1856 作者未詳 2011-01-31 | 巻十 春雑歌 我刺 柳絲乎 吹乱 風尓加妹之 梅乃散覧 我(わ)がかざす 柳の糸を 吹き乱る 風にか妹が 梅の散るらむ 「私がかざす、ヤナギの細い枝を、吹き乱す風よ。妻が(愛でる)ウメの花を、散らしているのだろうか」
1855 作者未詳 2011-01-30 | 巻十 春雑歌 櫻花 時者雖不過 見人之 戀盛常 今之将落 桜花(さくらばな) 時は過ぎねど 見る人の 恋ふる盛(さか)りと 今し散るらむ 「サクラの花は、(まだ散る)時ではないのに。愛でる人が、惜しんでくれるのは、今とばかりに(花を)散らせるのだろうか」
1854 作者未詳 2011-01-29 | 巻十 春雑歌 詠花 鴬之 木傳梅乃 移者 櫻花之 時片設奴 鴬の 木伝(こづた)ふ梅の うつろへば 桜の花の 時かたまけぬ 花を詠む 「ウグイスが、木から木へと伝う、ウメの花が散り始めれば、(次は)サクラの花が(咲く)季節がやってきます」
1853 作者未詳 2011-01-28 | 巻十 春雑歌 梅花 取持見者 吾屋前之 柳乃眉師 所念可聞 梅の花 取り持ち見れば 我が宿の 柳の眉(まよ)し 思ほゆるかも 「ウメの花を、手折って見れば、我が家の、美しい眉の(持ち主の)ことが、思われます」
1852 作者未詳 2011-01-27 | 巻十 春雑歌 百礒城 大宮人之 蘰有 垂柳者 雖見不飽鴨 ももしきの 大宮人の かづらける しだり柳は 見れど飽かぬかも 「“ももしきの”宮中に仕える人が、髪飾りにする、シダレヤナギ。見飽きることがありませんね」 ●かずら:つる草や草木の枝・花などで作った髪飾り