小さな日記

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子育て

2011年02月15日 | Weblog
31歳のおかあさんが、小さい子どもを二人、自転車に乗せて、雪道を走る中転倒、一人が車道に飛び出され、重症というニュース。

そうなっても不思議はなかった自分の経験を思い出し、せつなくなった。わたしも、上の子の幼稚園の時期に、3人乗りでフラフラしていて、何度か転倒しかけてひやっとしたことがある。後からきた自動車の運転手に罵倒されたこともある。

両手にしっかり二人の子をつかんで歩けばよかったのか。とんでもない。下の子は手をふりほどき、思いもよらない動きをしたし、上の子はひっきりなしに喋って、あちこちに行こうとするから、目的地にはなかなか着かない。荷物もある。自転車を買って、どれだけほっとしたことだろう。

今は3人乗りが禁止になった。それはそうだろう。確かに危険極まりない。それはわかっていても、そうしなくてはならない状況があるということだ。

先日、薬局の前で、おかあさんが3歳くらいの男の子に、「ちゃんと見ててね」とお願いしていた。自転車の前椅子に、もっと小さい女の子を座らせて、歩道に斜めに自転車を置いたまま、おかあさんは薬局に入った。銀行から出てその光景を見てしまったわたしは、さあ、こわくてしょうがない。斜めに置いた自転車に勢いよく歩く若い男性がぶつかりそうになるし、小さい男の子は、前に行ったり後ろに行ったりして、確かに「ちゃんと見ている」のだけれど。わたしは、自転車をすぐ支えることができる場所に立って、知らん顔して見張っていた。おかあさんは、数分で戻ってきて、男の子は胸を張って「ちゃんと見ていた!」と言った。わたしも、ほっとして、本当にほっとしてその場を去った。

もちろん、おかあさんに、「そんな止め方で、子どもほっぽいて危ないですよ」と言うこともできた。危ないのは重々承知で焦っているおかあさん、いっぱいいっぱいになってるおかあさんは、昔の自分のように思えた。昔の自分を思うと、ずっと年上の女性に説教がましく言わずもがなのことを言われても、焦りを募らすばかりだと思ったから言わなかった。

かつて、瀬戸内海の島で子育てした女性に、「子育てって、戦争みたい」と、つぶやいたことがある。彼女はきょとんとして「あら、そんなこと、思ったことないわ」と言った。そのとき、そうか、そうじゃない子育てもあるんだなぁと思った。

たった二人の子で、しかも、父親が稼ぐという環境で、戦争と思ってはりつめていたのは、わたしが不手際で能力がなかったからなのか。決定的になにかが島の子育てとは違う環境だったからと思う。ニュースのおかあさんにも、子育ては戦争だったろうか。戦士に「あなたの味方です」と告げても信じてもらうのは難しい。お子さん、どうか、元気に治ってほしい。