おやままさおの部屋

阿蘇の大自然の中でゆっくりのんびりセカンドライフ

すごく心が震えた有吉佐和子の『蔵』

2015年06月19日 07時37分26秒 | 読書


こんな引き込まれた本ってこれまで長ーい読書歴で初めてだ

しかも最近没頭している時代歴史小説から離れて(もちろん同時に海音寺潮五郎の「加藤清正」も読んでいるがー)昭和文学に戻った。そして女流文学だ。

以前映画かテレビドラマになったことは知っている。しかし内容は知らなかった。

「蔵」という題名だから酒蔵の話だろうとは推測するが内容は1軒の家族の中で起きる人間の壮大なドラマでその生き様の葛藤が読み人の人生と対照され自然にその曲折に一緒に出会い感じて悩んだり喜んだりする。

文学の本当の意味がここにあると改めて考える。

烈という女性が主人公で、酒蔵の経営=蔵元の夫婦に9人目に生まれ上8人が死産。やっとできた待望の赤ちゃんが女子で、烈と名付けられる。人生の荒波にも負けない強さを父は求めた。

その烈の目が見えなくなる。その盲目になる烈の思いとその世話を痛くされてこの家に入ってくる、妻の妹佐穂。この人が第二いや本当はこの人が主人公なのかもしれない。

昨夜は1時半に目が覚めトイレに行った後、この本を読み出したら目が冴えて4時まで読み続け、そのあと少し寝てまた朝方読んでいた

もともと遅読派=熟読派だあが読んだページは200ページに喃々とした。

障害をもって生きる人間の行き方感じ方、そして苦悩と喜び。肉親の愛と蔵を守るという「いえ」の伝統への固執。

これは今を生きる人間にも必ず通低する深い問題を有している。

有吉さんは高知出身だが、この文学は徹底的に新潟弁を駆使し、会話体はすべて地の言葉でわかりにくいのだが、仕舞い頃になると少しずつその放言の温かさ伝わってきた。これも成功の秘訣だろう。実はあと30ページくらい残っているけど早く読みたいし読んでしまうと何だか寂しい気がする。

よかった出会えてー