神曲〈3〉天国篇 (集英社文庫ヘリテージシリーズ)ダンテ アリギエーリ,Dante Alighieri,寿岳 文章集英社このアイテムの詳細を見る |
え~、読みはじめてから読み終わるのに半年以上かかってしまいました
といっても地獄篇、煉獄篇は2週間ぐらいで読んでしまっていたのです。ところが天国篇でつまづいてしまいました。いや、天国篇も面白かったのです。たいへん美しいし。が、地獄や煉獄のときは、ただ面白がっているだけで、なんとかついていけた中世の世界感が、ここで立ちはだかってくれました宇宙規模に発展していく壮大さにひるんじゃったのが、まずいけなかったのかもしれません。
地獄、煉獄以上に哲学的、形而上的です。多少でも理解して読もうと思うなら、注をがんばって読むしかないんですが、それがものすごく膨大。脚注では終わらず、何ページも先に書かれた注を読みながら、肝心の本編のイメージをつかむのにつかれてしまって、はじめの三歌が終わった段階で中休みしたのがいけなかった...おかげで5ヶ月通過。
再開したのは今月になってから。まずい、このままじゃ年を越してしまう、と、さすがにあせりました。で、やっと再開。
詩を読むときは書いてあることを頭の中でビジュアル化したり音声化する努力をするほうが楽しいし、神曲はそれができる作品だと思うんですが、今回は、そこまで体力と気力がなかったのでした。もったいない読み方だったかも...それでもいくつも好きなところもあります。また、表現力もさりながら、構成力におそれいりっぱなしでした。さらには、なぜそうなる、と突っ込みたいところまで満載。たとえば、地獄にいる肉欲に耽った者と、天国の金星にいる人たちってどうちがうんでしょう
そもそも自分の恋人が知恵の象徴で、天国の最高の聖者になってしまうっていう無茶な発想を納得させてしまうへんてこな話ですよねは。読んでみてわかったのが、矛盾するごたまぜのものが、整然とした構成と知識の枠の中にきれいにいれてしまうという、たいへん不思議なものだということでした。
体力負けしたとはいえ、面白かったのはかわりありません。そのうち、できればボッティチェリの挿絵をながめながら、時間かけて再挑戦してみたいものです。そのときは、注を楽に読むために、同じ訳の本をもう一冊用意したほうがよいかも。それまでに理解できるだけの知識をせっせと身につけないといけませんが。
こんなサイトを見つけたので、講義を聴いて頭にいれてからもう一回読むのもいいかも、と思っています。本もでていて評判はいいのですが、高いし、絶版で手にはいりにくいようです。
ダンテ神曲連続講義
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