1825 作者未詳 2010-12-31 | 巻十 春雑歌 紫之 根延横野之 春野庭 君乎懸管 鴬名雲 紫草の 根延ふ横野の 春野には 君を懸けつつ 鴬鳴くも 「ムラサキの、根が長くのびる横野では、春の野なのでしょう、あの人を慕っているかのように、ウグイスが鳴きます」 ●横野:大阪府大阪市生野区あたりの野原か
1824 作者未詳 2010-12-30 | 巻十 春雑歌 冬隠 春去来之 足比木乃 山二文野二文 鴬鳴裳 冬こもり 春さり来れば あしひきの 山にも野にも 鴬鳴くも 「“冬こもり”春が来ました。“あしひきの”山にも野にも、ウグイスが鳴いています」
1823 作者未詳 2010-12-29 | 巻十 春雑歌 朝井代尓 来鳴杲鳥 汝谷文 君丹戀八 時不終鳴 朝ゐでに 来鳴く貌鳥(かほどり) 汝(な)れだにも 君に恋ふれや 時終へず鳴く 「朝、井堰に飛んできて鳴くかおどりよ。おまえも、あの人を慕って、終日鳴いているのだね」 ●貌鳥(かおどり):鳥の名 カッコウ その他諸説あり 実体は不明
1822 作者未詳 2010-12-28 | 巻十 春雑歌 吾瀬子乎 莫越山能 喚子鳥 君喚變瀬 夜之不深刀尓 我が背子を 莫越(なこし)の山の 呼子鳥 君呼び返せ 夜の更けぬとに 「“我が背子を”『越させるな』という名を持つ山(=な越し山)の呼子鳥よ。夫を呼び返しておくれ。夜が更ける前に」 ●呼子鳥:カッコウ ほかに ウグイス ホトトギス ツツドリ など ●千葉県南房総市
1821 作者未詳 2010-12-27 | 巻十 春雑歌 春霞 流共尓 青柳之 枝喙持而 鴬鳴毛 春霞 流るるなへに 青柳(あをやぎ)の 枝くひ持ちて 鴬鳴くも 「“春霞”(霞が)流れるにつれ、“青柳の”枝をくわえたウグイスが、さえずります」