2068 作者未詳 2011-08-31 | 巻十 秋雑歌 天原 振放見者 天漢 霧立渡 公者来良志 天の原 降り放け見れば 天の川 霧立ちわたる 君は来ぬらし 「“天の原”振り返って見れば、天の川には、霧が立ち込める。彦星は(織女の元へ)来るらしいよ」
2067 作者未詳 2011-08-30 | 巻十 秋雑歌 天漢 渡瀬深弥 泛船而 掉来君之 楫音所聞 天の川 渡り瀬深み 舟浮けて 漕ぎ来る君が 楫の音聞こゆ 「天の川の、歩いて渡れる瀬が深いのですね。舟を浮かべて、漕いでくるあなたの、楫の音が聞こえてきますわ」
2066 作者未詳 2011-08-29 | 巻十 秋雑歌 擇月日 逢義之有者 別乃 惜有君者 明日副裳欲得 月日おき 逢ひてしあれば 別れまく 惜しくある君は 明日さへもがも 「月日を重ねて、出会えたもの、(すぐに)別れるなんて。失いたくないきみよ、明日もこのままいたいのだ」
2065 作者未詳 2011-08-28 | 巻十 秋雑歌 足玉母 手珠毛由良尓 織旗乎 公之御衣尓 縫将堪可聞 足玉も 手玉(ただま)もゆらに 織る服を 君が御衣(みけし)に 縫ひもあへむかも 「足玉と、手玉がちりりんと(鳴らせて)、織る生地は、あなたの衣装です。ただいま縫っています」 ●足玉:足の飾りとしてつけた玉 ●手玉:手くびに巻きつけた装飾用の玉 ●ゆら:玉や鈴などが触れ合って鳴る音を表す語
2064 作者未詳 2011-08-27 | 巻十 秋雑歌 古 織義之八多乎 此暮 衣縫而 君待吾乎 いにしへゆ 織りてし服(はた)を この夕(ゆふへ) 衣に縫ひて 君待つ我れを 「昔より、織った生地を、今宵、衣に仕立てて、あなたを待つ私です」