキング温度を代入すると

E=2.821*T=2.821*1/(8*pi*m)

=0.1122/m

このエネルギーを持つ光子の運動量Pはこうなる。

E=P*C=P*1=0.1122/m

従って P=0.1122/m ・・・①式

静止しているBHのホーキング放射の制限条件は m/2 > P であって境界は m/2 = P の直線となります。(注1)

m/2 = P ・・・②式

①式は質量mのBHが放射するホーキング放射のエネルギーのスペクトル分布でピークとなっている光子がもつ運動量Pを表しています。

他方で②式は静止している質量mのBHのホーキング放射の制限条件m/2 > Pの境界を示す式です。

それでこの2つの式が交差する場所を求める為に、mについて解きます。

0.1122/m=m/2

m^2=0.1122*2

m=0.4738

ウルフラムでその状況を確認します。

y=0,x=0.000001,y=0.5*x,y= 0.1122/x,y= 2.32*0.1122/x の0<x<2,-0.0001<y<2 プロット

実行アドレス

https://ja.wolframalpha.com/input?i=y%3D0%2Cx%3D0.000001%2Cy%3D0.5*x%2Cy%3D+0.1122%2Fx%2Cy%3D+2.32*0.1122%2Fx+%E3%81%AE0%3Cx%3C2%2C-0.0001%3Cy%3C2+%E3%83%97%E3%83%AD%E3%83%83%E3%83%88

 

ここで横軸がBHの質量m、縦軸がホーキング放射の運動量Pを示します。

直線と曲線の交点が上記計算どおりプランク質量Mpのほぼ半分の位置になっています。

ちなみに曲線が2つ表示されますが、下の曲線が質量mのBHが放射するホーキング放射の分光放射輝度でピーク位置の光子がもつ運動量P(=①式)を表しています。(注2)

そうしてこの相対論による制限によってBHは最後に爆発的にガンマ線を出して消える、のではなくあたかも線香花火の最後の様に「だんだん弱くなるホーキング放射を、出す頻度を落としながらBHの質量ゼロをめざして出し続けるのであろう」という事が分かるのです。(注3)

 

以上の状況を再度、スケールを変えて確認します。

y=0,x=0.000001,y=0.5*x,y= 0.1122/x,y= 2.32*0.1122/x の0<x<4,-0.0001<y<4 プロット

実行アドレス

https://ja.wolframalpha.com/input?i=y%3D0%2Cx%3D0.000001%2Cy%3D0.5*x%2Cy%3D+0.1122%2Fx%2Cy%3D+2.32*0.1122%2Fx+%E3%81%AE0%3Cx%3C4%2C-0.0001%3Cy%3C4+%E3%83%97%E3%83%AD%E3%83%83%E3%83%88

 

4プランク質量(=BHの直径が16プランク長)あたりから質量ゼロまでのプロットです。

やはり1プランク質量(=BHの直径が4プランク長)を切ったあたりから「ホーキング放射の一般解による制限がかかりはじめる」という状況が確認できます。

そうして0.5プランク質量を切りますれば、発生する仮想粒子ペアのエネルギーの過半数が制限条件にひっかかり、BHによって無視されます。

その状況はBHの質量がゼロに近づけば近づくほどひどくなり、BHはたまにほとんどゼロエネルギーのホーキング放射を出す事しかできなくなるのです。

さて、しかしながらその状況は逆に言いますと「静止BHを前提にすると、1プランク質量まではホーキング放射の一般解による制限はほぼ無視できる」という事になります。

そうではありますが「1プランク質量からホーキング放射で質量ゼロをめざすBHの旅」は通説がいう様な「一瞬で終わる」のではなく、「無限に長い時間が必要になるであろう」という事が分かるのです。(注4)

そうしてその事の具体的な寿命計算の内容は次のページ以降に譲る事に致します。

 


注1:ちなみに m/2 = P の時にはホーキング放射でBHの質量がゼロになってしまいます。

エネルギーの保存則だけを考慮した場合はこれで問題はないのだが、BHはこの条件では運動量の保存則を満たしながらホーキング放射を出す事はできない事が分かっている。

つまり m/2 = P の時にはホーキング放射が起こらないのである。

したがって事実上の制約条件は m/2 > P となるのです。

注2:それに対して上の曲線は全ホーキング放射の内で低いエネルギーから高い方に分光放射輝度分布を積分した時に、全エネルギーの90%までカバーした時のホーキング放射の内で最もエネルギーを持つ光子の運動量Pを表しています。

そうしてここで2.32という係数はホーキング放射の①式から90%を示すラインを出す為のものであり以下の様にして決まります。

「プランクの法則」の「百分率」から: https://archive.md/Nh670 :

①式が示すE=2.821*kb*T の位置は64.6%でありそれはx=5099の点

それに対して求めたい点は10%点と示されており、それは2195:x = λT [μm⋅K]

但しここでういきの積分の仕方が当方の説明とは逆転していますので10%=100%-90%となっています。

そうして放射光のエネルギーEはE=h*周波数 で求まります。

従って周波数比率がそのまま光子が持つエネルギー比率になる事がわかります。

そうであれば周波数が必要になります。

周波数はういきの表示がx = λT [μm⋅K]となっていますので

C/λ=周波数=C/(x/T)=C*T/X として求める事が出来ます。

ここでもちろんTは黒体のその時の温度をしめします。

 

さてそれで上記プランク則より90%での最大エネルギーをもつ光子の振動数は

振動数(90%)=C*T/2195

同様にして64.6%点は

振動数(64.6%)=C*T/5099

90%ラインと64.6%ラインのエネルギー比は従って

振動数(90%)/振動数(64.6%)

=(C*T/2195)/(C*T/5099)

=5099/2195≒2.32

こうしてホーキング放射の分光放射輝度でピーク位置の光子がもつ運動量Pのエネルギーレベル(=①式)の2.32倍で分光放射輝度で見た時の90%確保ラインが分かるのです。

そうしてこの90%ラインを見る事で1プランク質量(=BHの直径が4プランク長)を切ったあたりから「ホーキング放射の一般解による制限がかかりはじめる」という状況が確認できるのでした。

ちなみにこのラインから上に残りの10%が存在するのですが、その上限値は計算上は無限にまで伸びている事になっています。

しかしながらそのような光が発生する確率はほぼゼロという事になります。

 

注3:「なぜホーキング放射の出す頻度が落ちるのか」といいますれば「仮想粒子の対生成そのものの回数はBHの質量が落ちるに従って増加していく」のですが、発生した仮想粒子の内でエネルギーの高いものは制約条件「m/2 > P」に抵触する為にBHによって無視され、ホーキング放射となる事ができないからです。

これによって「BHの質量が減少するに従って多くの仮想粒子対が発生しますが、その中でホーキング放射に結びつくものは非常に少なくなる」のです。

注4:その旅が有限の時間内で終わる事はできない、という事は実は「BH消滅不可能定理」によって既に保障されています。

つまり「1プランク質量を切ったBHはそこから無限回、ホーキング放射を出すのですが、それでもBHの質量はゼロには到達できない」という事になります。

 

追記:質量mのBHがだす典型的なホーキング放射のエネルギーEの件

T=h*C^3/(8*pi*kB*G*m) であり E=2.821*kb*T であるので実は

E=2.821*kb*h*C^3/(8*pi*kB*G*m)

=2.821*h*C^3/(8*pi*G*m)

であって、質量mのBHがだす典型的なホーキング放射のエネルギーEはボルツマン定数kbとは無関係になります。

これをMEに質量換算すると

ME=E/C^2=2.821*h*C/(8*pi*G*m)

=2.821/(8*pi*m)*(Mp)^2

=2.821/(8*pi)*(Mp/m)*Mp

(Mp/m)=Rとすれば

ME=2.821/(8*pi)*R*Mp

=0.1122*Mp*R

但しプランク質量Mpは m_P = √(ħc/G)

つまり「質量mのBHが出す典型的なホーキング放射のエネルギーを質量換算したものはプランク質量の10%程にプランク質量をBHの質量mで割った値を掛けた値になっている」のです。

さてこの話「何が面白いのか」といいますれば「ホーキング温度もボルツマン定数もここには現れてこない」という所にあります。

そうしてここでMP=1にすると本論の式になります。(MP=1の自然単位系)

 

ダークマター・ホーキングさんが考えたこと 一覧

https://archive.md/Gdidg

https://archive.md/yEC7H

 

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その7-1・静止しているブラックホールの寿命計算

2023-05-05 05:33:29 | 日記

前ページまでの議論で「ホーキング放射の一般解」が導出できました。

まずはそれをベースに議論を進めます。

1、ホーキング放射の一般解を使った静止BHのシミュレーション手順について

それでホーキング放射を「・その2・ ホーキング放射のメカニズム」で示したシナリオに沿って離散的に計算を進める時に(=ランダムシミュレーションする時に)この「ホーキング放射の一般解が示す制約」が必要になります。

その状況と言うのは例えば1グラム以下の質量にまでホーキング放射によって質量が軽くなったBHの状況をそこからプランクスケールに至るまで計算する時に必要となるものです。

計算のスタートはホーキング放射の反動でBHが移動する速度が光速Cに対して無視できるあたりのBH質量mに設定します。

その状況でBHの中心に座標原点をとり、BHのホーキング温度を計算し、乱数によってその温度で発生する仮想粒子ペアのエネルギー(=運動量P)と運動方向を決めます。

そうやって決められた運動量Pと3次元内での運動方向があれば最初の計算、それはBHが静止している、と言う状況に運動量Pをもつ仮想光子が飛びこみ、その結果、BHの質量が減少し、もう一方の仮想粒子が実粒子化してホーキング放射となりBHから飛び去る状況が計算できます。

さて「ホーキング放射の一般解」は次の通りでした。

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-2P*sqrt(m^2+Q^2)+(m^2+Q^2)+P^2-R^2 ・・・⑧式

この式の値がゼロ以上である事がこのBHがホーキング放射を出すことが出来る仮想粒子の運動量Pを決めています。

なんとなれば「ホーキング放射を出した後のBHの質量はゼロ以上である事が必要だから」ですね。

そうであれば ⑧式≧0がホーキング放射の起きる事が可能である事を示す判定式、「ホーキング放射の一般解」となります。

但しここでQ=PbhであってそれはこのBHが最初に持っていた運動量の大きさ、mは仮想粒子が飛びこむ前のBHの静止質量、PはBHに飛び込んだ仮想粒子の運動量の大きさ(=Pベクトルの絶対値)。

そうしてRはR=(Pbh+P)で(Pbh+P)は当初のBHの運動量ベクトルPbhとそのBHに飛び込んだ仮想粒子の運動量Pをベクトル合成したベクトルの大きさ(=絶対値)となります。

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2、静止しているブラックホールの寿命計算

2-1、制約条件の導出

対象のBHは最初は静止している、としていますから、Q=Pbh=0で、R=(Pbh+P)=Pです。

従って「ホーキング放射の一般解」は

-2P*sqrt(m^2+Q^2)+(m^2+Q^2)+P^2-R^2 ・・・⑧式

でQ=0、R=Pを代入して

-2P*sqrt(m^2)+(m^2)+P^2-P^2 

=-2P*m+(m^2)

=m*(-2P+m) ・・・⑨式

です。

この⑨式がゼロ以上の値になるP、それはBHに飛び込む仮想粒子の運動量の大きさを示しますが、そのように乱数によって指定された仮想光子が設定されていればBHはホーキング放射を出す事が可能となります。

⑨式≧0 ですから

m*(-2P+m)≧0

mはBHの当初の質量だから、ここではプラスです。そうなるとこの条件は

(-2P+m)≧0 となり、従って

m/2 ≧p

がこの場合にBHに飛び込むことになる仮想光子が持ちうる運動量Pの範囲を示します。

但し m/2 =p の場合、⑨式の値はゼロになり、それはこの条件でホーキング放射が起こるとBHの質量がゼロになる事を意味しています。

そうして、そのような状況は「運動量保存則違反になる」ので「禁止されている」という事は従来から申し上げている内容です。(注1

そうであれば「ほぼ静止していると見なせるBHの場合」は実質上のホーキング放射制約条件

m/2 >p

となります。(注2)

ちなみに「BHのホーキング温度が上昇し、m/2 >pを越える運動量(=エネルギー)を持つ仮想粒子がBHに飛び込んだらどうなるのか?」といえば、BHは単にそのような仮想粒子を無視するだけです。

つまり、その様な高いエネルギーを持った仮想粒子はBH内に入っても何も起こらずに、時間がくればその仮想粒子は単に消え去るだけで、ホーキング放射を引き起こす事は無いのです。

 

注1:今「静止しているBHに仮想粒子が飛びこんでその質量をゼロにした=BHを消滅させた。」とします。

それは「ホーキング放射が消滅したBHの代わりに誕生し、運動量PでBHに飛び込んだ仮想粒子と反対方向に飛び去った」という事になります。

そういう事が起こりますと「最初は系の合計運動量がゼロだったのに、BHが消滅後はホーキング放射分だけ系の合計運動量が増加している」ということになります。

そうして「宇宙の運動量は保存している」=「運動量保存則が成立している」のですから「上記の様なホーキング放射は起らない」という結論になります。

つまり「BHが静止している場合は m/2 =p は禁止されている」という事になります。

注2:静止しているBHにm/2 >pを満たす仮想粒子が飛び込みます。

そうなると当然BHは運動量Pを持って仮想粒子が飛び込んできた方向に動きだします。

他方でそのBHの運動方向とは真逆の方向にペアで対生成した仮想粒子の片方が実粒子化し、これも運動量Pをもって飛び去ります。

こうして「最初に静止していたBHは初回のホーキング放射を出す事で動きだす」のです。

そうであれば次回以降のホーキング放射はこの動き出したBHが出す事になります。

そしてその場合のホーキング放射の制約条件はすでに求められている「ホーキング放射の一般解」が決める事になるのです。

 

ダークマター・ホーキングさんが考えたこと 一覧

https://archive.md/3RP1f

 

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その6-3・ホーキング放射の一般解の導出

2023-05-02 02:50:47 | 日記

「ホーキング放射の一般解」の導出

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さてBHはPbhの運動量をもって運動している。

そうしてそのBHの静止質量はm。

その時は一般論として相対論的なエネルギーの扱い(注1)よりBHのエネルギーEは

E^2=Pbh^2+m^2

となります。

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さてそれで運動しているBHに仮想粒子が運動量Pで飛び込みます。

当初のBHのエネルギーはこうでした。

E^2=Pbh^2+m^2 

ホーキング放射はマスレスmassless粒子でおきるのでした。これはホーキングのホーキング放射定式化の前提でもあります。

そこに質量ゼロの仮想粒子が運動量Pを運びこみます。

ここで仮想粒子が持っている運動量Pの方向は任意とします。

その結果、BHは運動量Pbh+Pで動き出します。

ただし運動量の合成はベクトル合成になります。

その時のBHの相対論的なエネルギーE2は

E2^2=(Pbh+P)^2+m2^2 ・・・②式

ここでm2はBHに仮想粒子が運動量Pを運びこんだ後のBHの静止質量で、(Pbh+P)はベクトル合成したベクトルの大きさ(=絶対値)となります。。

一方でマスレスmassless粒子が運動量Pを持つ時のエネルギーE1は

E1=P*C となります。

それでこれはC=1の自然単位系では、

E1=P となります。

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さてエネルギー保存則よりBHのもともと持っていたエネルギーEにそこに飛び込んだ仮想粒子が持っていたエネルギーE1を足したものは、仮想粒子吸収後のBHの持つエネルギーE2に等しくなります。

従って

E+E1=E2

つまり

sqrt(Pbh^2+m^2)+P=sqrt((Pbh+P)^2+m2^2)

両辺を二乗してm2^2について整理すると

(sqrt(Pbh^2+m^2)+P)^2-(Pbh+P)^2=m2^2

m2^2=(sqrt(Pbh^2+m^2)+P)^2-(Pbh+P)^2 ・・・①式

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

この時仮想粒子に真空が貸し出したエネルギーは、仮想粒子2個分だから

2*E1=2*P です。

このエネルギーを真空は仮想粒子が飛び込んだBHから回収するのだから、結局、ホーキング放射を出した後のBHのエネルギーE3は

E3=sqrt((Pbh+P)^2+m2^2)-2*E1

=sqrt((Pbh+P)^2+m2^2)-2*P ・・・②式

となる。

但しこの②式の中のm2はホーキング放射を出す前のBHの静止質量=BHに仮想粒子が運動量Pを運びこんだ後のBHの静止質量

 

さてそれで質量m1のBHが運動量(Pbh+P)で移動している時の相対論的なエネルギーは

sqrt((Pbh+P)^2+m1^2) ・・・③式

です。

ここでm1はBHがホーキング放射を出した後のBHの静止質量を示す。

そうして当然、②式と③式は同じ状態のBHのエネルギーについての計算だから

②式=③式 となる。

従って

sqrt((Pbh+P)^2+m2^2)-2*P=sqrt((Pbh+P)^2+m1^2)

両辺を二乗して

(sqrt((Pbh+P)^2+m2^2)-2*P)^2=(Pbh+P)^2+m1^2

m1^2を左辺に移動(m1^2について解く)

m1^2=(sqrt((Pbh+P)^2+m2^2)-2*P)^2ー(Pbh+P)^2

m1について解くと

m1=sqrt((sqrt((Pbh+P)^2+m2^2)-2*P)^2ー(Pbh+P)^2)

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さてホーキング放射を出した後のBHの質量m1はゼロ以上である事が必要です。

従ってルートの中身

(sqrt((Pbh+P)^2+m2^2)-2*P)^2ー(Pbh+P)^2

はゼロ以上である事が必要です。(注2

それで上記式を展開して整理すると

((Pbh+P)^2+m2^2)ー2*2*P*sqrt((Pbh+P)^2+m2^2)+4*P^2-(Pbh+P)^2

=m2^2ー4*P*sqrt((Pbh+P)^2+m2^2)+4*P^2

=(m2^2+4*P^2)ー4*P*sqrt((Pbh+P)^2+m2^2)・・・④式

④式が注目すべき関数です。

 

ここで(Pbh+P)=R と置き換える(この置き換えはウルフラムに入れる為に必要)

これをターゲット関数④式に代入して

(m2^2+4*P^2)ー4*P*sqrt((Pbh+P)^2+m2^2)

=(m2^2+4*P^2)ー4*P*sqrt(R^2+m2^2)・・・⑤式

 

さてm2^2は①式より

m2^2=(sqrt(Pbh^2+m^2)+P)^2-(Pbh+P)^2

ここでも(Pbh+P)=R と置き換えると

m2^2=(sqrt(Pbh^2+m^2)+P)^2-(Pbh+P)^2

=(sqrt(Pbh^2+m^2)+P)^2-R^2・・・⑥式

 

ターゲット関数⑤式に⑥式を代入して

(m2^2+4*P^2)ー4*P*sqrt(R^2+m2^2)

=(((sqrt(Pbh^2+m^2)+P)^2-R^2)+4*P^2)ー4*P*sqrt(R^2+((sqrt(Pbh^2+m^2)+P)^2-R^2))

ここでPbh=Q と置き換えると(この置き換えもウルフラムに入れる為に必要)

上式=(((sqrt(Q^2+m^2)+P)^2-R^2)+4*P^2)ー4*P*sqrt(R^2+((sqrt(Q^2+m^2)+P)^2-R^2))・・・⑦式

以上で準備終了です。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

さてそれで⑦式をウルフラムに入れて整理すると

実行アドレス

https://ja.wolframalpha.com/input?i=%EF%BC%88%EF%BC%88%EF%BC%88%EF%BD%93%EF%BD%91%EF%BD%92%EF%BD%94%EF%BC%88Q%EF%BC%BE%EF%BC%92%EF%BC%8B%EF%BD%8D%EF%BC%BE%EF%BC%92%EF%BC%89%EF%BC%8BP%EF%BC%89%EF%BC%BE%EF%BC%92%EF%BC%8DR%EF%BC%BE%EF%BC%92%EF%BC%89%EF%BC%8B%EF%BC%94%EF%BC%8AP%EF%BC%BE%EF%BC%92%EF%BC%89%E3%83%BC%EF%BC%94%EF%BC%8A%EF%BC%B0%EF%BC%8A%EF%BD%93%EF%BD%91%EF%BD%92%EF%BD%94%EF%BC%88R%EF%BC%BE%EF%BC%92%EF%BC%8B%EF%BC%88%EF%BC%88%EF%BD%93%EF%BD%91%EF%BD%92%EF%BD%94%EF%BC%88Q%EF%BC%BE%EF%BC%92%EF%BC%8B%EF%BD%8D%EF%BC%BE%EF%BC%92%EF%BC%89%EF%BC%8BP%EF%BC%89%EF%BC%BE%EF%BC%92%EF%BC%8DR%EF%BC%BE%EF%BC%92%EF%BC%89%EF%BC%89

「m,P,Q,Rを実数と仮定した場合の別の形」を経て最終的に

「m,P,Q,Rを正と仮定した場合の別の形」=「整理された形」を得る(注3)

整理された形

-2P*sqrt(m^2+Q^2)+(m^2+Q^2)+P^2-R^2 ・・・⑧式

この式の値がゼロ以上である事がこのBHがホーキング放射を出すことが出来る仮想粒子の運動量Pを決めている。

なんとなれば「ホーキング放射を出した後のBHの質量はゼロ以上である事が必要だから」ですね。

そうであれば ⑧式≧0がホーキング放射の起きる事が可能である事を示す判定式、ホーキング放射の一般解となります。

但しここでQ=PbhであってそれはこのBHが最初に持っていた運動量の大きさ、mは仮想粒子が飛びこむ前のBHの静止質量、PはBHに飛び込んだ仮想粒子の運動量の大きさ(=Pベクトルの絶対値)。

そうしてRはR=(Pbh+P)で(Pbh+P)は当初のBHの運動量ベクトルPbhとそのBHに飛び込んだ仮想粒子の運動量Pをベクトル合成したベクトルの大きさ(=絶対値)となります。

従ってm,P,Q,Rの値はいずれもゼロ以上の値となり⑧式成立の条件を満たします。

以上が「ホーキング放射の一般解の導出」となります。

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注1:ういき 静止エネルギー: https://archive.md/cVn2L :によれば

『特殊相対性理論によれば、運動する物体のエネルギーは次の式で表される。

E=sqrt(m^2*C^4+P^2*C^2)

ここで、E はエネルギー、m は質量、Pは運動量、C は光速である。』

但しこの場合運動量Pはもともとベクトルであるがこの式に代入するPはその運動量ベクトルの大きさ(=絶対値)を代入するのである。

これを書き換えると

E^2=P^2*C^2+m^2*C^4

となる。

そうしてC=1の自然単位系をもちいるならば

E^2=P^2+m^2

となる。

注2:ここが「相対論がホーキング放射を制約する」という話のキーポイントです。

ここでルートの中身がマイナスに落ちると、ホーキング放射を出した後のBHの質量m1は虚数となります。

そうしてマイナスの質量、と言うのはある程度は想定できるが、虚数の質量と言うのは相当に現実的ではない

従ってこの条件がBHがホーキング放射として出すことが出来る仮想粒子のエネルギーの大きさを制約している事になります。

それでこの条件はBHの質量がプランクスケールよりも相当に大きい場合は無視できますが、プランクスケールに近づくにつれて無視できなくなるのです。

注3:ここでウルフラムの存在の大きさについて言及せざるを得ません。

そうして当方の諸式運用の力では⑦式から⑧式への簡約はほとんど絶望的である。

これはもうウルフラムの力技に脱帽、おんぶにだっこ状態である。

ちなみにいまはやりの ChatGPTでもトライしたが、途中までは簡約できるが最終解には到達できなかった。

ChatGPTもそれなりにやる事はやるがウルフラムの数式処理能力とは比較にならない模様です。

 

ダークマター・ホーキングさんが考えたこと 一覧

https://archive.md/EyAJZ

 

 

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