宇宙論、ブラックホール、ダークマター、ホーキング放射、相対論

ブラックホール、ダークマター、ホーキング放射、相対論 etc etc

ホーキング トラップ

2023-02-03 04:36:09 | 日記

ういき「ブラックホール」: https://archive.md/ocwUV :の蒸発の章によれば

『この粒子の放出はブラックホールの地平面上で確率的に起こるため、巨視的にはブラックホールがある温度の熱放射で光っているように見える。これをホーキング輻射(またはホーキング放射)と呼ぶ。

この輻射によってエネルギーを失うと(エネルギーは質量と等価なので)ブラックホールの質量は減少する。ホーキング輻射の温度Tはブラックホールの質量Mに反比例し、以下の公式で表すことが出来る。

T= hc^3/(8π ^2*GMk)

(ここでπは円周率、Gは万有引力定数、kはボルツマン定数)

陽子質量程度の微小なブラックホールではこの量子効果は無視出来ない。ホーキング輻射で質量が減るとさらにこの効果が強く働いて輻射の強度が増え、加速度的に質量とエネルギーを失い、最後には爆発的にエネルギーを放出して消滅する。

消滅直前のブラックホールでは、T=10^32Kにも達する。

これがブラックホールの蒸発である。』(注1)

さて、基本的には上記の様な「BHは蒸発して消えてしまうパラダイム」に従って現在では以下の様な記事が存在しています。

「量子BHの問題点」: https://archive.md/XVDlU :この記事によれば

仮想粒子と仮想反粒子のペアがホライズン近傍の真空の中で生まれては消えていく。

その中には一方の仮想粒子がホライズンを超えてBHに飛び込むものがある。

この仮想粒子はホーキングさんの計算によれば「マイナスのエネルギーをBHに持ち込む」とされる。

残されたもう一方の仮想粒子は実粒子化しBHから飛び去る。

そうであればBHはエネルギーが飛び込んだ仮想粒子分だけ減少し、これはつまりその分だけBHの質量が軽くなる、ということです。

他方でBHに飛び込んだ仮想粒子のマイナスエネルギーを帳消しにするプラスエネルギーを持った実粒子化した仮想粒子がBHから逃げていく(様に見える)。

これがBHを外側から観察している者にはまるでBHが温度を持っていて、熱放射をしているように見える、と言うのがホーキング放射メカニズムの大まかな所です。

そうしてそのようなホーキング放射が続くことによって次第にBHの質量は減少し続け、ついにはBHは蒸発してしまう、この世から消えてしまう、とホーキングさんは言ったのでした。



さてこのホーキングさんがおこなった計算ですが、少し違うのではないか、という意見もありますが、大方の見方では「確かにBHはホーキング放射を出す」「そうしてそれによってBHの質量は減少する」という事は認められている様です。(注1)

そうしてそのホーキング放射が行き着く最後のところ、そこでBHは消えてしまう、という見方が大方の物理やさんの認識ですが、プランクレベルまで到達した小さくななったBHのその後の運命については不明である、とする少数意見の物理屋さんもいます。

まあしかしながら「プランクレベルまで到達したBHはそこでホーキング放射が止まり、その後は安定してBH状態を維持する。」と主張しているのは当方ぐらいのものです。



さて、何故当方はそのように主張出来るのでしょうか?

それはホーキング放射のプロセスのスタートが「まずはBHに仮想粒子が飛び込むこと」であるからです。

まず最初にBHに仮想粒子が入り込まなくてはホーキング放射は始まらないのです。



これが通常の熱放射の場合は、熱を持って放射を出している対象には何も飛び込む必要はなく、ただ単に対象物から熱放射が出てくればよい、という所が大きく違います。

そうして確かに熱放射でエネルギーを失った対象物は放射したエネルギー分だけ質量は減少したでしょう。

そこに起こっている「放射エネルギーが対象物の質量を減少させる」という事については対象物が通常の物質であれBHであれ、一緒であります。



しかしながらBHの場合はホーキング放射を出す前にまずはBH近傍でペアで誕生した仮想粒子の片方がBH内に入らなくてはならないのです。

そうでありますからその場合ホライズンの直径がプランクスケール以下にまで小さくなってしまったBHに飛び込める仮想粒子はありえません。

何故かと言えば超弦理論が提唱している様に「全ての素粒子は有限の大きさを持つから」です。

そうしてその素粒子が持つ最小の大きさはプランクスケール程度であろうといわれています。

そうであればホーキング放射によってBHのホライズン直径がプランクスケールを下回る所までになってしまったBHには素粒子を始めとして何物も入り込めない、従ってそのようなBHはホーキング放射を出す事が出来ないのです。



以上の様な考察から分かる様に、宇宙最初期に生まれた大量のプランクスケールの原始BHは消え去ることなくダークマターとして今現在、宇宙を満たしていると主張出来るのです。

しかしながら多くの物理学者はホーキングさんが言った事「BHはホーキング放射を出して最後は消えてしまう」という「ホーキング トラップ」にはまり込んでそこから抜け出せなくなっているのが現状であります。



注1:寿命式導出の詳細は「Hawking 輻射とブラックホールの蒸発」: http://astro-wakate.sakura.ne.jp/ss2013/web/syuroku/grcosmo_24a.pdf :を参照願います。

但し一部寿命式導出の途中の諸式運用にタイプミスがあるようですが、結論の式はOKの様です。

ちなみにより詳細な、現代的な寿命式の結果については「ホーキング放射」: https://en-m-wikipedia-org.translate.goog/wiki/Hawking_radiation?_x_tr_sl=en&_x_tr_tl=ja&_x_tr_hl=ja&_x_tr_pto=sc :を参照願います。



ダークマター・ホーキングさんが考えたこと 一覧

https://archive.md/3L0lX

 

 

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