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将棋の日記

竜王戦第6局(1日目)

2007-12-12 11:49:55 | ネット中継(図面)
2007年12月12・13(水・木)に第20期竜王戦第6局が行われます。
場所:静岡県伊豆市土肥町土肥284 「玉樟園新井」

先手:渡辺竜王
後手:佐藤二冠(棋聖・棋王)

戦形:後手の△3二金(相振り飛車)

<参考URL>
竜王戦中継サイト

道場認定アマ三段の私が解説します。

初手は、▲7六歩です。
渡辺竜王は先手は、▲7六歩、後手は△8四歩とだいだい指しています。


2手目は、△3二金でした。
去年の第19期竜王戦第6・7局が△3二金でした。
第6局は、先手中飛車でした。 佐藤棋聖の勝ち
第7局は、矢倉でした。 渡辺竜王の勝ち

後手は△3二金とすると、先手は振り飛車にすると作戦勝ちになりやすいです。
<理由>
後手の囲いが舟囲い、美濃囲いと囲いがしずらい点です。
振り飛車は、向い飛車、三間飛車、四間飛車、中飛車とどこでも良いと思います。

3手目は、▲5六歩です。
向い飛車、中飛車の両方が考えられます。
5手目は、▲5五歩です。
天王山を取りました。 中飛車模様です。
<控え室より>
「▲5五歩より▲5八飛のほうが手が広いので勝るのでは」と振り飛車党の鈴木八段。


8手目です。
図の局面より相振り飛車となりました。
先手も後手も中飛車です。
先後とも中飛車の相振り飛車は珍しいです。

<控え室より>
▲4八玉にはすぐに△5四歩と反発する順がある。▲5四同歩なら△8八角成▲同銀△4五角の筋。

なるほど、相振り飛車にすると、舟囲い、美濃囲いにする必要がありません。
また、後手は中飛車なので△3二金が緩手になることもありません。
後手は、右側に囲うことが予想されます。
この1年間、佐藤二冠はこの構想を想定していたと思います。

10手目は、△6二玉です。
右側に囲うつもりです。 美濃囲い、穴熊が予想されます。
13手目は、▲9六歩です。
後手は△9四歩ならば美濃囲い。突かないならば、穴熊が予想されます。
14手目は、△5一銀です。
後手は、穴熊をする可能性が強いです。
それに合わせて、先手も駒組みをする必要があります。
15手目は、▲4七銀です。
先手は、▲4七銀、▲3八金の形の片美濃囲いをするのでしょうか?

===== お昼休憩の局面 =====

16手目よりお昼休憩です。
後手の▲6二銀左は、玉の囲い金・銀3枚を忠実に守ったと思われます。
先手は3通り考えられます。
・中飛車のまま駒組みする。(玉を▲2八玉)
・向い飛車に転換する。(▲7七角、▲5六銀、▲8八飛の陣形)
・居飛車(▲6八玉より左側に囲う)


渡辺竜王:親子丼
佐藤二冠:月見うどん、おにぎり
<参考URL>
対局者のお昼ご飯
消費時間、渡辺竜王:1時間27分。佐藤二冠:1時間55分。

(まさか・・・、私の考えです。)
タイトル戦の将棋なので、まさかだと思いますけど。
先手は、▲6八玉から居飛車のように囲うことも考えられます。
先手は、舟囲い、左美濃囲い、穴熊に囲うことが出来ます。
現在は、先手は居玉なのでそういう変化もあると思います。
後手も攻撃的な布陣ではなくて、負けにくい穴熊を目指す構想のようなので。
タイトル戦なので、あまり考えにくいですけど・・・。
アマ同士ならば、面白いかも知れません。

<控え室より>
(鈴木八段も同じことを考えていた。 ちょっとびっくりしました。)

===== 昼食休憩後 =====
17、18手目は、▲9五歩、△8二玉です。
先手は、5筋、9筋を位を取りました。 位を取ったということは、それだけ手数がかかっています。 先手は、居飛車穴熊に囲うとさらに手数がかかりますので、居飛車穴熊には囲わない可能性があります。
「2つの位」と「囲い」バランスを考える必要があります。
19手目は、▲7七角です。 まだ、3通りの構想を含みとする指し方です。
<控え室より>
もう▲6八玉とは指さなそうです。
▲6八銀〜▲5七銀〜▲5六銀直という構想でしょう。

この控え室のコメントは、先手の渡辺竜王は、中飛車のまま駒組みをするという意味だと思います。

20手目は、△7四歩です。
<控え室より>
すぐに△9二香と態度を決めると、▲6六角〜▲7七桂から端を狙われる順がある。


22手目の図は、△7二銀として、美濃囲いを完成させました。

もし、後手が穴熊に囲うとすると、△9二香、△9一玉、△8二銀、△7一金の4手かかります。
先手は、▲5七銀、▲6六角、▲7七桂、▲9八飛より4手かかって穴熊を攻撃する準備が整います。
それを、考えると後手は穴熊にはしずらいと思います。

23手目は、▲5七銀です。 控え室の予想どおりにすすんでいます。
おそらく、中飛車のまま駒組みをすると思います。


24手目は、△6四歩です。
予想として、▲5六銀直、△6三銀直と進むと思います。

問題は、先手の玉が居玉ということです。
戦いが起こると反動がきつい意味です。
▲4八玉、▲3八玉、▲2八玉、▲3八金より玉を囲うのに4手かかります。
仮に早囲いだと、▲4八玉、▲3八玉、▲4八金より3手かかります。
3~4手の分、後手は攻撃態勢の駒組みをすることが出来ます。
玉は、居玉のままなのか? ▲2八玉まで移動するのか?
駒組みに注目です。

(注意)
▲4八玉は、△5四歩、▲同歩、△7七角成、▲同桂、△2八角があるので、危険です。
▲3八金、▲4九玉、▲3九玉、▲2八玉が正しい囲い方です。

26手目は、△6三銀右です。
後手は片美濃の△7二金、△6三銀として囲うつもりでしょうか?
△6二銀を攻めに使う構想なのかも?
△6二銀の動きに注目です。


28手目の△7二金が封じ手の局面です。
先手の渡辺竜王が封じました。

<封じ手>
普通に指すならば、▲4九玉です。
他には、▲8八飛、▲7八金、▲6六歩、▲4五歩、▲4五銀、▲3六歩などが考えられます。


<将棋世界1月号より>
12月3日に将棋世界1月号が発売されました。
去年の第19期竜王戦第7局の△4一玉の局面を、6棋士が評価しました。
6棋士:羽生二冠、佐藤二冠、森内名人、谷川九段、渡辺竜王、藤井九段です。

渡辺竜王は、次のように答えています。
「そもそも、3手目の▲7八金が妥協なんですよ。本当は2手目△3二金には▲5六歩から中飛車にして、ちゃんとやれば先手がよくなると思う。去年の竜王戦の時はちゃんとやれなかったけど、もう1回やったらなんとかしてみせます。」

12月3日に発売されてから、9日目に今回は佐藤二冠に再度指されました。
佐藤二冠も、将棋世界を読んでいると思うので、再チャレンジです。

実は、去年の竜王戦から今年の竜王戦の間に、銀河戦で飯島五段に指されています。
<参考URL>
銀河戦
第15期の決勝トーナメントです。
飯島五段は、2回戦の対羽生銀河戦にも、2手目に△3二金を指しています。
戦形は、角換わりになりました。
続いて、3回戦(準決勝)の対渡辺竜王戦にも、2手目に△3二金を指しています。
戦形は、先手中飛車になりました。


(Logical Spaceの△3二金の見解)
私は、何でも指すので△3二金とされると困りますね。
先手で振り飛車にするか? 角換わり、矢倉にするか?

正直、△3二金はそんなに悪い手ではないと思います。
しかし、後手で勝ちに行く将棋ではなくて、簡単に負けない将棋だと思います。

でも、今回の将棋で△3二金から後手中飛車にするなら、全然、損にならないことが、分かりました。
逆に、中飛車党の方が2手目に△3二金とする将棋も可能だと分かりました。

他に中飛車党ならではの指し方として次の局面があります。

▲7六歩、△3四歩、▲2六歩、△4四歩、▲4八銀、△5四歩、▲5六歩、△4二銀、▲5八金右、△3二金、▲3六歩、△4三銀、▲5七銀よりこの局面です。
後手は、△5二飛より中飛車にするか? △6二銀に居飛車(雁木戦法)にするか? 2通りの指し方があります。
初めて対戦する人に指すにはお薦めな指し方です。
この局面では10手目に△3二金ですが、序盤から作戦の態度を決めないことも出来るので、面白い指し方だと思います。
ある意味2手目の△3二金は、この局面と同じく中飛車党の選択しですね。

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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
大風呂敷 (手練ぱれん)
2007-12-12 23:54:40
意欲溢れるEntry 大変勉強になります。
プロの将棋の斬り法 多種多様でいいと思うんです。
どこまで対局者のヨミ(心理状態)に近づけるか。
棋力はともかくとして 
ああだ こうだと愉しんでいます。

竜王が大風呂敷を広げて勝てば
位取り将棋も復活か?
御自愛の程。。。
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Re:大風呂敷 (Logical Space)
2007-12-13 06:41:18
手練ぱれんさん、コメントありがとうございます。

私のブログが参考になれば、嬉しいです
渡辺竜王に勝って欲しいですね。

一緒に応援しましょう。
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