宇宙論、ブラックホール、ダークマター、ホーキング放射、相対論

ブラックホール、ダークマター、ホーキング放射、相対論 etc etc

ダークマター・ホーキングさんが考えたこと・18・BH(ブラックホール)は光を出すのか?(2)

2019-04-09 00:41:09 | 日記
フェルミオンが放出される粒子である場合は放射スペクトルは黒体放射スペクトルになるであろう、と言う事はホーキングさんが言われる通りでありましょう。
しかしながら、光が放出される、とするとそれはBHがローカットフィルターとなり、ホーキング温度Tで一番多く放射されるはずの振動数νpの14倍以上の振動数でないとBHは吸収せず、したがってホーキング放射も起こらない、と言うのが前回の結論でありました。 

その事は放出される最低のエネルギーレベルが従来想定していた平均のエネルギーレベルの14倍程度になる、ということでもあり、従って対生成するであろう仮想粒子の寿命は14分の1となり、その粒子の飛行継続距離も14分の1程度に落ちるという事になります。
そうなりますと、従来は「多層の粒子放出層モデル」でホライズン半径の2倍程度の放出層の厚さを考慮すればよかろう、としてきましたが、とてもそれほどの層の厚さを想定する事は出来ない、と言う事になります。

飛行距離の議論は「ホーキングさんが考えたこと・15」で行いましたが、それと同じ議論を今度は「光の場合は飛行継続距離が14分の1になる」という条件を入れて再度行う事になります。
「15」での議論は温度Tでの放出数がピークとなる振動数νpを指標とし、その粒子の飛行距離がホライズンまでの距離の何倍になっているかで、黒体放射スペクトルを示す放射粒子について、十分な数の粒子がホライズンに到着できるかどうかを判断していました。

それに対して今回は状況が異なり、BHに吸収されるであろう最低エネルギーの振動数をもつ光が判断基準を与えます。
この光がとにかくBHに到達する事、そのような条件をまずは調べましょう。

それは振動数νpを指標とした場合にその飛行距離がホライズンまでの距離の14倍以上必要である、と言う事になります。
それぐらいホライズンに近い場所からでないと、仮想粒子がホライズンに到達できない、到達する前に仮想粒子は消滅してしまう、と言う事になります。


さてそれで「15」では2つのケースについて考察しました。
飛行コースとしてホライズンに到達可能な円錐の外面に沿って飛ぶ場合(このコースが最悪条件です)、それからその円錐の中心軸近傍を飛行する場合(これは最良条件です)の2つでした。
今回も同様に「15」を参照しながら、この2つのケースで見ていきましょう。

円錐の外面に沿って飛ぶ場合(最悪条件)
比率1.114X^2/sqrt(X^2-1)=14として、Wolfram|Alphaでその根の値を調べます。
「14=1.114X^2/sqrt(X^2-1)の根」と入力して
X=10/557*SQRT(70*(3500-3*SQRT(1326639)))=1.003201を得ます。

仮想粒子(光子)はX=1から1.003201という範囲内の位置での発生のみが許容される事がわかります。

円錐の中心軸近傍を飛行する場合(最良条件)
比率1.114X^2/(X-1)=14として根を求めます。
「14=1.114X^2/(X-1)の根」
X=-10/557*(SQRT(83510)-350)=1.095494

今度はXが1から1.095494という範囲内の位置での発生までが許容され、相当に許容範囲が広がる事が分かります。

さて、こう言う場合はたいてい平均値を使うのが妥当であります。
(今回のここでの議論はその程度の厳密さしか持たず、ある程度の目安を確認するという事であります。)

それで求めるXは
X=(1.003201+1.095494)/2=1.0493475≒1.049
こうしてXの許容範囲が1<X<1.049と決定できました。
フェルミオンの場合は1<x<3を許容していましたので、それに比べると随分と光の場合は仮想粒子の発生可能な許容範囲が狭く、かつホライズンに近い、と言う事が特徴的であります。


次にこの範囲で「ホーキングさんが考えたこと・14」の議論を参照して(1/X^6)(1-sqrt(X^2-1)/X)を積分します。
「(1/X^6)(1-sqrt(X^2-1)/X) 積分範囲1から1.049」を入力し、
答えは0.0341を得ます。
フェルミオンの時は同様に積分した結果、得られた補正数値は0.1018でしたので、光の場合はその値の33.5%、約3分の1になる事がわかりました。


結論
フェルミオン放射に対してホーキング放射が光である場合は、エネルギー増加による仮想粒子の存在時間の短縮、ひいては仮想粒子の飛行距離が短くなるという影響を考慮する必要があり、その結果フェルミオンの場合よりも許容される仮想粒子発生層が薄くなり、その事によって放射効率がフェルミオンに比べて約3分の1になるという事になります。

(ちなみに前回検討したのは、光放射の場合にはBHがローカットフィルターとして働く為に黒体放射スペクトルでの放射が実現できず、その分放射効率が落ちる、と言う話であり、今回のこの話とはまた別の話であります。
つまり、BHがフェルミオンではなく光を放射する、とした場合にはフェルミオンの場合にはなかった、新たに発生する事になる2つの放射効率を阻害する要因が絡んでくるのです。
それはBHが光に対してはローカットフィルターになる、それから光の場合は仮想粒子の飛行距離が落ちという事であります。)


追伸
さてそう言う訳で、以下、前回「17」で提示した寿命関連の記述は次のように修正される事になります。

『従来のBHの寿命式はこうでした。
t=(8.41E-17)*M^3(Sec)
この式ですとM=250000Kg(250トン)に到達してから寿命まではt=1.314secです。

これが前回まで提案してきた「多層の仮想粒子発生モデル」ですとほぼ10倍のt=13.14secに伸びます。<--フェルミオンの場合はこれでOK。

でも光の場合には、ここが10倍からさらに3倍した30倍に修正する必要がある、というのが今回の検討結果になります。
そしてその結果はt=13.14secから39.42sectに伸びる事になります。


さらにBHが放出する粒子は光子のみである、とすると寿命は上記の6.85*10^11倍に伸びて29.1万年程となります。<--BHが光の低周波数側を受け入れない事による結果です。

上記のt=13.14secーー>39.42secが加味されその結果、寿命は29.1万年が85.6万年程にさらに伸びる、という事になります。』


同様に「17」の注2の記述も以下の様に修正されます。
『注2
BHが光子のみを放出と言う事で計算すると、最後の1秒で8.3Kgの質量が光子(γ線)に変わります。
それは7.46E+17(J)程度でありTNT換算で178メガトン、水爆3個程度に相当する爆発が起こりそうです。

ちなみに最後の瞬間から2年前の1日間ではTNT換算で376トンのエネルギーがγ線に変換されます。
それは1.57*10^12(J)/日=18205KW。
一般世帯4550軒相当のエネルギーになります。

そうであれば、BHの蒸発の観測、というのはこの辺りの状況が限界かと思われます。
その時のBH質量は3316Kg(車2台分程度),ホライズン半径は4.92*10^-24(m)。
陽子半径が8.75*10^-16(m)ですから、まあBHというものはいずれにせよ大変なしろものではあります。』


ホーキング放射が実際にはニュートリノを放出するプロセスがどれくらいの割合を占めて、光を放出する割合がどれくらいであるのか、あるいはあったのか、BHの寿命計算に与える影響を見てもそれはとても重要なポイントである、と言う事が分かります。
しかしながら、それについての情報、手がかりは残念ながら今の所はあまりない様であります。

加えて申し添えますれば、BHの最後の1秒間に放出される事になるエネルギーがγ線であれば人類にとってそれは観測可能な事象となりますが、ニュートリノであった場合は、その観測は非常に難しくなる、それはまるで「無音の爆発」の様であります。

注1
以下、上記追伸のさらに重力赤方偏移による修正となります。<--リンク
BHから放射される光は重力赤方偏移を受けます。

wikiから、仮想粒子放出点rでの時間間隔(時間の流れのスピード)=BH重力圏外の観測点の時間間隔*SQRT(1-Rs/r)。
放出点で振動数νを持つ光の周期は1/νになります。
従って1/ν(放出点)=1/ν(観測点)*SQRT(1-Rs/r)

観測されるエネルギーEはE=(生h)*ν(観測点)であり、観測点での光の振動数に比例します。
そうしてν(観測点)=ν(放出点)*SQRT(1-Rs/r)によって放出される光の振動数ν(放出点)に対しては重力による補正を行いν(観測点)を求める必要があります。

今回はr=1.049*Rsと決めましたので、この値で修正値SQRT(1-Rs/r)を計算します。
r=1.049*Rsを代入してSQRT(1-Rs/r)=0.2161・・・が求まります。

以上より上記記述は最終的に以下の様になります。
『注2
BHが光子のみを放出と言う事で計算すると、最後の1秒で8.3Kgの質量が光子(γ線)に変わります。
それは1.61E+17(J)程度でありTNT換算で38.5メガトン、水爆0.6個程度に相当する爆発が起こりそうです。

観測点ではこうなります。
そうして、我々は対象BHの重力圏外に位置する観測点でしか、このような小さなBHの状況は観測できないのであります。

ちなみに最後の瞬間から2年前の1日間ではTNT換算で81トンのエネルギーがγ線に変換されます。
それは3.39*10^11(J)/日=3935KW。
一般世帯962軒相当のエネルギーになります。』

そうして重力赤方偏移は観測されるエネルギーについての修正にはなりますが、BHの寿命そのものには影響を与える事はなく、寿命の計算は従来の考え方で問題はありません。

さてそう言う訳で、従来の計算では原始BHの最後は1秒間で250トンの質量がγ線に変わり、大変な爆発現象が観察される、と期待されていましたが、実際に状況を詳細に検討してみますれば、250トンが8.3Kgになり、さらには重力赤方偏移の効果によって観測されるエネルギーは1.8kg相当の質量がγ線としてエネルギーに変換された様に見えるだけの様です。

そうであればこれはBHの最後の姿というものが、本当にいつのまにか「大爆発ではなく、線香花火になってしまった様なもの」であります。

以下、ご参考までに。
・銀河中心ブラックホールの近傍で一般相対性理論を検証<--リンク
http://archive.fo/J68su

注2
[そうして重力赤方偏移は観測されるエネルギーについての修正にはなりますが、BHの寿命そのものには影響を与える事はなく、寿命の計算は従来の考え方で問題はありません。]

こう書きましたが、BHタイム、[BHがホライズン近傍で感じている寿命]はこの記述の通りでありましょうが、さて、[BHの重力圏を離れた外部の観測者が測定する寿命]が本当にBHタイムと同一であるのかどうか、そこの所は多少の疑問が残る所でもあります。


・ダークマター・ホーキングさんが考えたこと 一覧<--リンク


http://archive.fo/I2zbR
http://archive.fo/Fq8Dz
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ダークマター・ホーキングさんが考えたこと・17・BH(ブラックホール)は光を出すのか?

2019-04-06 00:46:52 | 日記

「BHが黒体輻射している」というのはホーキングさんの結論でありました。
そうであれば「いまさら何を言っているんだ、お前は」と言われそうであります。

しかしながら、ホーキングさんは放出される粒子が「光子である」とは一言も言っていません。
「なにやらエネルギーをもった粒子であろう」そう主張されているにすぎない様です。
そうしてその粒子の持つエネルギーを数多く観測すれば、そのスペクトルが黒体放射スペクトルと一致する、そう主張しているにすぎません。

そうして今までの議論が何ゆえに「放射される粒子はニュートリノである」と想定して話を進めてきたのか、より一般的に真空の揺らぎで対生成される粒子といえば光子ではないのか、そう言われそうであります。
まあそうなんでありますが、ニュートリノはフェルミオン、光子はボゾンであり、前者は閉じた弦で表され、後者は開いた弦で表されます。
そしてニュートリノのサイズは閉じた弦のサイズ、それはプランク長あたりであろうとされていますが、そのような「大きさ」を想定する事が可能であります。

他方で光子というのは「波長というサイズ」を持つ事は、これもまた周知のことでありましょう。
それゆえに顕微鏡の分解能はその顕微鏡が使用している波の波長程度が限界となります。

さて、BHもホライズンの直径というサイズを持っています。
このサイズがプランク長未満になると、フェルミオンはBHの中に飛び込めない、「そこで一応の準安定に到達する」と言うのが当方の主張でした。

同様に光子に対してもその波長サイズがBHに入れるかどうか、それを決める要因になっていると想定するのは妥当な事であります。
現にベッケンシュタインさんはBHの直径サイズの波長をもった光子がBHに入る事でBHのホライズン表面積がLp^2程増加する、そしてそれがBHが情報を蓄積する際の最小単位である、と主張されたのでした。
そうしてBHの直径よりも大きな波長をもった光子がBHの中に入る状況、というものは、確率的にはゼロと言う事ではないでしょうが、相当に起こりにくい現象であろうという事は想定できます。

さてそうであれば、ここではベッケンシュタインさんに同意し、「BHに入れる光の波長はBHホライズンの直径が上限である」と想定し、話を進める事とします。

質量MのBHのホライズン半径RsはRs=2*G*M/C^2 .でした。
直径が波長λになりますからλ=4*G*M/C^2 です。
その時の光の周波数νはν=C/λ=C/(4*G*M/C^2)=C^3/(4*G*M)です。.

そしてその時のBHのホーキング温度TはT=h*C^3/(8*pi*Kb*G*M)。
プランク則よりその温度の時の最も多く放出される光子の振動数νpは (生h)*νp = 2.82*Kb*Tから
νp=(2.82*Kb*T)/(生h)
生h=h*2*Piを代入して
νp=(2.82*Kb*T)/(h*2*Pi)
上式にT=h*C^3/(8*pi*Kb*G*M)を代入して整理すると
νp=(2.82*C^3)/(16*Pi^2*G*M)

次にνがνpの何倍になっているか調べます。
レシオRはR=ν/νp=(C^3/(4*G*M))/((2.82*C^3)/(16*Pi^2*G*M))
R=(4*Pi^2)/2.82=13.99942≒14

そういうわけで、BHが受け入れ可能な光子の振動数はBHのホーキング温度Tで計算される黒体放射スペクトルのピーク周波数νpの14倍以上からである、と言う事が分かるのでした。
これはつまり「BHは光に対してはローカットフィルターになっている」と言う事であります。
そうして、BHが光を吸収してはじめてBHは反対方向への光の放射が可能になるのですから、放射される光のスペクトルは黒体放射スペクトルとはまるで違うものになる、と言う事が分かります。


さてここでプランクの放射則を簡略化した式(hとKbを1とし、温度を100とした式)x^3/(e^(x/100)-1)を使います。(注1)
ここでxは振動数を表しています。
そしてここでもWolframを使います。<--リンク
プロットを選びます。
「x^3/(e^(x/100)-1) ,0<x<1500」<--こんな風に書いて入力(コピペ)するとスペクトルグラフが出てきます。
このグラフのピークは「x^3/(e^(x/100)-1) の極大値」と書けば出てきます。
グラフにカーソルを合わせて282がピークである事を確かめましょう。

Wolframの「例」に戻って積分ーー>定積分を選びます。
「0から1500の範囲でx^3/(e^(x/100)-1) を積分」しますと6.49267*10^8が答えです。
「0から無限の範囲でx^3/(e^(x/100)-1) を積分」で6.49394*10^8。

さて問題の14倍ではX=282*14=3948
「3948から無限の範囲でx^3/(e^(x/100)-1) を積分」では0.0000474879。

実は光の振動数は上限がありそうですが、まあ一応それはここでは無視しています。

そうして問題は「3948から無限の範囲」の光子が発生する確率ですね。
それは母数が6.49394*10^8ですから、それで割ってやればよろしい。
Ans=0.0000474879/(6.49394*10^8)
Ans=7.31*10^-14=0.0000000000000731

さて、光はBHから出てきそうですが、それは従来予想された頻度よりも随分と低い状況の様です。
ただしピーク周波数の14倍以上のエネルギーを持っていますから、それを考慮しますとエネルギーの放射効率⊿Erは⊿Er=(7.31*10^-14)*14~20程度かと思われます。
最大予測値の20で見積もって
⊿Er=(7.31*10^-14)*20=1.46*10^-12=0.00000000000146程度かと。
それはつまりBHの寿命は放出される粒子が光子のみであるとすると、放出粒子をフェルミオンと想定して計算した場合の1/0.00000000000146倍に伸びる、と言う事であります。


さて従来のBHの寿命式はこうでした。
t=(8.41E-17)*M^3(Sec)
この式ですとM=250000Kg(250トン)に到達してから寿命まではt=1.314secです。(注2)

これが前回まで提案してきた「多層の仮想粒子発生モデル」ですとほぼ10倍のt=13.14secに伸びます。

さらにBHが放出する粒子は光子のみである、とすると寿命は上記の6.85*10^11倍に伸びて29.1万年程となります。

そう言う訳で、BHは確かに光子は放出しそうですが、なかなかそれは難しい事である、と言う事が分かるのでありました。
(イトウ 2019年4月3日)

注1
ここでは温度を100にしていますが、この温度を1000にするとピークのXが2820となりその14倍の値が39480となり、無限大までの積分の値が変わってきますがそれと同じようにゼロから無限大までの積分の値も変化し、その結果、必要なレシオの値、確率の値は一定に保たれます。
そうしてそれが「プランク則のグラフの形は温度には寄らない」と言う意味になります。

注2
BHが光子のみを放出と言う事で計算すると、最後の1秒で12Kgの質量が光子(γ線)に変わります。
それは1.08E+18(J)程度でありTNT換算で258メガトン、水爆4個程度に相当する爆発が起こりそうです。

ちなみに最後の瞬間から2年前の1日間ではTNT換算で644トンのエネルギーがγ線に変換されます。
それは2.7*10^12(J)/日=31200KW。
一般世帯7800軒相当のエネルギーになります。

そうであれば、BHの蒸発の観測、というのはこの辺りの状況が限界かと思われます。
その時のBH質量は4780Kg(車3台分程度),ホライズン半径は7.099*10^-24(m)。
陽子半径が8.75*10^-16(m)ですから、まあBHというものはいずれにせよ大変なしろものではあります。


・ダークマター・ホーキングさんが考えたこと 一覧<--リンク


http://archive.fo/yjfmx
http://archive.fo/yVWjz

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ダークマター・ホーキングさんが考えたこと・16・ホーキング放射のシミュレーション(4)

2019-04-03 01:19:07 | 日記

個々の原始BHがホーキング放射を出す事によってどのような質量を持ってプランクレベルまで到達する事になるのか、それはランダムシミュレーションを行ってみないと分からない事であります。
そうでありますが、一応ここではプランク質量にまで到達したBHをスタートラインとして、それ以降のもっともありそうなシナリオを見ていく事にします。

但し、以下のお話は前回まで繰り広げてきた「多層の仮想粒子放出モデル」ではなく一番ホライズンに近い最下層のみを使ったものであり、そしてそれはホーキングさんが最初に想定したモデルと同一のものでもあります。
従いまして、多層の仮想粒子放出モデルで近似される現実の状況においては、よりエネルギーレベルが低い仮想粒子のBHへの飛び込みが想定されますので、計算のステップ数はより多くなる事が想定できます。

さてそれで計算のスタートラインはBHがプランク質量に到達した所からです。
プランク質量MpはMp=2.176*10^(-8)(kg)=21.76μgとなります。
BH半径Rsはプランク長さLpの2倍。(Lp=1.616*10^-35)
その時のBHのホーキング温度TはT=5.639*10^30(K)。
そしてその時に一番放出される確率の高い周波数νによる放出エネルギーはhν = 2.82 kTであり、E=⊿M*C^2によって質量換算をすると2.443E-09(kg)となります。(注1)

そうであればこのエネルギーをもった仮想粒子(ニュートリノを想定)がBHに飛び込む事により、BHはそのエネルギー分だけ質量がマイナスになる、と言う事は従来からの説明の繰り返しになります。
そうなりますと、次の計算のスタートはBHの質量がMp-⊿Mということになり、上記と同様にして温度T、そうして対応する換算質量⊿Mを求めていく事になります。

そのようにして、まずはBHの直径がLp未満に至るまでを計算します。
以下その結果になります。

  M(Kg)    T(K)    ⊿M(Kg)  M-⊿M(Kg)  2*Rs/Lp
!2.176E-08   5.638E+30  2.443E-09  1.932E-08    4.0
!1.932E-08   6.351E+30  2.751E-09  1.657E-08    3.55
!1.657E-08   7.407E+30  3.208E-09  1.336E-08    3.04
!1.336E-08   9.186E+30  3.979E-09  9.378E-09    2.46
!9.378E-09   1.308E+31  5.667E-09  3.711E-09    1.72
!3.711E-09                               0.68

2*Rs/LpはBHの直径がLpの何倍になっているかを示しています。
その結果は、5回目終了時点で1倍を割り込んでしまいますので、6回目以降のホーキング放射はトンネル・ホーキング放射となる事が分かります。(注2)
つまり5回目終了時点で、このBHは「準安定の状況になった」と判断できます。
そうして、大方のBHはこのようにしてプランクレベル到達後5~6回のホーキング放射を出す事で準安定の状況に至るであろう、と予想する事ができます。

さてそれで「この状況のBHがダークマターの正体である」と言うのが当方の主張になる訳であります。

ちなみに5回目終了時点でのBHの表面積は1.452*Lp^2であり、つまりこのBHは情報量は1ビットしか持っていないBHである、と言う事になります。(注5)


さてその後、長い期間をかけてトンネルしてのBHへの飛び込みを試みていた仮想粒子がある時に成功します。(注3)
それはプランクレベル到達後のこのBHにとっては6回目の飛びこみになりますが、その結果は以下の様になります。

   M(Kg)    T(K)    ⊿M(Kg)  M-⊿M(Kg)  
!3.711E-09   3.307E+31  1.432E-08  -1.061E-08
!-1.061E-08  <--END

計算結果ではほぼ一回の飛び込みでこのBHはプラス質量のBHからマイナス質量のBHへと変化する事になります。
そうして、これがインフレーションでつくられた原始BHが最後の最後にたどり着く安定した姿であり、そうしてそれは又ダークエネルギーの正体でもある、と言うのもまた今回提案している主張となります。(注4)

注1
プランク則に依ります。<--リンク

注2
トンネル・ホーキング放射についてはこちらを参照ねがいます。<--リンク

注3
長い期間についてはこちらを参照ねがいます。<--リンク

注4
BH質量がプラスからマイナスにジャンプすることでそれまで存在していたホライズンが消失し、従ってそれ以降はホーキング放射の機構が働かなくなり、このマイナス質量のBH、あるいはマイナス質量の裸の特異点は安定して存在し続ける事になります。
この件、議論詳細はこちらを参照願います。<--リンク

注5
日経サイエンス2017年1月号・「ホログラフィー原理を解く」によれば『ベッケンシュタインはBHの半径程度の波長をもつ光子がBHに吸収されるとBHの表面積がLp^2ほど増加する事を見出し、これがBHの持つエントロピーの最小単位であるとした』と記述されている。<--リンク
以下、この内容についてのちょっとした計算です。

BH半径RsはRs=2*G*M/C^2 .
波長λがRs程度であるのでその振動数νはν=C/λでエネルギーEはE=h*ν=h*C/λ。
換算質量⊿Mは⊿M=E/C^2=(h*C/λ)/C^2=h/(C*λ)
λにRsを代入して整理すると⊿M=h*C/(2*G*M)

BHが⊿Mを吸収したのでホライズン半径がその分増加します。
増加後の半径をRs1とするとRs1=2*G*(M+⊿M)/C^2=Rs+⊿Rs
その時の表面積SはS=4*Pi*(Rs+⊿Rs)^2
いままでhは生hだったので2*Piで割っておかないとプランク単位系にならないので忘れずに。
従ってこれ以降はhは(生h)/(2*Pi)を表します。

それやこれやを加味して整理すると
S=4*Pi*(Rs^2+2*Rs*⊿Rs+⊿Rs^2)
↑=4*Pi*Rs^2+2*(sqrt((G*h)・C^3))^2+h^2/(Pi*C^2*M^2)
↑=4*Pi*Rs^2+2*(Lp)^2+h^2/(Pi*C^2*M^2)

こうして分かる事はRs程度の波長ですとBHの表面積が2倍のLp^2ほど増加してしまう、サイエンスの記事の倍になってしまいます。
それを半分にするにはBHに入る光子の振動数を半分にしてやればよい、つまりBHの直径程度の光子を吸収させればよい事になります。
以下、その様にした場合の計算結果です。
S=4*Pi*Rs^2+(Lp)^2+h^2/(4*Pi*C^2*M^2)

こうしてBHの質量Mがプランク質量Mに比較して相当に大きい場合(1kgを超える程度のBHの場合)は第3項をネグってしまい、「表面積はLp^2ほど増加する」というベッケンシュタインさんの主張が成立する事がわかります。

まあそれはそれとしてBHホライズン直径がLpになった時のBHの表面積は4*Pi*(Lp/2)^2=Pi*Lp^2でありこうしてこのBHのもつ情報量が3ビット程度である事が分かるのであります。

注6
ニュートリノ放出のプロセスでBHがプラス質量からマイナス質量へジャンプするときに放出されるニュートリノのエネルギーは質量換算で1.432E-08(kg)であると算出しました。
しかしこの値はBHホライズンの近くでのエネルギー値であって、実際に我々が観測できたとすれば、それはこのBHの重力ポテンシャルの井戸を登りきった後のニュートリノのエネルギーになります。
詳細なお話は後程とさせていただきますが、概算ではホライズン近傍で持っていたエネルギーはかなりの部分、ポテンシャル井戸を登るのに費やされ、残りの8%ほどのエネルギーが観測される事になるもの思われます。

この部分の記述は誤りのようです。
訂正詳細は「ホーキングさんが考えたこと・20」の記事を参照願います。<--リンク

追記(2021/2/22):上記記述ではトンネルホーキング放射によってBHがマイナスエネルギー状態に落ちる、としていますが、後述する検討結果からは「運動量保存則を考慮した場合、BHのマイナスエネルギーへのジャンプは禁止される」が正解である事が判明しております。詳細は以下のページを参照願います。

・26・BH(ブラックホール)は消滅可能なのか?(4)

・ダークマター・ホーキングさんが考えたこと 一覧<--リンク


http://archive.fo/iB5Z8

http://archive.fo/6hSC9

https://archive.fo/w6xa9

 

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2月の成績報告(2019年)

2019-04-01 19:38:20 | 日記
2月末時点でのさわかみファンド成績

月末時点で元金459.4万円、利益+4696637円、利回り+102.2%
平均取得単価11989円、時価24066円、日経平均21385円です。
全投資家平均利回り+65.3%(歴代変動幅+98.4%~ー35.8%)
 同上 全期間通算 +17.2%(2001年~現在まで)ー>年率換算0.94%

1月末時点でのさわかみファンド成績

月末時点で元金459.4万円、利益+4536814円、利回り+98.8%
平均取得単価11989円、時価23652円、日経平均20773円です。
全投資家平均利回り+62.3%(歴代変動幅+98.4%~ー35.8%)
 同上 全期間通算 +17.0%(2001年~現在まで)ー>年率換算0.93%


さて、今月は前月より日経平均612円ほど上げましたが、
さわかみさんところは414円ほどの上げです。(ぶー)


それで今月の利益は今月利益ー先月利益=+360954円となりました。

以上まとめますと

民主党政権時代は暗黒時代
安倍さんの登場で円安誘導成功!!
そうやって始まった、以下安倍ノミクス相場

2013年での損益(6~12月)
         +1034606円
2014年での損益(1~12月)
         +2191964円
2015年での損益(1~12月)
          +540080円
2016年での損益(1~12月)
          +111954円
2017年での損益(1~12月)
(トランプ相場)+2122485円
2018年での損益(1~12月)
(トランプ相場)-1825229円<--差し引き+297256円がトランプ効果!
                   2017年でがんばって2018年でほぼ帳消し。
2019年での損益(1~12月)
1月損益     +360954円
2月損益     +159823円

累積損益   +4696637円


さわかみさん、今月は上げました。
そうして全投資家平均利回りも+62.3%ー>65.3%に上がりました。

それから現金比率は11.1%から10.7%で下がりました。

組み入れ銘柄数は102->102で変わらずです。
      2015年
       3月   4月   5月   6月   7月    8月    9月
現金比率 7%  9.2% 7.9% 9.3% 10.7% 12.9% 14.4%
                         2016年
       10月   11月   12月   1月    2月    3月    4月
現金比率 13.0% 12.3% 12.8% 13.6% 14.6% 14.4% 13.5%
銘柄数    103   103   103    104   103   102   102
(↑組み入れ銘柄数)
       5月    6月    7月    8月    9月    10月    11月
現金比率 13.1% 14.7% 13.8% 14.0% 14.6% 13.8% 13.9%
銘柄数    99    99    99    99     99    99    99
(↑組み入れ銘柄数)
                         2017年
       12月    1月    2月   3月    4月    5月    6月
現金比率 12.4% 12.1% 12.5% 12.8% 13.0% 12.5% 12.1%
銘柄数     99    99    97    97    97    97    98
(↑組み入れ銘柄数)
                         2017年
        7月    8月    9月   10月    11月    12月    1月
現金比率 12.1% 12.3% 12.4% 10.1% 9.66% 9.35% 9.20%
銘柄数     98    97    96    94    94    95    95
(↑組み入れ銘柄数)
                         2018年
        2月    3月    4月    5月     6月     7月    8月
現金比率 11.6% 10.1% 9.89% 10.3% 11.3% 11.6% 11.8%
銘柄数     95    96    96     96    97    99    99
(↑組み入れ銘柄数)
                                  2019年
        9月   10月   11月   12月     1月     2月    3月
現金比率 11.6% 11.9% 11.6% 11.6% 11.1%  10.7%
銘柄数     99   100   101   102    102    102
(↑組み入れ銘柄数)

さてそれから、今月は会員数微増でありました。
そしてさわかみさん、今月は日経平均上昇ですが、若干の出金超過の模様です。

追伸
どうも近頃さわかみさんのパフォーマンスが落ちてきている様に見受けられます。
とあるノーロード・インデックスファンドの直近の基準価格は24024円、
対するさわかみさんは24116円です。(3月29日現在 プラス92円)

そういう訳で、運営の皆様におかれましては、どうぞ気合を入れなおしていただきたいと思う次第であります。

PS
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全投資家平均利回り:月末時点でのファンドが持っている(投資家にとっての実質上の)平均利回り

考え方

個々の投資家は投資のタイミングがばらばらです。

従って、それぞれ異なった利回りを持つ事になりますので、投資家全員で平均してやる必要があります。

そうやって出した平均値がほぼ「全投資家平均利回り」に相当します。

ご自分の利回りの成績を判断する際の基準値としてお使いいただければ、、、と。
(ファンド仲間と比較して、上位か並みか下位か、ぐらいの判断は可能であります。)
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