宇宙論、ブラックホール、ダークマター、ホーキング放射、相対論

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ダークマター・ホーキングさんが考えたこと・16・ホーキング放射のシミュレーション(4)

2019-04-03 01:19:07 | 日記

個々の原始BHがホーキング放射を出す事によってどのような質量を持ってプランクレベルまで到達する事になるのか、それはランダムシミュレーションを行ってみないと分からない事であります。
そうでありますが、一応ここではプランク質量にまで到達したBHをスタートラインとして、それ以降のもっともありそうなシナリオを見ていく事にします。

但し、以下のお話は前回まで繰り広げてきた「多層の仮想粒子放出モデル」ではなく一番ホライズンに近い最下層のみを使ったものであり、そしてそれはホーキングさんが最初に想定したモデルと同一のものでもあります。
従いまして、多層の仮想粒子放出モデルで近似される現実の状況においては、よりエネルギーレベルが低い仮想粒子のBHへの飛び込みが想定されますので、計算のステップ数はより多くなる事が想定できます。

さてそれで計算のスタートラインはBHがプランク質量に到達した所からです。
プランク質量MpはMp=2.176*10^(-8)(kg)=21.76μgとなります。
BH半径Rsはプランク長さLpの2倍。(Lp=1.616*10^-35)
その時のBHのホーキング温度TはT=5.639*10^30(K)。
そしてその時に一番放出される確率の高い周波数νによる放出エネルギーはhν = 2.82 kTであり、E=⊿M*C^2によって質量換算をすると2.443E-09(kg)となります。(注1)

そうであればこのエネルギーをもった仮想粒子(ニュートリノを想定)がBHに飛び込む事により、BHはそのエネルギー分だけ質量がマイナスになる、と言う事は従来からの説明の繰り返しになります。
そうなりますと、次の計算のスタートはBHの質量がMp-⊿Mということになり、上記と同様にして温度T、そうして対応する換算質量⊿Mを求めていく事になります。

そのようにして、まずはBHの直径がLp未満に至るまでを計算します。
以下その結果になります。

  M(Kg)    T(K)    ⊿M(Kg)  M-⊿M(Kg)  2*Rs/Lp
!2.176E-08   5.638E+30  2.443E-09  1.932E-08    4.0
!1.932E-08   6.351E+30  2.751E-09  1.657E-08    3.55
!1.657E-08   7.407E+30  3.208E-09  1.336E-08    3.04
!1.336E-08   9.186E+30  3.979E-09  9.378E-09    2.46
!9.378E-09   1.308E+31  5.667E-09  3.711E-09    1.72
!3.711E-09                               0.68

2*Rs/LpはBHの直径がLpの何倍になっているかを示しています。
その結果は、5回目終了時点で1倍を割り込んでしまいますので、6回目以降のホーキング放射はトンネル・ホーキング放射となる事が分かります。(注2)
つまり5回目終了時点で、このBHは「準安定の状況になった」と判断できます。
そうして、大方のBHはこのようにしてプランクレベル到達後5~6回のホーキング放射を出す事で準安定の状況に至るであろう、と予想する事ができます。

さてそれで「この状況のBHがダークマターの正体である」と言うのが当方の主張になる訳であります。

ちなみに5回目終了時点でのBHの表面積は1.452*Lp^2であり、つまりこのBHは情報量は1ビットしか持っていないBHである、と言う事になります。(注5)


さてその後、長い期間をかけてトンネルしてのBHへの飛び込みを試みていた仮想粒子がある時に成功します。(注3)
それはプランクレベル到達後のこのBHにとっては6回目の飛びこみになりますが、その結果は以下の様になります。

   M(Kg)    T(K)    ⊿M(Kg)  M-⊿M(Kg)  
!3.711E-09   3.307E+31  1.432E-08  -1.061E-08
!-1.061E-08  <--END

計算結果ではほぼ一回の飛び込みでこのBHはプラス質量のBHからマイナス質量のBHへと変化する事になります。
そうして、これがインフレーションでつくられた原始BHが最後の最後にたどり着く安定した姿であり、そうしてそれは又ダークエネルギーの正体でもある、と言うのもまた今回提案している主張となります。(注4)

注1
プランク則に依ります。<--リンク

注2
トンネル・ホーキング放射についてはこちらを参照ねがいます。<--リンク

注3
長い期間についてはこちらを参照ねがいます。<--リンク

注4
BH質量がプラスからマイナスにジャンプすることでそれまで存在していたホライズンが消失し、従ってそれ以降はホーキング放射の機構が働かなくなり、このマイナス質量のBH、あるいはマイナス質量の裸の特異点は安定して存在し続ける事になります。
この件、議論詳細はこちらを参照願います。<--リンク

注5
日経サイエンス2017年1月号・「ホログラフィー原理を解く」によれば『ベッケンシュタインはBHの半径程度の波長をもつ光子がBHに吸収されるとBHの表面積がLp^2ほど増加する事を見出し、これがBHの持つエントロピーの最小単位であるとした』と記述されている。<--リンク
以下、この内容についてのちょっとした計算です。

BH半径RsはRs=2*G*M/C^2 .
波長λがRs程度であるのでその振動数νはν=C/λでエネルギーEはE=h*ν=h*C/λ。
換算質量⊿Mは⊿M=E/C^2=(h*C/λ)/C^2=h/(C*λ)
λにRsを代入して整理すると⊿M=h*C/(2*G*M)

BHが⊿Mを吸収したのでホライズン半径がその分増加します。
増加後の半径をRs1とするとRs1=2*G*(M+⊿M)/C^2=Rs+⊿Rs
その時の表面積SはS=4*Pi*(Rs+⊿Rs)^2
いままでhは生hだったので2*Piで割っておかないとプランク単位系にならないので忘れずに。
従ってこれ以降はhは(生h)/(2*Pi)を表します。

それやこれやを加味して整理すると
S=4*Pi*(Rs^2+2*Rs*⊿Rs+⊿Rs^2)
↑=4*Pi*Rs^2+2*(sqrt((G*h)・C^3))^2+h^2/(Pi*C^2*M^2)
↑=4*Pi*Rs^2+2*(Lp)^2+h^2/(Pi*C^2*M^2)

こうして分かる事はRs程度の波長ですとBHの表面積が2倍のLp^2ほど増加してしまう、サイエンスの記事の倍になってしまいます。
それを半分にするにはBHに入る光子の振動数を半分にしてやればよい、つまりBHの直径程度の光子を吸収させればよい事になります。
以下、その様にした場合の計算結果です。
S=4*Pi*Rs^2+(Lp)^2+h^2/(4*Pi*C^2*M^2)

こうしてBHの質量Mがプランク質量Mに比較して相当に大きい場合(1kgを超える程度のBHの場合)は第3項をネグってしまい、「表面積はLp^2ほど増加する」というベッケンシュタインさんの主張が成立する事がわかります。

まあそれはそれとしてBHホライズン直径がLpになった時のBHの表面積は4*Pi*(Lp/2)^2=Pi*Lp^2でありこうしてこのBHのもつ情報量が3ビット程度である事が分かるのであります。

注6
ニュートリノ放出のプロセスでBHがプラス質量からマイナス質量へジャンプするときに放出されるニュートリノのエネルギーは質量換算で1.432E-08(kg)であると算出しました。
しかしこの値はBHホライズンの近くでのエネルギー値であって、実際に我々が観測できたとすれば、それはこのBHの重力ポテンシャルの井戸を登りきった後のニュートリノのエネルギーになります。
詳細なお話は後程とさせていただきますが、概算ではホライズン近傍で持っていたエネルギーはかなりの部分、ポテンシャル井戸を登るのに費やされ、残りの8%ほどのエネルギーが観測される事になるもの思われます。

この部分の記述は誤りのようです。
訂正詳細は「ホーキングさんが考えたこと・20」の記事を参照願います。<--リンク

追記(2021/2/22):上記記述ではトンネルホーキング放射によってBHがマイナスエネルギー状態に落ちる、としていますが、後述する検討結果からは「運動量保存則を考慮した場合、BHのマイナスエネルギーへのジャンプは禁止される」が正解である事が判明しております。詳細は以下のページを参照願います。

・26・BH(ブラックホール)は消滅可能なのか?(4)

・ダークマター・ホーキングさんが考えたこと 一覧<--リンク


http://archive.fo/iB5Z8

http://archive.fo/6hSC9

https://archive.fo/w6xa9

 

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