暇人に見て欲しいBLOG

別称(蔑称)、「暇人地獄」。たぶん駄文。フリマ始めました。遊戯王投資額はフルタイム給料の4年分(苦笑)。

【目眩く儚い日々はこんな】第陸夜

2009年09月28日 19時57分57秒 | 小説系
     十日目  がら、がら、がら……と。  霊(たま)に意識を落としていた私は、玄関の戸が開くのを目の当たりにした。  そこにいたのは……  ――疫幽儚(えきゆらはかな)!!  どう見ても、疫幽儚だった。  質素な白い服に、長い黒髪。透けるような青白い肌に、細長い手足。  白い靴を脱いで家に上がり、ゆったりとした足どりで歩いてゆく。  ゆらゆらと、どこか危なっかしい動きだった。  死体が見つ . . . 本文を読む

【目眩く儚い日々はこんな】第伍夜

2009年09月27日 20時23分23秒 | 小説系
     好男(すきお)の場合  今度は儚の父、好男の意識に入り込み、あの時のことを思い出してみた。  私の力では過去を十日までの範囲で遡(さかのぼ)って見ることができるのだ。  いつもの時間になっても、貞子の「夕飯の支度ができましたよ、ご飯にしましょう」の声がなかった。  不思議に思い台所に行くと、料理はちゃんとできていた。あとは盛り付けるだけ、といったところだ。  そういえばさっき、呼び鈴 . . . 本文を読む

【目眩く儚い日々はこんな】第肆夜

2009年09月26日 19時57分40秒 | 小説系
     最初の記憶  気がつくと、ここにいた。  ここ……どこ?  知らない。  ただ、暗かった。  夜……? ではない。  だんだんと、闇が揺らいでゆく。  最初に見たのは、そう。  死体だった。  眼前。  目の前に、青白く美しい少女が倒れていた。  質素な服装の、黒い髪の女の子。長い黒が、無造作に乱れていた。 「はかな!」  疫幽(えきゆら)貞子が言った。  そう。少女の名前は、  ― . . . 本文を読む

【目眩く儚い日々はこんな】第参夜

2009年09月25日 18時44分05秒 | 小説系
     貞子の場合  リンリンとベルが鳴った。  貞子が昨日電話で話していた相手だろう。  では、貞子に意識をもっていこう。  よいしょっと。  …………。 「あぁ、健介くんだわ」  そう言って、貞子は長い黒髪を前に垂らしてから玄関に向かった。  ほとんど前が見えない。  が。それが来客を出迎える時の基本スタイルだった。  なぜなら彼女は人と目を合わすことが極端にニガテだったからだ。  廊下で . . . 本文を読む

【目眩く儚い日々はこんな】第弐夜

2009年09月24日 21時59分41秒 | 小説系
     霊(たま)の場合  霊に意識を移した時、言いようのない雰囲気に呑(の)まれることになる。  それでは、よいしょっと。  …………。  家の中、人間で言うところの静寂の中にあって、しかし色々な音が聞こえてくるし、様々な匂いも立ち込めている。  空気感、とでも言えばいいのだろうか。たくさんの音と匂いはないまぜとなり、一つの世界を構築している。  振り子のついた大きな柱時計の秒針が、金切り声 . . . 本文を読む

【目眩く儚い日々はこんな】第壱夜

2009年09月23日 23時36分29秒 | 小説系
--めくるめくはかないひびはこんな--  気がつくと、ここにいた。  どこなのかはわからない、黒の世界。闇の中。  ただ、自分には複数の人間が、見てとれた。  複数人を同時に眺めることも、一人だけに意識を集中することもできた。  小説で言うところの神の視点とかいうやつか。  私にはそれができた。  一人の人に意識を集中させてやると、その人のステータスがわかった。  たとえば疫幽伸子(えきゆ . . . 本文を読む

これが私の歩む未知。8/24

2009年08月24日 08時26分46秒 | 小説系
 起きたら死んで、いなかった。  霞む視界。  こもる音。  ここは、いったい……?  やがて世界は目覚めはじめる。ドアの開く音。同僚の姿。糞尿の匂い。救急隊のような格好の人たちが、部屋に入って来た。 「大丈夫ですか?」  その中の一人がそう言った。まだ状況が把握できていない状態で、 「はい、大丈夫です」と応える。  そう、大丈夫。  嫌な匂いが鼻孔をくすぐり、自分が濡れていることに気づく。青 . . . 本文を読む

「すくい」

2007年08月30日 18時56分49秒 | 小説系
 やる気が出ない。  ふわーっと、どぅわーっと、ぶへーっと、やる気が出ない。  目の前は霞(かす)むのみ。  自分の無気力さにイライラ。  いくら飲んでも効いてこない薬にもイライラ。  ただやわらかいベッドが、ぼくを掬い救ってくれるだけ…… . . . 本文を読む

ショートショート【眠れない夜には】

2007年03月28日 03時01分23秒 | 小説系
※この作品にはエグい描写が含まれています。お気をつけて。  眠れない。  真っ暗な部屋で一人ぽつりと布団の中、妄想を膨らませて夜中を過ごす。  夜明ける前に、私は町を徘徊する。彷徨う。  そしてゴミ置き場で電子レンジを拾う。  段ボールの中の猫も拾う。  どうせ死ぬ運命の猫だからと。  私はその猫を実験に使うことにして家に連れ帰った。  本当は人間の赤ちゃんで試してみたい。  しかし捨てられた赤 . . . 本文を読む

ショートショート(書き直し)【青いソラ】

2007年03月25日 10時21分58秒 | 小説系
※この作品にはエグい描写が含まれています。お気をつけて。  一直線の農道。  左右を広大な田んぼが挟んでいる。青青とした稲が、陳腐な表現だがジュウタンのように茂っている。のどかな田園風景である。  僕はそこを、自転車で走っていた。  晴れているが、風が強い。向かい風ではないので脚に力をこめる必要はあまりないが、バランスを取るのにちょっと苦労した。  と。前からトラクターが来るのが見える。細い道 . . . 本文を読む

ショートショート【青いソラ】

2007年03月20日 17時12分35秒 | 小説系
 一直線の農道。  田んぼと田んぼに挟まれた長い一本道である。  僕はそこを自転車で走っていた。  前からトラクターが来るのが見える。細い道だがすれ違うだけの余裕はあった。  あともうすこし、というところで強い横風が吹いた。  自転車が田んぼに落ちそうになり、咄嗟に反対側へと飛ぶ。  地面に倒れこむと、目の前はトラクターのタイヤだった。  ぐちゃり。  潰れた圧力で目ん玉が飛び出し道に転がる。   . . . 本文を読む

ちなみに

2007年03月03日 15時35分52秒 | 小説系
 ハーラン・エリスン著の小説「世界の中心で愛を叫んだけもの」→新世紀エヴァンゲリオンTV版最終話「世界の中心でアイを叫んだけもの」→『世界の中心で、愛をさけぶ』  という引用の流れがあるそうである。  まぁ、せかちゅーのタイトルは編集者の意向で改題されたものらしいですが。 . . . 本文を読む