万葉集ブログ・2 まんえふしふ 巻九~巻十

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2342 作者未詳

2012-05-31 | 巻十 冬相聞
如夢 君乎相見而 天霧之 落来雪之 可消所念

夢(いめ)のごと 君を相見て 天霧らし 降りくる雪の 消ぬべく思ほゆ


「夢みたいよ。あなたと抱き合えて。(まるで)空一面に曇り、降ってくる雪のように、消えてしまいそうだわ」

2341 作者未詳

2012-05-30 | 巻十 冬相聞
思出 時者為便無 豊國之 木綿山雪之 可消所念

思ひ出づる 時はすべなみ 豊国(とよくに)の 由布山雪(ゆふやまゆき)の 消(け)ぬべく思ほゆ


「思い出す、時は仕方がありません。豊前国の、由布岳の雪が、消えゆくように(あの人のことを)思います」

●豊前国:福岡県東半部と大分県北部を占める地域

●由布山:由布岳 大分県別府市と由布市の境にある鐘状火山


2340 作者未詳

2012-05-29 | 巻十 冬相聞
一眼見之 人尓戀良久 天霧之 零来雪之 可消所念

一目見し 人に恋ふらく 天霧(あまぎ)らし 降りくる雪の 消ぬべく思ほゆ


「(妻問い婚で)一目見た、あの人に恋をして。(でも)空一面が曇り、降ってきた雪が、消えるように(これは儚い恋であると)思うのです」

2339 作者未詳

2012-05-28 | 巻十 冬相聞
吉名張乃 野木尓零覆 白雪乃 市白霜 将戀吾鴨

吉隠(よなばり)の 野木(のぎ)に降り覆ふ 白雪の いちしろくしも 恋ひむ我れかも


「吉隠の、野原の樹木に降り覆う、白い雪のように、(誰が見ても)目立つような、恋をしている私かも」

2338 作者未詳

2012-05-27 | 巻十 冬相聞
霰落 板敢風吹 寒夜也 旗野尓今夜 吾獨寐牟

霰降(あられふ)り いたく風吹き 寒き夜(よ)や 旗野(はたの)に今夜(こよひ) 我が独り寝む


「“霰降り” ひどく風が吹く、寒い夜だのに、旗野で今夜は、独りで野宿をせねばならない」