2018年5月5日(土) 8.180km
累積標高(+)855.264m(-)-855.264m
近年、我々の間ではG.Wの山歩きが恒例になっている。今年も5/5に決行する事になり、行先の検討に入る。
第1候補は2015/5から2017/11に掛けて4回に渡り取り組んでいる「京都トレイル縦走」の第5弾だった。しかし5/5はN君が都合が悪く欠席するとの事。N君は第1弾も欠席しており、これ以上置いていくのは可哀想だと思い別の候補地を考える。
最終的には私の希望を聞いてもらい「大和葛城山」に決定。
「大和葛城山」は大阪府最高峰であり、一度は山頂を踏んでおきたい山だった。しかし、アクセスの悪さもあり、なかなか実現出来ないでいた。今回、F君・S君は私以上にアクセスが悪いのだが快諾してくれた。
ただ今回心配だったのは混雑具合だ。「大和葛城山」はツツジの名所である。本来なら見頃はもう少し遅いのだが、今年は季節の進みが早く丁度見頃を迎えている様だ。我々の目的はあくまでも「大阪府最高峰」登頂でツツジでは無いのだが、時期が重なってしまった。
「近鉄御所」駅8:40発のバスに乗車する為、駅前に8:30集合予定(バスは一時間に一便しか無く遅刻は厳禁だ)。近鉄「大阪阿部野橋」7:20発の急行に乗り「尺土」駅で乗り換える。この時点で既に車内の登山客比率は非常に高い。そのほとんどが「尺土」で下車。皆行き先は同じ様だ。
「近鉄御所」行きの電車を待っているとF君が現れた。S君の姿は見えないが、セレブなS君の事、次の特急で来るのだろう。
F君と私は「近鉄御所」に8:04に到着。
バスの時間まではかなり余裕があるのだが、今日の状況を考え早めにバス停に向かう。この判断は正解でバス停はあっという間に長蛇の列に。
「尺土」で特急に連絡している列車が8:20に到着。バス停の列が更に伸びる。S君がこの列車に乗っているはずなのだが姿が見えない。S君は過去に遅刻歴があるので、心配になって列の後方を探す。改札の前でキョロキョロしているS君を発見。「我々は前に並んでいるので、後程「葛城ロープウェイ前」で合流しよう」と伝える。
この長蛇の列がバス一台に乗れるとは到底思えない。しかし先程からバス会社の方が乗客のカウントを始めており、恐らく臨時バスが手配されるのだろう。同じ様な事は過去に「岩湧山のススキ」の際に経験している。「大和葛城山」もツツジの時期にこうなる事はバス会社も想定内の事と思われる。
そうこうしているとバスが一台やって来た。F君と私は早めに並んだ甲斐あって着席できた。バスはあっという間にすし詰め状態になり、定刻より早く出発。残された列の中にS君の姿があった。
御所の長閑な田園風景を車窓に見ながらバスは走る。途中「櫛羅(くじら)」と言う珍しい地名の交差点を通る。因みに、建物は見えなかったが、近くに「千代酒造」と言う酒蔵があり「櫛羅」と言う銘柄の日本酒を醸している。
葛城山は山頂までロープウェイが通じている。マイカーを駐車場に停めて、ロープウェイで山頂のツツジ見物に向かう観光客も多い。麓に近づくにつれ車が多くなって来た。あちこちに臨時駐車場も開設されている。
約20分のバスの旅で「葛城ロープウェイ前」に到着。下車してロープウェイの「葛城登山口」駅前のベンチでS君の到着を待つ。ここも想像以上の人出の多さで、山頂を目指す人々がベンチの横をひっきりなしに通り過ぎて行く。
思っていた以上に時間が経ってから、臨時バスが二台連なってやって来た。S君と無事合流。
S君を待っている間にF君がロープウェイ駅の売店で日本酒を販売しているのを発見したと言う。出発前に覗いて見ると、なんと「篠峯」のワンカップを発見!「篠峯」は前述の「千代酒造」の酒である。実は前々から「大和葛城山」登頂の際には山頂で「篠峯」を飲もうと計画を温めていた。大阪の酒販店でも「篠峯」を手に入れる事は不可能ではない。だが今回計画を諦めた訳は、探す時間が無かった事もあるが、なにより大阪で販売している物は小さい物でも四合瓶で、ザックの容量を考えると収納が難しいと判断した事にある。ワンカップは180ml ¥450と高価ではあるが迷わず購入する。
それにしても最高の山歩き日和になった。
ロープウェイ駅から山頂方面を見上げると、雲一つない快晴の空の下、新緑が眩しい。この日の最高気温は23.8℃。動くと汗ばむがカラッとしていて気持ちいい。
ロープウェイ駅横の急坂をしばらく登り、イノシシ除けの鉄柵を越えると山道に入る。緩やかな傾斜の道を進むと分岐が現れる。
右折すると「北尾根コース」、ここは直進して「櫛羅の滝コース」に入る。
「櫛羅の滝コース」は昨年の台風21号の被害で通行止めが続いていたが、直前の4/27に迂回路が開通したとの事。
しばらく行くと、白い岩と土砂が堆積する河原に出る。
正面奥には落差約10mの「櫛羅の滝」が流れ落ちている。
しかし、事前にネットで見ていた風景とは様変わりしていた。これも台風の影響なのだろう。
ここから先は丸太階段の急登が続く。
それにしても人が多い。ゾロゾロと連なって階段を登る。序盤はまだ元気なので他愛の無いお喋りをしながら歩く。山陰のシイタケやオニエビの話の他、面白かったのはF君の「キノコ食愛好家と昆虫食愛好家の対談番組」の話だ。しかし登るにつれて口数が減って行く。
やがて前述の通行止め箇所に差し掛かる。
ロープが張られて侵入出来なくなっており、迂回路を示す立て看板が立てられている。指示に従い迂回路に入る。迂回路は所々ぬかるんだ粘土質の箇所があり歩き難い。
何時もの様にS君が遅れ始める。我々の間のルールとして、あくまでもマイペースで登り、適当な地点で休憩しながら、遅れた者を待つ事に決めている。ルールに従いF君と私がS君を待っていると、目の前をS君が通過して行く。相当キツいのか、周囲が全く見えていない様だ。まるで収容所で強制労働させられている囚人の様な顔に見えた。S君を呼び止めて休憩する。ここでS君持参の行動食のチョコレートをお裾分けしてもらう。日頃甘い物は食べないのだが、こう言う時に食べると美味い。S君もエネルギー補給して生き返った様なので出発する。
この後、迂回路は終わり本来の「櫛羅の滝コース」に合流。
更に進むと、大規模な地滑り箇所に差し掛かる。
斜面の樹木を巻き込んで大量の土砂が流出している。これが「櫛羅の滝コース」通行止めの原因の様だ。登山道はここを横切るのだが、下を覗き込むと足がすくむ。
この先の登山道脇の木立ちから、野鳥の美しいさえずりが聞こえて来た。目を凝らすと、一羽の野鳥の姿が。「オオルリ」だ。暗いので背中は黒く見えたが、飛び立つ瞬間に美しい瑠璃色の背中が確認出来た。F君・S君にも居場所を教えたが、F君には見えなかった様だ。この後、「この山域に生息する野鳥」の案内板を発見したF君は、そこに「オオルリ」の名が無いのを見て、私の言う事を疑っている様だ。しかし、私は「岩湧山」や「金剛山」でも姿を確認しており間違いない。
更に登り木橋を数カ所渡ると、風景が一変する。
これまでの単調な植林帯が終わり、新緑が眩しい自然林に覆われた広場に出る。脇に小川が流れている。この辺りは、先程の「櫛羅の滝」の上流、「安位川」の源流部になる様だ。
ここに道標を兼ねた町石がある。
「左・竜王宮」「九丁」の文字が読める。「竜王宮」は?、「九丁」は山頂までの距離であろう。一丁は約109m、山頂までは1km弱という事になる。
分岐があり、直進すると「葛城山山頂・ロープウェイ葛城山上駅」方面。ほぼ全ての登山客が直進して行く。
我々は「ツツジ群生地」を経由して山頂を目指すべく左折する。「安位川」に架かる木橋を渡って「自然研究路」に入る。自然林の中静寂に包まれた気持ちいい登山道が続く。
しかしおかしな物で、今まで余りの混雑に辟易していたのだが、急に全く人気が無くなると今度は不安になってくる。不安と言うのは、道を間違えているのではないかと言う事だ。F君とは過去に「六甲山」で道に迷い大変な目に遭っている。F君は「今日も同じ臭いがする」と嫌な事を言う。しかし、そんな不安を打ち消してくれる様に前方から女性3名のグループが下って来た。これで一安心だ。
先程から、どこからともなくホラ貝を吹く音色が聞こえてくる。さもありなん、かの修験道の開祖「役小角」はこの葛城山の麓に生まれ、一帯は修験道の行場になっている。しかし、怒られるかもしれないが、この日のホラ貝はなんとも下手で笑える。
やがて、「自然研究路」は「ダイヤモンドトレイル」に合流。
左折するとすぐに、息を飲む様な絶景が広がる。
雲一つない真っ青な空、新緑をまとった「金剛山」の威容を誇る山容、眼下一面に広がるツツジの絨毯。遠く大峰の山々の連なりまで見渡せる。冒頭に今回の目的はツツジではないと書いたが、この景色を見ると混雑の中登って来てよかったと素直に思える。
ここにはベンチや木製のデッキなどもあり、大勢の人が弁当を広げている。本来なら我々もここで昼食といきたいところだが、山頂一帯は「火気厳禁」になっている。これは今回下調べ済みだ(「大文字山」の出来事が教訓になった)。
ここからダイヤモンドトレイルを下るとツツジの中を歩く遊歩道がある。しかし当然の事ながら、下ると登り返さないといけない。F君とN君に確認するが乗り気ではなさそうだ。特にS君は「自分は待っているので2人で行って来てくれ」などと言っている。諦めて山頂を目指す。
山頂までは「葛城高原ロッジ」の前を通って、草原の中の道を行く。
見上げると吸い込まれそうな程、澄みきった空が広がっている。
同じ事(空が綺麗な事)ばかり書いて恐縮だが、それ程にこの日の空は特筆すべき物だった。
途中、奈良盆地方面が望める。
奈良三山(畝傍山・耳成山・天香久山)や、以前登った事のある「高取山」「若草山」まで見渡せる。
程なく、大和葛城山(958.9m)山頂に到着。
山名板の前は、記念撮影待ちの行列が出来ている。我々も並ぶ事にする。360度遮る物のない山頂は、風が強く長袖でも肌寒い。
記念撮影の後、山名板の隣の「篠峰山二等三角点」もチェック。
これで本日の主目的も無事達成。今度こそ昼食といきたいところなのだが、この辺りも残念ながら「火気厳禁」エリアになっている。火器の使用は山頂の「キャンプ場」に限られている事は下調べ済みだ。山頂までくれば案内板があるだろうと思っていたのだが何も無い。地図を頼りに探し当てたが、少し苦労した。
「キャンプ場」はこの時間やはり先客で混雑している。入場料は¥220(大人一名)と聞いていたのだが、料金所も無ければ管理人らしき姿も見え無い。立て看板に「白樺食堂」又は「葛城高原ロッジ」で受付と書いてある。しかしここで「先客は本当に皆、入場料を支払っているのだろうか?」との疑念が頭をよぎる。協議の結果、結局F君が「白樺食堂」に行ってくれる事になった。
その間にS君と私で場所取りである。テーブルやデッキなど良い場所は既に占領されている。地べたで適当な場所を探すが、なかなか良い場所は無い。ウロウロしていると幸運にも5〜6名の団体さんが撤収してテーブルが空いた。しかも「キャンプ場」の中で最高と思われる場所だ、すかさずキープする。この様にいいタイミングで最高の場所を確保出来たのは「やはり真面目に入場料を支払ったからこそだろう」。そんな事を考えていると、F君が戻って来た。
さてさて、待望の昼食にしよう。
(本日のメニュー)
・中華三昧(四川風味噌拉麺) |
・(ラーメントッピング用)豚肉・ネギ |
・いなばライトツナフレーク |
・マヨネーズ |
|
・缶つま匠 ラムタン香草焼風 |
・ サッポロ黒ラベル500ml |
・キリンクラシックラガー500ml |
・「日本盛 淡麗辛口」300ml |
・「篠峯純米」180ml
|
まずはサッポロ黒ラベルで乾杯!
一品目は定番中の定番「ツナネギマヨ」。
F君とS君にも試してもらおうと思い大きめの缶にして見た。やはり何度食べても間違いない味だ。
たまには少し変わった物をと思い「缶つま匠 ラムタン香草焼風」なる物を持参。それなりの味だった。
その他、F君・S君が持参してくれた「サンマ蒲焼き缶」「空豆」「コーンポタージュ+パン」「唐揚げ」などもつまませてもらう。
この日F君はワインを準備していた様だが、持ってくるのを忘れたと嘆いていた。
クラシックラガーを飲み干して、日本酒にチェンジ。
今日は図らずも「篠峯」のワンカップに出会えたと言う事で、諦めていた計画を実行出来る事になった。(大阪府最高峰登頂と共に)本日のメインイベントだ。計画を企てた理由や味のについての感想は「NomuNote(32)」を参照していただきたい。
(ここで一句)
締めのラーメンは少し贅沢して「中華三昧」にした。
それにしても周りを見渡しても酒盛りしているのは我々くらいのもので、皆食事が済むと引き上げて行く。気がつけば混雑していたキャンプ場も閑散としてきた。バスの時間(14:50、15:50を過ぎると17:15まで無い)もある事だし我々もそろそろ撤収しよう。
ここからは「ダイヤモンドトレイル」を歩いてもいいのだが 、「自然研究路」を選択する。
「自然研究路」には「カタクリ」が自生しており、運が良ければ出会えるかもと期待していた。しかし残念ながら時期的に少し遅かった様だ。更に、絶滅が危惧される「ギフチョウ」の生息地でもある。「ギフチョウ」にも出会えるチャンスがあると思っていたが、こちらも願いは叶わなかった。それでも「自然研究路」はなかなか良い道で気持ちよく歩ける。
ところが、途中でまさかの「通行止め」。これは完全に下調べ不足だった(後でネットで調べると記載があった)。今更仕方ないのだが、「自然研究路」は2ルートあったので別ルートにすべきだった。指示に従い、結局「ダイヤモンドトレイル」に迂回する事になる。
ダイトレを北上し、案内板のある分岐を右折「北尾根コース」に入る。
「北尾根コース」は自然林が多く美しい。急坂ではあるが「櫛羅の滝コース」とは違い、嫌な丸太階段などは無く歩き易い。個人的にはこちらを登りに使えば良かったと反省している。
かなり下ったところで視界が開けて、ベンチのある展望スポットに到着する。
ここからは眼下に御所市、見上げると先程まで居た大和葛城山山頂方面が見渡せる。
更に下ると登山道脇に人だかりが見えた。近づくと登山道から少し下の茂みに年配の男性が座り込んでいる。おそらく滑落して怪我をされているのだろう。気の毒ではあるが、見たところ、痛そうな表情ではないし軽傷だと思われる。既に救援を呼んでいる模様で、先程から聞こえていたサイレンがそうなのだろう。この後、レスキュー隊とすれ違う。
急坂を下り切り「櫛羅の滝コース」に合流、朝登ってきた道を「葛城登山口」駅方面に下る。
バス停に到着すると、やはり臨時バスが運行されており、定時を待たずにやって来た。すぐに乗り込み「近鉄御所」駅へ。運良く「大阪阿部野橋」まで乗り継ぎなしの直通急行に乗る事が出来た。
後は定番コース、「湯処あべの橋」で汗を流して、「正宗屋」で反省会。