2190 作者未詳 2011-12-31 | 巻十 秋雑歌 吾門之 淺茅色就 吉魚張能 浪柴乃野之 黄葉散良新 我が門(かど)の 浅茅色(あさぢいろ)づく 吉隠(よなばり)の 浪柴(なみしば)の野の 黄葉散るらし 「我が家の門の、チガヤが色づくよ。吉隠の、浪柴の野では、もみじが散っているかしら」
2189 作者未詳 2011-12-30 | 巻十 秋雑歌 露霜乃 寒夕之 秋風丹 黄葉尓来毛 妻梨之木者 露霜の 寒き夕(ゆうへ)の 秋風に もみちにけらし 妻梨の木は 「露霜が降りる、寒い夕方の、秋風に、色づいたようですね。(妻が無いという)ナシの木は」
2188 作者未詳 2011-12-29 | 巻十 秋雑歌 黄葉之 丹穂日者繁 然鞆 妻梨木乎 手折可佐寒 黄葉(もみちば)の にほひは繁し しかれども 妻梨(つまなし)の木を 手折りかざさむ 「もみじの葉は、美しく色づいている。しかし、(妻がいない私は)ナシの枝を、手折って髪を飾りたい」 ●妻梨:ナシ 「妻が無し」と果実の「ナシ(梨)」を掛けている
2187 作者未詳 2011-12-28 | 巻十 秋雑歌 妹之袖 巻来乃山之 朝露尓 仁寶布黄葉之 散巻惜裳 妹が袖 巻来(まきき)の山の 朝露に にほふ黄葉(もみち)の 散らまく惜しも 「“妹が袖” 巻来の山の、朝の露に、色づくもみじが、散りゆくのが惜しいのです」
2186 作者未詳 2011-12-27 | 巻十 秋雑歌 秋去者 置白露尓 吾門乃 淺茅何浦葉 色付尓家里 秋されば 置く白露に 我が門(かど)の 浅茅(あさぢ)が末葉(うらば) 色づきにけり 「秋になれば、降りる白い露に、我が家の、チガヤの先端の葉は、色づいてきたよ」