2019年5月4日(土) 17.744km
累積標高(+)759.950m(-)-759.950m
今年もGW恒例の山歩きを開催する事になった。GWと言っても今年は特別で、10連休と言う過去に経験のない長期休暇である事。それ以上に、連休中に「平成」から「令和」への改元と言う歴史的な出来事がある事。特に改元などは今後経験する事は無いと思われる事である。
メンバーの日程を擦り合わせた結果、4/30に決行する事に決定。期せずして「平成」を締めくくる最後の山歩きになる。
ところが、天気予報をチェックしていると、どうも天気が芳しくない様だ。ギリギリまで様子を見たが、日程の変更を余儀なくされる。
再度、日程を擦り合わせて5/4に変更する事にした。「平成最後」が「令和初」の山歩きになってしまった。
行先についてだが、今回 N君の誘いでU君・Aちゃん親娘が初参加する事になり、Aちゃんの足でも登れる山と言う事。それとF君が最近仏像に興味あるとの事などを考えると「奈良」がいいと言う事になり、「若草山」に決定。
しかし、さすがに正面から登ったのでは大人には物足りない。我々は「柳生街道」「春日奥山ドライブウェイ」経由で裏のルートを登り、「二重目」でU君・Aちゃん親娘と合流する事にする。
9:00に近鉄「奈良」駅の改札で集合。
ところが、 N君から「体調不良の為欠席する。」とのラインが入る。
連休中に飲み過ぎたのだろうか。「奈良は初めてだ」と楽しみにしていたので残念だが仕方ない。
この後F君・S君とは無事に合流。予定通り定時にスタートする。
「ひがしむき商店街」のアーケードを南に向かい、「猿沢池」に出る。
池越しの新緑の中に建つ「興福寺・五重塔」。テレビのシーンでも馴染みの景観。テレビでは、ここで「ゴーン」と鐘が鳴るのだが、そう上手くはいかない。
歴史を感じる町屋の中の細い道路を歩く。
ところどころに洒落た店舗が点在しているのだが、まだ開店していない店が多い。そう言う事もあり心配していた混雑はなく、閑静な中を歩く事が出来た。
まず最初に目指すのは「今西清兵衛商店」。奈良町にある酒蔵だ。F君・S君には申し訳ないが、ここを訪問するのは私の個人的な都合である。「若草山」で飲む「春鹿」を購入するのが目的である。
程なく、「今西清兵衛商店」の歴史を感じる重厚な建屋が現れる。
引戸を開けて店舗の中に入る。中には先客が数名いて、試飲などをしている。我々は試飲は遠慮しておく事にした。
商品棚の前に行き品定め。実は以前ソロで「若草山」に登った際にもここで酒を調達した。前回(2015/11/21)は「春鹿 純米 超辛口 」300mlだった。
今回は色々と迷った末に、春らしい物と思い「春鹿 さくらラベル 純米酒」300ml を購入。
無事に酒を調達して、次はいよいよ今回の目玉の一つである「新薬師寺」に向かう。奈良町の古い町並みの中、緩やかな登りの道を東へ進む。
途中でU君から電話が入る。一瞬「U君も都合が悪くなったのか」と思いドキッとする。しかし心配をよそに「昨日、潮干狩りで獲った貝を持参すれば焼いて食べれるか?」と言う確認だった。仮にも「若草山」は火気厳禁。貝などを焼くと目立ち過ぎる。U君には申し訳ないがNGである事を伝える。
道標に従い右折すると、石垣と土塀の何とも風情ある小径が続く。
この道は「山辺の道」の一部になっている。
少し歩くと「新薬師寺」の「南門」の前に出る。拝観料¥600を支払って門をくぐる。
敷き詰められた白砂の中央に石畳が続く。その先に石灯籠が立ち、更にその先に「本堂」の白壁となだらかな曲線が美しい瓦屋根が見える。天平建築の典型とも言える簡素ながら美しい佇まい。真っ青な空の下で更に美しさが映える。
ふと左手を見ると、境内の片隅に古びた石仏が並んでおり、古寺の雰囲気を醸し出している。
白砂を踏みしめて「本堂」左手入口の前へ。
強い紫外線が降り注ぐ境内から仄暗い堂内に入る。一瞬何も見えなかったが、すぐに目が慣れて眼前に荘厳な仏の世界が広がる。本尊の「薬師如来坐像」を中心に、本尊を守護する「十二神将立像」が周りを取り囲む。まずは本尊の前へ歩を進める。堂内には静寂が漂いひんやりとして、身が引き締まる思いがする。
ここで静寂を引き裂く様に機械的な音声が堂内に鳴り響いた。驚いて音のする方を見ると、そこにはS君の姿があった。「Jog Note」の音声案内が犯人の様だ。しかも音量設定がやけに大きい。S君はこう言うシーンで不思議と何かやらかしてくれる。
気を取り直して先へ進む。次は「新薬師寺」を代表する仏像(いや日本を代表する仏像の一つと言えるだろう)「伐折羅(バサラ)大将」に対面する。目を見開き大きく口を開けた憤怒の表情。正に「怒髪天を衝く」を絵に描いたような頭髪。何度見ても迫力に圧倒される。
「十二神将」は干支の守神でもあるとの事。「辰」の守神である「波夷羅(ハイラ)大将」にロウソクをお供えする事にした。
新薬師寺HP → http://www.shinyakushiji.or.jp/
堂内を一通り見終えて「本堂」を出る。
小ぢんまりとした古寺ではあるが見どころは多く、思いの他時間を費やしてしまった。
「新薬師寺」を後にして次の予定先「春日大社」へと急ぐ。
立派なお屋敷の立ち並ぶ一帯を歩き、瀟洒な佇まいの「志賀直哉旧居」の前を通り過ぎる。坂を下って右折すると「飛火野」の前に出る。
広大な芝生の広場が広がり、これから向かう「春日山」から「若草山」の山並みが望める。ここは「ルリセンチコガネ」の生息地として有名な場所なので期待したが、出会う事は出来なかった。
またここはドラマ「鹿男あをによし」(原作 万城目学)のロケ地でもある。真ん中に立つ大木の前で主人公と鹿が話す場面が何度となく登場する。いくら待っても喋る鹿が現れる訳はないので先を急ぐ。
「春日大社」の参道に入ると、流石に人出が多くなる。特に西洋・東洋入り混じって外国人観光客が非常に多い。雑踏に混じって進んで行く。
「萬葉植物園」はこの時期約200本の藤の花が見頃の様で長蛇の列が出来ている。
大きな鳥居をくぐり、「伏鹿手水所」で手を清めてから本殿に向かう。やがて「南門」に到着。
真っ青な空に朱色の門のコントラストが目に眩しい。
「幣殿・舞殿」の前に進み、本日の山行の無事を祈願する。
「御本殿」の参拝は有料だったので今回は失礼させて頂く。
「本殿」を後にして「上の祢宜道」を歩き「柳生街道」を目指す。
両端に石燈籠が並ぶ砂利道を過ぎると、立派な樹木が目立つ様になってくる。この辺りは「春日山原始林」の一部になる。
舗装路に出て緩やかな登りをしばらく歩くと「柳生街道(滝坂の道)」の入口に到着。
ここからは、新緑が綺麗な沢沿いに石畳の道が続く。
緩やかな登りで、山登りと言える様な物では無いのだが、それでもキツイ。考えてみれば昨年11/18(編笠山)以来約半年振りの山歩き。身体が鈍りきってしまった。こんな状態の時は、これくらいの登りがリハビリに丁度良い。
途中にある磨崖仏「夕日観音」「朝日観音」の前を通り過ぎ、「首切り地蔵」の前に出る。
この辺りで丁度お昼になった。休憩所では多くの人がお弁当を広げている。我々もそろそろビールを飲みたい衝動に駆られるが、ここは堪えて先を急ぐ。
ここで「柳生街道」に別れを告げて「春日山遊歩道」に入る。すぐに「春日奥山道路」に合流。舗装路と砂利道の入り混じる自動車道歩きになる。この辺りも「春日山原始林」に属する地域で、巨木や新緑が美しい。
しかし何故、原始林の中にこの様な道路を通したのだろうか?交通量は少ないのだが、たまに自動車に遭遇すると興ざめする。
U君・Aちゃんとは「若草山」の二重目で13:00に待ち合わせているのだが、12:30の時点でとても間に合わない事に気がつく。30分程遅刻する旨をLINEする。「了解です????着いてますのでビール????飲んどきます????」との返信が来た。
「若草山」の山頂を目指しているのだが、延々と下りが続くのは違和感がある。この後心配した登り返しも無く「若草山駐車場」に到着。
少し登って「鶯塚古墳」のある「若草山」(341.6m)山頂を踏む。
「三笠山三等三角点」もチェック。
山頂は360°の眺望が素晴らしい。奈良の市街地越しに「生駒山地」から「大和葛城山」「金剛山」もクッキリと見える。
しばし眺望を楽しんだ後、U君・Aちゃんが待つ「二重目」へと急ぐ。「二重目料金所」で入山料(¥150)を支払って山道を下る。
「二重目」でU君・Aちゃんと無事に合流。Aちゃんは相変わらずの元気振りで、野芝の草原を駆け回っている。さて、昼食の場所選びだ。「若草山」も観光客でごった返しているのではと心配していたが、思いのほか人出は無く、目的の場所に陣取る事が出来た。ここは「興福寺」の五重塔や「東大寺」の大仏殿の大屋根などが一望できる最高の場所だ。
待望の昼食
(本日のメニュー)
・ラ王(豚骨)
・(ラーメントッピング用)豚肉・ネギ
・サバのオリーブオイル漬け(レモン・バジル味)「Ça va?」
・缶つま ミックスオリーブ
・サッポロ ラガービール(瓶)500ml
・月桂冠300ml
・春鹿 さくらラベル 純米酒300ml
まずはビールで乾杯!
今回初めてサッポロの「赤星」の瓶を持参。こんな所にまで瓶を持参しているのを見て(ビール党の)U君に呆れ顔をされたが、やはり瓶は美味かった。
ここでF君がリュックから「あらびきフランク」なる物を取り出した。さすがはF君「粒マスタード」も持って来ており抜かりがない。
S君のバーナーで焼いて食べる事にする。ジュージューと焼き色がついて、いい匂いが漂う。熱々を頬張ると肉汁が溢れ、それをビールで流し込む。至福のひとときである。
缶詰や唐揚げなど皆で持ち寄った物も広げて宴たけなわになる。
Aちゃんは可愛いらしいお弁当を持参していた。U君はお弁当箱の蓋を「ニンニクの醤油漬け」の皿がわりに使っていたが、お弁当を食べ終えたAちゃんに「早く返さないと片付けられない」とお説教されていた。
Aちゃんはその後も、元気に駆け回っている。
私は途中で調達した「春鹿 さくらラベル 純米酒」を燗しようと思いバーナーをセットする。
点火しようとした時、背後から「ここは、火気厳禁ですよ!」と声が掛かった。監視員の方に見つかってしまった様だ。そこまでする必要があるのかと思うのだが証拠写真まで撮影された。
先にも触れたが、実は「火気厳禁」である事は事前に調べて判っていた。それでもバレなければ「バーナー」位はいいだろうと都合よく解釈していた。しかし、こうあっさりとバレてしまうとは。ここで揉めるのは大人気ない。注意を素直に聞いて「バーナー」を片付ける。
燗を試せなかったのは残念だが「春鹿」は常温で飲んでも美味かった。
詳しくは「NomuNote(47)」にて。
(ここで一句)
おおてらの 甍を照らし うらうらと
三笠の山で 春鹿に酔う
もう一つ残念なのは締めのラーメンを食べる事が出来なくなってしまった事だ。仕方なく持ち帰る事にした。
締めがなくて少し小腹が空いた感じだが、飲む方はしっかり飲んでいい感じになって来た。そろそろお開きにする。
荷物をまとめて出発。「一重目」まで下り、そこから「南側登山道」に入る。
ここでもAちゃんは元気で、F君を従えて走る様に下って行く。U君もその後を追っていった(U君は昨日の潮干狩りの後遺症で筋肉痛に悩まされており気の毒だ)。残されたS君と私は諦めてゆっくりと下る。登山口で待ってくれていたAちゃんに、歩みの遅いS君と私は「カタツムリ」と言われていた様だ。
登山口付近には鹿が沢山群れていた。「鹿せんべい」を売っていたので購入。Aちゃんに半分渡して二人で鹿にあげる。「鹿せんべい」を見た鹿は結構な勢いで迫ってくるので怖いくらいだ。あまり焦らすと鹿が怒ると聞いていたのですぐに食べさせる。最近、鹿が凶暴化しており(これは人間の方に問題がある様だ)、特に外国人観光客とのトラブルが発生しているらしい。
奈良公園を「東大寺」方面へ歩く。
右手に「大仏殿」が見えて来る辺りで左折して「南大門」をくぐる。
「南大門」では天才仏師として名高い運慶・快慶作の「金剛力士像」を見る事が出来る。
何度見てもその大迫力に圧倒される。この様な物が無料で見れるのは得した気分だ。
「南大門」のそばに歴史を感じさせる佇まいの奈良漬店を発見。
「森奈良漬店」と言う屋号で明治2年創業だそうだ。
土産に「うり奈良漬」(¥650)を購入。
「奈良国立博物館」の前を通り「興福寺」の境内に入る。
今朝、「猿沢池」から見た五重塔の下から境内を横切り「ひがしむき商店街」に出る。
本来なら「興福寺・国宝館」に立ち寄って「阿修羅像」などを見たかったのだが、酒を飲むと面倒になってしまった。
「近鉄奈良駅」から難波行の電車に乗る。
途中、「西大寺」でU君・Aちゃん親娘と別れて、F君・S君・私の三名は「日本橋」で下車。
「末広湯」で汗を流して、反省会の場所を探して「裏なんば」をブラブラする。結局、以前一度訪問した事のある「豪快 立ち寿司」に決定。しかし、満席との事で断わられる。仕方なしに他を探していると、店員が追いかけて来て「テラス席が空きました」との事。とにかく早く飲みたい我々は席などどこでもいい。店員について店に戻る。「テラス席」などと言うとカッコいいが、入口の横に簡易なテーブルと椅子を置いた「待合場所」の様なスペースだ。しかしこれが、不幸中の幸いと言うか、この時季の夕暮れ時は非常に爽やかで居心地がいい。落ち着いたところで乾杯!気候がいいとビールもうまい。あと「マグロの盛合せ」が特筆すべき美味さだった。この後、同じビルの2Fの「鉄板野郎」で二次会。この店は先日テレビで「ポテサラが美味い」と紹介されているのを見た。偶然である。しっかりと飲んで食べて解散。
それと、この日は長年愛用していたリュック「deuter TRANS ALPINE 30」の引退山行だった。ポケットのファスナー部分がとうとう破けてしまった。2013.3月から6年間頑張ってくれた事に感謝する。
後日、お土産の奈良漬を刻んでクリームチーズで和えて見た。
日本酒に合わせると美味である。