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マドンナのナイショ話

あなたに話したいあれこれ

ニューヨーク恋物語 第3章東京編

2008年06月13日 | ニューヨーク恋物語
「まえがき」


「ニューヨーク恋物語」を
すでに私のWebサイトで読まれている方もいるかと思いますが
ブログを始めた月に、ブログ開設記念のひとつになればいいと
走り書きとしてスタートしたニューヨーク物語。


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結末は、書き始めた時から決まっていました。
でもそれまでの過程をどのようにするかは未定でした。


「起承転結」の「起」と「結」の部分だけで
あとは何とかなるさ・・・の気持ちで第1章を書きました。


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あの時からの3年間は、私自身とても成長したので
今なら、もっと違う表現が出来たのに・・・と思う。


昨年11月に念願のニューヨーク行きも果たせた。
今なら、もっとリアルに書けるのに・・・と思う。


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でも、ニューヨーク物語は、作品の上手下手ではなく、
この物語を一生懸命書いていたひたむきな自分を評価したい。


写真3枚は、ニューヨーク郊外、ボスカベル邸です。
秋色のニューヨークもまた素敵でしょ?


今回の挿絵の写真は、「NIGHT Windows ~東京の夜景」 のShinshinさんと
過去の「マドンナの夢ギャラリー」の更新写真です。


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ミューヨーク恋物語2008  BGM 愛し君へ(森山直太朗)


         


                          


ニューヨーク恋物語 第3章東京編


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汐留のレストランに着いたのは19時少し前だった。
今日子が予約したレストランは
一年前大沢が今日子を誘ったレストランだった。


大沢はここで今日子に指輪を渡すことが出来なかった
自分の不甲斐なさを思い出していた。


指輪のことは、今日子は全く知らない。
今でもニューヨークの大沢の机の引き出しに入れたままだ。


3ny2
ここは銀座やお台場、東京タワーが一望できるスカイレストラン。


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あの時と同じように
今日子は窓際のスペシャルシートを予約していた。


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この店のシェフは大沢の友人であった。
シェフは大沢と今日子が付き合っていることを知っていた。


彼は今夜二人のためにワインを贈ってくれた。
ソムリエに依頼して、二人に合うワインを選ばせた。


ソムリエが選んだワインは
ミレニアム(2000年)のドイツワインだった。


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ミレニアムの年に大沢と今日子は出逢った。
あれから5年の歳月が流れた。
5年間、大沢と今日子は真摯な気持ちで愛し合ってきた。


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冷たく冷やされたワインがグラスに注がれた。
二人は再会を祝って乾杯した。
上品な貴腐ワインの味に、二人は甘味した。


大沢の優しい笑顔を
今日子は、まったりとした時の流れの中で見つめた。
大沢もまた今日子の可愛らしい仕草に安らぎを覚えた。


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二人はお互いの仕事の話をした。
共通の友人の話をした。


そして過去の話をした。
会話は途切れることなく、次から次へと続いていく。


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今更ながら気の合う二人だと実感する。
性格も似ている上に、価値観も似ていた。


大沢は今日子といると安らいで
今日子も大沢といると自然体になれた。


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一生を共にする女は、今日子しかいないと大沢は思った。
今日子もまた、大沢に自分の人生を託したいと思った。


けれどお互いのことになると言葉を呑み込んでしまう二人。
それはお互いを尊重するあまり、無理強いしないでやってきた。




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シェフの計らいで
二人の記念日を飾るような料理が運ばれて来た。
二人の時間は甘く優しく過ぎて行った。


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汐留を少し歩いて、酔いを醒まして
大沢は今日から、横浜の今日子のマンションに行くつもりだ。


滞在する一週間は、八王子の実家には帰らずに
今日子のマンションから会社に行くつもりだ。
今日子もまた、それを望んだ。


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ディナーは最後のデザートが運ばれて来た。
今夜もまた二人の新しい思い出が出来た。
大沢はやっと帰って来たことを実感して、喜びをかみしめた。


大沢はシンプルできれいに片付けられた今日子の部屋が好きだった。
今日子の部屋で音楽を聴きながら酒を飲み
今日子と語り合うことは、大沢にとって至福の時であった。


3ny12
大沢は1時間でも長く今日子と一緒にいたかった。
これから横浜で二人の長い夜が始まる。



4章へ続く・・・




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ニューヨーク恋物語 第2章東京編

2008年06月07日 | ニューヨーク恋物語
「まえがき」


3年前に書いた「ニューヨーク恋物語」は
あの時は、それが精いっぱいの表現の仕方だったけれど
今、読み返すと、未熟な自分が恥ずかしくなります。


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けれど今回、この物語をリバイバルさせたのは
あの頃の輝いていた自分を回想したかったからです。


写真に対しても、いつもひたむきな気持ちで撮っていたし
どんな些細な被写体をも見逃さない鋭い目があった。
今は、マンネリ化して、反省の色は濃い。


P14
今、私のWebサイト「マドンナの夢ギャラリー」の中から
今回リバイバルさせた「ニューヨーク恋物語」の
挿絵の写真を選ぶ作業は、私的にはとても楽しい。


物語と写真は全く違う視点で撮ったにも関わらず
こうして挿絵にして置いてみると、収まりがいいのには驚きます。
そして嬉しくなる。


Jj14
写真とのコラボの関係で、リバイバルの「ニューヨーク恋物語」は
少しだけ原作の言葉と違うところがありますが
「ニューヨーク恋物語2008改正版」としてお読みください。


今夜も「大沢と今日子」の世界をお楽しみ頂けると嬉しいです。


写真は上から
1  ニューヨーク5番街
2  セントラルパークのストロベリーフィールズ
3  カーネギーホール


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ミューヨーク恋物語2008  BGM 愛し君へ(森山直太朗)


         


                          


ニューヨーク恋物語 第2章東京編


2ny1
待つという行為が
これほど長く感じたことはあっただろうか。


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今日子は到着ロビーの椅子に腰を下ろして
何度も手鏡を見た。
今、一番きれいな自分で大沢に会いたいと思った。


それは今日子の女心である。
胸の高鳴りとともに何度も髪を撫で、化粧直しをした。


2ny3
到着のざわめきがロビーに広がった。
今日子は席を立ち大沢を探した。


その奥からこちらに向かって歩いて来る大沢を見つけた。
大沢もまた今日子を確認した。


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少しはにかんだような顔で、大沢が今日子の前に現れた。
「ただいま」と言った。
今日子は「お帰りなさい」と、笑顔で迎えた。


少し日焼けした大沢がそこにいた。
そしてやや痩身になった大沢が素敵に思えた。


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大沢もまた今日子の髪が長くなったことを感じた。
大沢は髪の長い今日子が好きだった。


照れ隠しに、右手で髪を撫でる今日子のしぐさが
今でもたまらなく可愛いと思っている。


ニューヨーク滞在中、長く美しい今日子の髪を夢に見ることがあった。
夢の中の今日子はいつも笑っていた。


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二人は空港の駐車場に向かった。
そこで待っていたのは、大沢の愛車だった。
愛車のレジェンドは、大沢の渡米中、今日子が使っていた。


大沢は今日子をサイドシートに乗せると、運転席に着いた。
エンジンをかけると、一年前の二人に戻った。


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大沢はよく今日子をサイドシートに乗せてドライブした。
横須賀、湘南、茅ヶ崎・・・今日子の好きな海だった。


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バックミラーに目をやると「雪の日のうさぎ」のマスコット。
BGMは二人が好きなユーミン。


スイッチONにすると「ANNIVERSARY」の曲が流れた。
すべて大沢と今日子の思い出に繋がってゆく。


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空港をあとに高速道路を走ると
夕暮れが迫って来た。


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西の空がロゼ色に染まり始めた。
これから始まる大沢と今日子の
甘い時間を祝福するかのような色だった。
その色は今日子のときめきの色でもあった。


今度は一週間の滞在だ。
会えたことへの安堵と
この瞬間から、別れの時間が迫ってくる焦燥感。



今日子は大沢の時間を独り占めしたいと思った。
片時も大沢から離れたくないと思った。


大沢が愛しいと・・・
こんなにも愛しているのにと・・・
その想いは堰を切ったように流れ出した。


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大沢は「今日子」と名前を呼んだ。
今、耳元で囁きかける大沢の声に
今日子は夢なのかと頬をつねった。


夢かもしれないと思うだけで、涙が溢れてきた。
「バカだな、泣くなんて。 君のところに帰って来たのに・・・」
「・・・・  ・・・・  ・・・・」
今日子は、言葉が出なかった。


2ny12
二人を乗せた車は、汐留に向かって走り続けた。


第3章へ続く・・・



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ニューヨーク恋物語 第1章東京編

2008年05月30日 | ニューヨーク恋物語
「まえがき」


3年前、母が入院する病院へ片道2時間かけて
週に3日、通っていました。
2005年5月から連載が始まった「ニューヨーク恋物語」は
その頃、そのほとんどを電車の中で執筆した物語でした。


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ブログへの走り書きから始まり、やがてHPに正式に移行して
写真「NIGHT Windows ~東京の夜景」のShinshinさん
音楽「Blue Piano Man」さん作曲の 「Thank You」のご協力を得て
マドンナ書き下ろしの、3人のコラボレーションで、週に1回、3ヶ月間連載しました。


Jj606
「ニューヨーク恋物語」は、私のニューヨークへの憧憬から生まれた物語。
あの頃はWebサイトもブログも毎日更新して
私が最も輝いていた頃でした。


たぶん母の介護に一生懸命だったから
オールマイティーに、自分の気持ちが抜けがらにならないように
熱い気持ちが溢れていたのだと、今になって思ったりします。


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あれから3年。
若葉の季節が来ると、この物語を書いた頃のことを思い出します。
ひたすら母を想い、電車に乗り、その傍ら
マドンナの世界の中で「言霊」を追い求めていたのだと思います。


「ニューヨーク恋物語3周年」を記念して、3年前のリバイバルです。
眠気覚ましに読んで下さると嬉しいです。


尚、挿絵の写真は、過去の「マドンナの夢ギャラリー」の更新写真です。


上の写真は
1  タイムズ・スクエア
2  エンパイアステートビル
3  セントラルパーク


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ミューヨーク恋物語2008  BGM 愛し君へ(森山直太朗)


         


                          


ニューヨーク恋物語 第1章東京編


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爽やかな5月の風が肌に心地よい。


桜の季節が終わると待っていたかのように
花たちが次から次へと咲き始め
木々が瑞々しい新緑におおわれる。


初夏の陽気を思わせるような一日だった。


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そんな夕暮れ時、今日子は空港の到着ロビーにいた。
半年ぶりに大沢がニューヨークから帰国する。


今日子にとって、この半年は辛い毎日だった。
大沢がニューヨークに行って一年の歳月が流れた。
大沢のいない東京は、乾いた都会でしかなかった。


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一年前、大沢は汐留のレストランに今日子を誘った。
ニューヨーク勤務の辞令が下りた夜だった。


大沢の背広のポケットには、今日子の誕生石の指輪が入っていた。
それを今日子に渡して
「一緒にニューヨークに来て欲しい」と言うつもりだった。


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忙殺された年度末にはなかなか会えなくて、やっと会えた二人。
今日子はいつになくいきいきとしていた。


今日子は新しいプロジェクトチームに参加することが決まり
目を輝かせていた。
今日子が夢にまでみたプロジェクトだった。


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大沢はポケットから指輪を出すのを躊躇った。
やっと手応えのある仕事に就いた今日子に
大沢はプロポーズしてニューヨークに連れて行くことが出来なかった。


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時が流れて、二人は海を隔ててお互いを見つめ合った。
時差のある日常の中で、二人は毎日メールしあった。


デスクでの仕事の合間に、カフェでコーヒーを飲みながら
夜自宅のリビングから・・・  一日何度もメールをした。


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メールとは、愛する者同士には、切ない意思表示だ。
心の温もりは感じられても、肌の温もりが感じられないからだ。


同じ月を・・・ 同じ星を・・・ 同時に見られない時差の壁。
ひとつ歯車が狂い始めると、歯止めが効かなくなりそうだった。


半年前に一度帰国した大沢に会った時
今日子はプロジェクトチームを逃げ出したいと思った。


女の幸せとは何かを考えた。
大沢と一緒にニューヨークに行きたい衝動に駆られた。
そんな想いで半年が過ぎ、そして一年が過ぎた。 


7okny
まもなく大沢が到着ロビーに現れる。
今日子は胸の高鳴りを抑え切れない。


19時に、汐留のレストランを予約した。
二人の思い出のレストランだ。


言葉は多くいらない。
メールでどれほど送信したことか。


8okny
愛している
I love you (アイ ラブ ユー)
Ich liebe dich (イッヒ リーベ ディッヒ)
Je t’aime (ジュ テーム)
Ti amo (ティ アモ)


今日子は大沢の肌の温もりが欲しかった。
理屈などいらない。
ただとろけるように、大沢に抱かれたかった。


9okny
成田着16時40分。ノースウエスト航空17便。
定刻通りの到着。


第2章へ続く・・・




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