万葉集ブログ・2 まんえふしふ 巻九~巻十

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2185 作者未詳

2011-12-26 | 巻十 秋雑歌
大坂乎 吾越来者 二上尓 黄葉流 志具礼零乍

大坂を 我が越え来れば 二上に 黄葉流る しぐれ降りつつ


「大きな坂を、越えて来れば、二上(山)に、もみじが(風に乗って)流れついているよ。しぐれは降りつづいている」

2184 作者未詳

2011-12-25 | 巻十 秋雑歌
秋山乎 謹人懸勿 忘西 其黄葉乃 所思君

秋山を ゆめ人懸(ひとか)くな 忘れにし その黄葉(もみちば)の 思ほゆらくに


「秋の山を、決して人(=わたし)に言わないで。(ずっと)忘れていた、そのもみじの葉を、思い出しては(せつなくなるから)」

2183 作者未詳

2011-12-24 | 巻十 秋雑歌
鴈音者 今者来鳴沼 吾待之 黄葉早継 待者辛苦母

雁がねは 今は来鳴きぬ 我が待ちし 黄葉早継(もみちはやつ)げ 待たば苦しも


「ガンたちは、今飛んできて鳴いている。私が心待ちする、(庭の)もみじよ早く色づけ。(これ以上)待つのは苦しいよ」

2182 作者未詳

2011-12-23 | 巻十 秋雑歌
比日之 暁露丹 吾屋前之 芽子乃下葉者 色付尓家里

このころの 暁露(あかときつゆ)に 我がやどの 萩の下葉は 色づきにけり


「この頃は、朝露に(濡れたのか)、我が家の、ハギは下葉にまで、色づいてしまったよ」

2181 作者未詳

2011-12-22 | 巻十 秋雑歌
鴈鳴之 寒朝開之 露有之 春日山乎 令黄物者

雁(かり)が音(ね)の 寒き朝明(あさけ)の 露ならし 春日の山を もみたすものは


「ガンの鳴き声が(響く)、寒々しい夜明けに、露ができた。(それは)春日の山を、色づかせるよ」