その時、2022年問題の話になりました。
ご存じですか?2022年問題。
国民の殆どが知らないし、関係が無い問題ですが、デベロッパーや不動産会社は手ぐすねを引いて待っている問題です。
まず、1992年から始まった生産緑地法。
これが関係するのは、三大都市圏のみ。
この指定された地域の農地だけが関係します。
生産緑地法によって生産緑地に登録した土地は、30年間農地の保全(他の地目への転用が不可)しなければなりません。
その分、農地への課税が安くなります。
という法律です。
一方で農地を相続すると莫大な相続税が課税されます。
その農地を相続すると、相続税猶予を受けられるのですが、その代わり、一生耕作を続けなければなりません。
私の実家は生産緑地に登録してあります。
一方で、この30年間で私の曾祖父と祖父が死んだので、相続が2回発生しました。
私の父ももうすぐ後期高齢者なので、2022年まで元気かどうかはその時にならなければ分かりません。
よく生産緑地の30年縛りのことを「30年の年季」と揶揄します。
30年経ったら、その農地を市町村が買い上げてくれることになっているからです。
さて、私の実家は相続税猶予を受けたので、農地はすべて、土地の所有者が死ぬまで耕作しなければなりません。
例えば大きな病気をしたり、大けがしても、です。
その農地は、耕作放棄をしたら、宅地並み課税になるからです。
私の実家の地殻にはこんな農地があります。
30年ほど前は、家族6人で暮らしていました。
10年ほど前、その家の娘さん達が嫁いで4人暮らしになりました。
5年ほど前、その家のおばあさんが突然亡くなり、おじいさんは病気で車いす生活になりました。
3年ほど前、その家のおじいさんが亡くなったらすぐに、ご夫婦が離婚しました。家族はたった1人のご主人のみ。
ご主人は、農地を耕耘機で耕します。でも何も植えません。
暫くすると、雑草が生えてきます。
すると、ご主人は、また農地を耕耘機で耕します。
この繰り返しをずーっとしているそうです。
これならば「耕したけれど、1人暮らしで忙しくて作付けできなかった」と言い訳できるからだそうです。
こんなふうに私の実家の近くには実質耕作放棄地が点在しています。
また農家は同じ作物を作っていると、グループを作り一括で農薬や農業資材を購入することがあります。
一般化に「組合」などと呼びます。
私の実家が加入しているグループはこの30年で軒数が半分以下になりました。
私も驚いて「Sさんところが止めたのは知っているけど、Aさんも?Iさんも?」という具合です。
どこも相続絡みで農地を手放し、農業を諦めたというのです。
両親の話では、30年前と比べて地域の農地は半分以下になったとのことでした。
私も農業関係の職場に勤務していたことがあります。
しかし農業センサスのデータは2005年までのデータしか見ていなかったので、もうガックリしました。
両親は将来、兄が農業を続けることが難しいと考えているようです。
私も現状をかんがえると兄が農業をやっていけるのは70歳くらいと考えると、あと25年くらいでしょうか?
あとは家庭菜園で維持ができるかな?と。
一方で市の広報紙などでは、地域の農業を取り上げているのです。
150万人都市の川崎市で、地域の農業を取り上げたところで、結局全然需給バランスが合わないのです。
どんどん人口は増えているのに、市内の農家は1000軒にも満たないのですから。
税金のかけ方にバランスがとれていない、という現状を一市民としても感じるのです。
私の実家は、市街化区域にあるので、市町村としては農地として維持するよりも、住宅地にしたいのでしょう。
その方が税収も上がりますからね。
この先、2022年になっても恐らく私の実家は農業を続けます。
しかし周囲の農地は宅地化が進む可能性が高いようです。
いつか私の実家が「川崎市内最後の市街化区域内農地」になるのかもしれない…と思うのです。
そうならないような仕組みがあればいいのになぁ、と思わずにはいられません。
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