焦熱 (ハヤカワ・ミステリ文庫)リンダ・フェアスタイン早川書房 |
リンダ・フェアスタイン著のマンハッタン地方検察庁の敏腕女性検事補アレグザンドラ・クーパーこと、“アレックス”の活躍を描いたシリーズの十作目「焦熱」を、読みました。
このシリーズは、アレックスの取り組む“性犯罪訴追課”の裁判シーンと、アレックスの良き仲間、マンハッタン北分駐所殺人課の刑事“マイク”と特殊犯罪被害者課の刑事“マーサ”との三人一組のチームが、性犯罪による(とみられる)殺人事件を追い、真相を掴むまでの動きが細かく描かれていて、読み応えがあります。
作者リンダ・フェアスタイン自身が、“性犯罪訴追課”の検事を長年勤めていた(本シリーズ四作目まで現役だった)ので、内容にも説得力があり、アレックスを取り巻く、さまざまな人間関係(裏事情)も緻密に描かれています。
あらすじは
8月のうだるような暑さの中、死後数日が経過し、腐敗の進む女性の死体が発見された。
その死体には、着衣はなく、手足を拘束され、激しい暴行の痕跡が全身に残されていた。
事件を追うアレックスたちの下へ、一人また一人と同様の手口で殺害された死体が発見されたとの報せが...
事件は、同一犯による連続殺人と思われるが、被害者同士に接点はなく、犯人の目星もつかない中、また一人の女性が行方不明に。
アレックスたちは、彼女を救えるのか・・・
性犯罪という極めて悪質な事件を追いながらも、三人(特にマイク)は、TVの「最後の危機(ファイナル・ジェバディ)」というクイズ番組を、身近にTVがあれば必ず視聴し、お金を賭けて、戦います。三人とも、知識が豊富な上、マイクに至っては、戦史を大学で専攻していたのと、本人が戦史オタクなので、戦史に関しては、負け知らずです。
そんな、クイズ番組でのやり取りが、事件を解く鍵になったり、事件で緊張している神経を和らげたりと、登場人物たちだけでなく、読者の気持ちも良い意味で、和らげる効果があったりします。
次作も、楽しみです。
僕は映画は洋画ばっかり観てますが、本は日本作ばっかり読んでます。
昔々に読んだものすごい違和感のある日本訳に起因してたりします。けれど最近はそういうことも無いようで、海外ミステリも面白ですよね。
この作品は九作目まで、50年も翻訳業をされて来た、平井イサク氏が担当されていましたが、九作目に平井イサク氏が体調を崩され、翻訳の手伝いをされた飯干京子さんという方が、引き継いで翻訳されています。
いままでのシリーズのイメージを崩すことなく、良い翻訳をしてくれたので、違和感なく、楽しんで読むことが出来ました。
本当に、翻訳って(出来るだけでスゴイと思いますが)違和感を感じるような翻訳作品もありますよね。(ハリポタ1章とか・・・)
コメントいただき、ありがとうございました。