「トポロジカルな弦理論とその応用 大栗さん」によれば「加速器の衝突実験でプランクエネルギーEpを超える辺りからはBHが出来てしまい、衝突の現場がBHに隠れてしまって、観測できなくなる。」との事であります。<--リンク
つまり「あまりに大量のエネルギーが微小な空間に集まるとBHが生成される」そう言っている訳です。
そのことはまた以下の記事でも確認できる事です。
・光と光をぶつけたら <--リンク
(記事にアクセスできない時はこちらからーー>http://archive.fo/yQeGn)
この記事の図1のbではよく知られた電子の対生成の状況が書かれています。
但し、通常の対生成はガンマ線と原子核との衝突によるものであって、光が持つ運動量の一部を原子核が受け取る事で光が物質に変わる事が可能になっています。
それに対してbでは両側から同等の光を入れる事で、光の持つ運動量を相殺しています。
光はエネルギーと運動量を持っていますが、あるいは常に「光速で動いている存在」ですが、そのままでは光の持つエネルギーは物質に変わる事は出来ない様です。
それで、光ーー>物質化には光の持つ運動量を引き受ける物質、たとえば原子核が必要になります。
あるいはbの様にして運動量を相殺してあげる事が必要です。
運動量の相殺が可能である、と言う事は光と光の衝突は「非弾性衝突である」という事でもあります。
さて図1のeで光と光の衝突からヒッグス粒子を作っています。
そうしてこの図には載っていませんが、fでは光と光の衝突によってBHが出来る、とその様に大栗さんは言っている訳であります。
さて次に、大栗さんが言う所の「プランクエネルギーを超えたあたりでBHが出来る」という状況を確認しておきましょう。
ベッケンシュタインさんによれば、「BHに入れる光の波長はBHホライズンの直径が上限である」と主張され、当方もそれに同意するものであります。
そしてその条件はホライズン半径Rsの2倍の値が入射光の波長λに等しい、と言うものになります。
ここで高エネルギーをもった2つの光の衝突を考えます。
そしてそれぞれの光はE/2のエネルギーを持つものとします。
この光の衝突でその場所に解放されるエネルギーEは2つの光が持つエネルギーの合計になりますが、それを一つの光子が持った場合に換算して以下、計算をすすめます。
質量MのBHのホライズン半径RsはRs=2*G*M/C^2 でした。
E=(生h)*ν=(生h)*C/λ
そしてこの光の衝突エネルギーの換算質量MはM=E/C^2=(生h)/(λ*C)
(生h)=h*2*Pi
この換算した質量でBHが出来る、と想定します。
その時にできたBHの直径がBHに代わる前のエネルギーを光喚算した場合の光の波長λと同程度である、というのが、このエネルギーがBHになれるかどうかの境界となります。
つまりλ=2*Rsというものがその条件になります。
以上をRs=2*G*M/C^2に代入してRsを求めます。
答えはRs=sqrt(2*Pi)*Lpです。.
ちなみにsqrt(2*Pi)=2.50663・・・≒2.507ですか。
プランク質量MpのBHのホライズン半径はプランク長Lpの2倍でした。
それからしますと、この光によってできたBHの半径は2.507*Lpであり、1.25倍の大きさである事がわかります。
それはまた同時にこのBHの質量をエネルギー換算した値はプランクエネルギーの1.25倍になっている、これが「プランクエネルギーを超えたあたり」と言う内容であります。
ちなみに
λ=2*Rs=2*sqrt(2*Pi)*Lp
ν=C/λ
以上よりこの光の衝突エネルギーの光に換算した場合の振動数νは3.700168・・・・E+42≒3.700E+42となります。
そうしてこの限界エネルギーの値を境目として、このエネルギーを超える衝突エネルギーを作り出せればそこにはBHが誕生する、と言う事になります。
衝突エネルギーが大きくなればそれだけそこから計算される光喚算の波長の長さ(それはまたそこに作られる物質が持つコンプトン波長と同一の長さになるのではありますが:注1)は短くなります。
一方でそこにつくられるであろうBHのホライズンの直径は大きくなる、そういう関係になっているからであります。
ところでこの振動数が上限であって、これを超えますとそこでこの光はBHに変わる為、光の振動数の上限はここだ、という論がありますが、それは正確な表現ではないでしょう。
光がどれだけのエネルギーを持っていたとしても、衝突という現象がなければ光が物質化する事はない、従ってBHが出来る事もないものと思われます。
しかしながら、他方で弦理論の主張によれば「光も弦の振動であって、その弦の長さはLp程度だ」とされています。
そうして上記の限界エネルギーを運ぶ光の波長はLpの5倍程度でありますから、それは弦理論の限界にまでは達していない、と言う事になります。
しかし限界エネルギーの5倍のエネルギーになりますとそれを運ぶ光の波長はLp程度となり弦理論の限界に到達してしまいます。
そして、それ以上のエネルギーを光が運ぶ事があったとしても、その光の大きさはLpを下回る、と言う事は出来ない、というのが、光の場合の大きさに対する弦理論からの制約条件になるものと思われます。
その場合は光のエネルギーを表す式E=(生h)*ν=(生h)*C/λは相変わらず有効でありましょうが、そこに現れるλはもはや光のサイズを表してはいない、という事になります。
以上の様な光が持つ特性によって、つまり光の波長がプランク長Lpに至るまでは光のサイズは光のもつ波長で表されるが、波長がLpを切った場合は光のサイズは波長では表されず、プランク長Lpに固定される、という主張になります。
その為に、光をBHがホーキング放射する場合でもそのBHには準安定となる事が出来、その時の限界BHのホライズン直径はLpとなります。
そして以上の様な状況はBHがニュートリノを放出する場合と同じである、という事になります。
結論
まずは「光のみをホーキング放射する」という前提に立ちますと、前回まで見てきました様にBHの寿命は相当に延びる、と言う事が分かります。
もうひとつは、光の場合も限界BHのホライズン直径がLpであり、そこに至るまでは前回提示した、修正された寿命式に従ってBHは光をホーキング放射しながら「順調に」質量を減らしていきますが、限界BHサイズを超えて小さくなった時点でフェルミオンの場合と同様に光の場合でも「BHは準安定の状況になる」、ということが分かります。
そうして、それ以降はやはりトンネル・ホーキング放射によってマイナス質量のBHへとその姿を変える、そうしてそこで最終的に安定化するであろう、と言う事が想定されます。
注1:コンプトン波長
Wikiの記事を読んでもあまりピンときません。
しかしながら、たとえばこの記事の中に以下の様な記述がありました。<--リンク
『コンプトン波長は質量をもった粒子の波動関数の波束の広がり、つまり空間的な広がり、あるいは存在領域を与える。・・・』
以上、ご参考までに。
・ダークマター・ホーキングさんが考えたこと 一覧<--リンク
http://archive.fo/nTRRw
つまり「あまりに大量のエネルギーが微小な空間に集まるとBHが生成される」そう言っている訳です。
そのことはまた以下の記事でも確認できる事です。
・光と光をぶつけたら <--リンク
(記事にアクセスできない時はこちらからーー>http://archive.fo/yQeGn)
この記事の図1のbではよく知られた電子の対生成の状況が書かれています。
但し、通常の対生成はガンマ線と原子核との衝突によるものであって、光が持つ運動量の一部を原子核が受け取る事で光が物質に変わる事が可能になっています。
それに対してbでは両側から同等の光を入れる事で、光の持つ運動量を相殺しています。
光はエネルギーと運動量を持っていますが、あるいは常に「光速で動いている存在」ですが、そのままでは光の持つエネルギーは物質に変わる事は出来ない様です。
それで、光ーー>物質化には光の持つ運動量を引き受ける物質、たとえば原子核が必要になります。
あるいはbの様にして運動量を相殺してあげる事が必要です。
運動量の相殺が可能である、と言う事は光と光の衝突は「非弾性衝突である」という事でもあります。
さて図1のeで光と光の衝突からヒッグス粒子を作っています。
そうしてこの図には載っていませんが、fでは光と光の衝突によってBHが出来る、とその様に大栗さんは言っている訳であります。
さて次に、大栗さんが言う所の「プランクエネルギーを超えたあたりでBHが出来る」という状況を確認しておきましょう。
ベッケンシュタインさんによれば、「BHに入れる光の波長はBHホライズンの直径が上限である」と主張され、当方もそれに同意するものであります。
そしてその条件はホライズン半径Rsの2倍の値が入射光の波長λに等しい、と言うものになります。
ここで高エネルギーをもった2つの光の衝突を考えます。
そしてそれぞれの光はE/2のエネルギーを持つものとします。
この光の衝突でその場所に解放されるエネルギーEは2つの光が持つエネルギーの合計になりますが、それを一つの光子が持った場合に換算して以下、計算をすすめます。
質量MのBHのホライズン半径RsはRs=2*G*M/C^2 でした。
E=(生h)*ν=(生h)*C/λ
そしてこの光の衝突エネルギーの換算質量MはM=E/C^2=(生h)/(λ*C)
(生h)=h*2*Pi
この換算した質量でBHが出来る、と想定します。
その時にできたBHの直径がBHに代わる前のエネルギーを光喚算した場合の光の波長λと同程度である、というのが、このエネルギーがBHになれるかどうかの境界となります。
つまりλ=2*Rsというものがその条件になります。
以上をRs=2*G*M/C^2に代入してRsを求めます。
答えはRs=sqrt(2*Pi)*Lpです。.
ちなみにsqrt(2*Pi)=2.50663・・・≒2.507ですか。
プランク質量MpのBHのホライズン半径はプランク長Lpの2倍でした。
それからしますと、この光によってできたBHの半径は2.507*Lpであり、1.25倍の大きさである事がわかります。
それはまた同時にこのBHの質量をエネルギー換算した値はプランクエネルギーの1.25倍になっている、これが「プランクエネルギーを超えたあたり」と言う内容であります。
ちなみに
λ=2*Rs=2*sqrt(2*Pi)*Lp
ν=C/λ
以上よりこの光の衝突エネルギーの光に換算した場合の振動数νは3.700168・・・・E+42≒3.700E+42となります。
そうしてこの限界エネルギーの値を境目として、このエネルギーを超える衝突エネルギーを作り出せればそこにはBHが誕生する、と言う事になります。
衝突エネルギーが大きくなればそれだけそこから計算される光喚算の波長の長さ(それはまたそこに作られる物質が持つコンプトン波長と同一の長さになるのではありますが:注1)は短くなります。
一方でそこにつくられるであろうBHのホライズンの直径は大きくなる、そういう関係になっているからであります。
ところでこの振動数が上限であって、これを超えますとそこでこの光はBHに変わる為、光の振動数の上限はここだ、という論がありますが、それは正確な表現ではないでしょう。
光がどれだけのエネルギーを持っていたとしても、衝突という現象がなければ光が物質化する事はない、従ってBHが出来る事もないものと思われます。
しかしながら、他方で弦理論の主張によれば「光も弦の振動であって、その弦の長さはLp程度だ」とされています。
そうして上記の限界エネルギーを運ぶ光の波長はLpの5倍程度でありますから、それは弦理論の限界にまでは達していない、と言う事になります。
しかし限界エネルギーの5倍のエネルギーになりますとそれを運ぶ光の波長はLp程度となり弦理論の限界に到達してしまいます。
そして、それ以上のエネルギーを光が運ぶ事があったとしても、その光の大きさはLpを下回る、と言う事は出来ない、というのが、光の場合の大きさに対する弦理論からの制約条件になるものと思われます。
その場合は光のエネルギーを表す式E=(生h)*ν=(生h)*C/λは相変わらず有効でありましょうが、そこに現れるλはもはや光のサイズを表してはいない、という事になります。
以上の様な光が持つ特性によって、つまり光の波長がプランク長Lpに至るまでは光のサイズは光のもつ波長で表されるが、波長がLpを切った場合は光のサイズは波長では表されず、プランク長Lpに固定される、という主張になります。
その為に、光をBHがホーキング放射する場合でもそのBHには準安定となる事が出来、その時の限界BHのホライズン直径はLpとなります。
そして以上の様な状況はBHがニュートリノを放出する場合と同じである、という事になります。
結論
まずは「光のみをホーキング放射する」という前提に立ちますと、前回まで見てきました様にBHの寿命は相当に延びる、と言う事が分かります。
もうひとつは、光の場合も限界BHのホライズン直径がLpであり、そこに至るまでは前回提示した、修正された寿命式に従ってBHは光をホーキング放射しながら「順調に」質量を減らしていきますが、限界BHサイズを超えて小さくなった時点でフェルミオンの場合と同様に光の場合でも「BHは準安定の状況になる」、ということが分かります。
そうして、それ以降はやはりトンネル・ホーキング放射によってマイナス質量のBHへとその姿を変える、そうしてそこで最終的に安定化するであろう、と言う事が想定されます。
注1:コンプトン波長
Wikiの記事を読んでもあまりピンときません。
しかしながら、たとえばこの記事の中に以下の様な記述がありました。<--リンク
『コンプトン波長は質量をもった粒子の波動関数の波束の広がり、つまり空間的な広がり、あるいは存在領域を与える。・・・』
以上、ご参考までに。
・ダークマター・ホーキングさんが考えたこと 一覧<--リンク
http://archive.fo/nTRRw