Maria Callas Diary

着物・ドール・お料理・お家・家族など、日々のことを日記として書いています。

重陽の節句

2019-09-09 23:42:42 | 季節行事

今日9月9日は五節句のひとつである「重陽の節句」です


古来、数字のうち奇数は陽の数、偶数は陰の数と考えられていたため、陽の最大数である九が重なる日として、9月9日は「重陽」の節句と呼ばれ非常にめでたい日とされてきました


中国では9月9日に茱萸の実を入れた袋を肘から下げたり、菊酒を飲む習わしがあったようです。この中国から入ってきた風習により、平安時代からは日本でもこの日に菊酒を飲み、邪気を払って長寿を願う行事が行われていました


重陽の節句において、宮中では茱萸袋をかけて翌年の端午の節句の日まで飾り、端午の節句から重陽の節句までは香気を持つ薬草を詰めた真の薬玉(長命縷)をかけて天皇の健康を願うしきたりがありました


また重陽の節句の前夜、菊の花に綿を被せて朝露を含ませ、その綿で体を拭うという習慣があり、これを「着せ綿(被せ綿)」と言います


なぜ菊なのかというと、それは中国の説話に基づいています。


昔々、周の穆王の時代に、王の身の回りの世話をする子供の一人が、誤って王の枕を跨いでしまいました。王の枕を跨ぐとは王の顔を足蹴にするのと同じほどの重罪ということで、子供は遠い場所に流されることになります


その子供を不憫に思った王が「福聚海無量 慈眼視衆生」という観音経のうちの2文を授け、毎日これを唱えるように言い聞かせます。子供は流されて一人山奥で暮らすようになってから、毎日この句を川の側に咲く菊の葉に書き付けました。


その菊の葉から滴った水を含んだ川の水を飲んだ子供はその後老いることなく、なんと七百年も後になって、魏の文帝の勅使に発見されることになります


このことから菊は長寿の象徴となり、9月9日の重陽の節句(菊の節句)には菊酒を飲んだり、前夜に菊に被せた綿に含まれた菊の露で体を清めたり、健康と長寿を願う風習が今でも続いているのです


しかしながら、旧暦9月9日は菊の最盛期ですが、新暦9月9日には、まだまだ菊は自然には咲いていません。いつか着せ綿をしてみたいと思うのですが、それには菊を自分で育ててみないと無理でしょうか…