万葉集ブログ・2 まんえふしふ 巻九~巻十

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1976 作者未詳

2011-05-31 | 巻十 夏雑歌
問答

宇能花乃 咲落岳従 霍公鳥 鳴而沙度 公者聞津八

卯の花の 咲き散る岡ゆ 霍公鳥 鳴きてさ渡る 君は聞きつや


問答

「“卯の花の”咲き散る丘を、ホトトギスが、鳴いて渡っていったよ。きみは(その声を)聞いたかい」

1975 作者未詳

2011-05-30 | 巻十 夏雑歌
不時 玉乎曽連有 宇能花乃 五月乎待者 可久有

時ならず 玉をぞ貫(ぬ)ける 卯の花の 五月(さつき)を待たば 久しくあるべみ


「季節はずれではあるが、(薬)玉に(緒を)通すため、“卯の花の”5月を待つのは、(まだまだ)時間がかかるなあ」

●卯の花:ウツギ

1974 作者未詳

2011-05-29 | 巻十 夏雑歌
春日野之 藤者散去而 何物鴨 御狩人之 折而将挿頭

春日野の 藤は散りにて 何をかも み狩(かり)の人の 折りてかざさむ


「春日の野の、フジ(の花)は(すでに)散ってしまった。薬狩りの役人たちは、どんな花を、折り取って(薬玉にして)かざすのだろう」

1973 作者未詳

2011-05-28 | 巻十 夏雑歌
吾妹子尓 相市乃花波 落不過 今咲有如 有与奴香聞

我妹子に 楝(あふち)の花は 散り過ぎず 今咲けるごと ありこせぬかも


「“吾妹子に”センダンの花よ、散らないで。いま咲いている(姿の)ままで、あってほしい」

●楝(おうち):センダンの古名 枕詞である「吾妹子に」と「会う」意から、「あふ(あう)」と同音を含む「楝(あふち=おうち)の花」にかかる

1972 作者未詳

2011-05-27 | 巻十 夏雑歌
野邊見者 瞿麦之花 咲家里 吾待秋者 近就良思母

野辺見れば なでしこの花 咲きにけり 我が待つ秋は 近づくらしも


「野の辺りを見れば、ナデシコの花が、咲いています。私が待ち(望んだ)秋(の季節)が、近づいているようです」