これは昔は西新橋の日石本社ビルの前にあって、今は大手町の新日鉄ビル(今はJXビルですかね?)の横に東京駅の方に向かってオリンピックの聖火みたいな松明を2本も掲げているギリシア神話の神プロメテウス(人間に火を与えたためにゼウスの怒りをかったんだそうな)の像であります。
福島の原発事故があって原子力発電を「プロメテウスの火」と比喩して「ほらね、原子力発電などというあんな危険なものに手を出すから、プロメテウスがゼウスから受けた生きながらに毎日ハゲタカに肝臓を食われる責苦のように苦しむことになるのだぞ」というような文章をいくつか読んだので、プロメテウスという単語が頭の中に残っていて、それでおおこんなところにプロメテウス発見!と見てみると足下の台座に「希望」と書かれております。
ん、なんで希望なの?って気になったので調べてみると、話ちょっと長くなるんですが、プロメテウスの弟がエピメテウスでその嫁さんがあの女神パンドラさんなんだそうですわ。
プロメテウスは弟エピメテウスに「これ、絶対開けちゃダメだかんね」と箱(実際は壷らしいが)を渡しておいたのですが、それを好奇心おう盛な美女パンドラが「中に何が入ってるのか見せて、お願い」とエピメテウスに頼んで開けてしまう。
するとあ~ら大変、その箱の中から災難がどばーっと放出してしまい、人間界はこの世のあらゆる不幸や災い、悲しみで満たされてしまうわけですね。
で、そんなこともあろうかとプロメテウスは箱の中に「希望」を入れておいた。
だったら最初から弟に箱なんか渡すなよと突っ込みたくなりますが、こうして人間はどんな災難にあっても希望を持つようになり絶望しなくなったというお話のようであります。
(諸説あるようではありますけどね)
なるほど、それで、台座に「希望」って書いてあるのね、っていうところがこの石の鑑賞ポイントでありますね。
さて、お話を元に戻すと、大地の女神ガイアの子孫であるプロメテウスは元々ゼウス(英語名ジュピター)に「粘土で我々に似た生き物をつくって生きて行くための知恵を授けてやれ、でも火の使い方は危険だから教えちゃいかんよ」と命令されて人間を造り、家や道具をつくる方法や農業を教えて、言葉や文字を教えるのですが、火を使うことを知らないと温かいものを食べることも暖をとることもできないので、かわいそうに思って太陽から火をフェンネルの茎に移して持ち帰り、人間に火の使い方を教えてしまったわけですね。
そうやって人類に与えられた知恵が、徐々に太陽光の恵みからの農産物の余剰という富を産んで国を造り、風力を使った帆船による大航海時代を過ぎて、産業革命が起きて火力を動力源として利用し始めてからはあれよあれよとどんどん科学が進歩して、とうとう原子力を知り、今はスーパー上岡のおかん、じゃなくて、スーパーカミオカンデなどを利用して素粒子や反物質の持つ高エネルギーの世界に近づきつつあるっていうところでしょうか。
この先も人間の知に対する好奇心という欲望が消えない限り科学技術はまだまだ進歩するだろうけど、再処理されたMOX燃料利用で1000年はエネルギーの枯渇から人類が解放される「もんじゅ」で実験している高速増殖炉の技術が確立されない場合、100年後には石油もウランもなくなってしまうわけで、それまでには人類は今までの「プロメテウスの火」に変わるエネルギー源を得なければならないわけで、それはたぶん素粒子等の高エネルギー物理学の技術の先にあるような気がするんですけどねえ。
ちなみにプロメテウスが人類のためにと消さないように走って火を持ち帰るために使った植物フェンネルを古代ギリシアでは「マラトン」と呼び、マラソン競技の由来となった紀元前490年のマラトンの戦いに出て来る地名「マラトン」にはこの草が多く生えていたそうな。
オリンピックで聖火を持ってリレー形式で走るのは、1936年のベルリン大会からみたいですが、たぶんこういうプロメテウスが持ち帰った「火」を聖なる象徴とするという背景があるんだろうなあ。
さて、今朝は走るには問題なさそうな程度の雨だったのですが、昨日走ったので休足でした。
今日も神話の時代から自然に核融合を続けて自然放射線を降り注いでくる太陽のおかげで暑くなりそうです。
代々木ランニングクラブ2.0
ホブロンさん、似てるけど兄弟ではないみたいですね。
マカニさん、像だけ置いていくっていうわけにもいかなかったんでしょうねえ。
以前もご紹介しましたが、「パエトーン」、読んでない方(漫画に「読む」という言葉は使わないのですが、これは別)、ぜひお目通しください。人類の問題はすなわちひとりひとりの問題、そのこたえ、ひとりひとりが解く。
「好適でなく最適を望む生物は滅びる」は、結局おのれが決めること、ひとりひとりおのれのみ、己の身、どんな身にしたい、ならばなにを食い、どう動くのか、でしょうね。
ショーブンさん、身体が知っているのね。