万葉集ブログ・2 まんえふしふ 巻九~巻十

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1889 作者未詳

2011-03-05 | 巻十 春雑歌
譬喩歌

吾屋前之 毛桃之下尓 月夜指 下心吉 菟楯項者

我が宿の 毛桃(けもも)の下に 月夜(つくよ)さし 下心(したこころ)よし うたてこのころ


比喩歌

「私の家の(庭の)、ケモモの(木の)下に、月光が差し込んで。心の中はとても幸せ。ますます(春の訪れが楽しくなりそうな、今日)この頃」

1888 作者未詳

2011-03-04 | 巻十 春雑歌
白雪之 常敷冬者 過去家良霜 春霞 田菜引野邊之 鴬鳴焉

白雪の 常敷く冬は 過ぎにけらしも 春霞 たなびく野辺の 鴬鳴くも


「白い雪を、敷き詰めた冬は、過ぎ去りました。“春霞”(春の霞が)たなびく野原の、ウグイスが鳴くよ」

1887 作者未詳

2011-03-03 | 巻十 春雑歌
旋頭歌

春日在 三笠乃山尓 月母出奴可母 佐紀山尓 開有櫻之 花乃可見

春日なる 御笠の山に 月も出でぬかも 佐紀山に 咲ける桜の 花の見ゆべく


頭(こうべ)を旋(めぐ)らす歌

「春日にある、御笠の山に、月が出ないかしら。佐紀山に、咲いているサクラの花が(はっきりと)見えるのに」

1886 作者未詳

2011-03-02 | 巻十 春雑歌
懽逢

佐吉之 里行之鹿歯 春花乃 益希見 君相有香開

住吉(すみのえ)の 里行きしかば 春花の いやめづらしき 君に逢へるかも


(恋人に)逢えた(ことを)歓(よろこ)ぶ

「住吉の、里に出かけたら、“春花の”とてもすてきな、あなたに会えました」

1885 作者未詳

2011-03-01 | 巻十 春雑歌
物皆者 新吉 唯 人者舊之 應宜

物皆(ものみな)は 新(あら)たしきよし ただしくも 人は古りにし よろしかるべし


「物はどれも、新しいものがよいに決まっています。ただし、人は古い(年配者)ほうが、よいようですね」