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アルカサル ―王城

2007-09-16 15:37:08 | 
アルカサル 13―王城 (13) (プリンセスコミックス)
青池 保子
秋田書店

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掲載誌が休刊になってしまったおかげで13年も中断してしまった作品。とうとう完結しました。なんと着想から25年、連載がはじまってから24年もかかってやっとお話が締めくくられました。

雑誌に完結篇が掲載されるという話を聞いたときは、100ページずつの前・後編であとドン・ペドロの残る5年分がまともに描ききれるのかと心配しないでもなかったのです...だって、描かれていただけでもこれだけのことがあったのですよ。以下、ネタばれなので、見たくない人は読まないでくださいね。

王の死の2ヶ月前からお話ははじまります。それまでにマリアとアルフォンソは亡くなり、またもや執拗なエンリケの攻撃と貴族の裏切りにあい、王国を追われ、黒太子のいるイギリスの援助を得ます。王女たちを黒太子にあずけたまま帰国、マルティン・ロペスたちとエンリケを追い出すためにドン・ペドロは奮戦している状態でした。トレドを守るため、ロペスにカルモナの警護を命じて出陣していく王。前半はマルティン・ロペスの回顧を中心に展開されます。王が危機に陥っている、という知らせを受けたロペスが駆けつけようとするも、途中で、エンリケとフランス王の家臣デュ・ゲクラン(佐藤賢一の「双頭の鷲」の主人公)の策略にはまりドンペドロが謀殺されたという知らせを受けます。ロペスはカルモナに戻り、激しく抵抗するも、2年後、飢餓に苦しみ降伏。あくまで卑劣なエンリケは全員の命を救うという約束を反故にし、ロペスとやはり忠実な家臣だったマテオス・フェランデスを暗殺、遺児たちを投獄してしまうのでした たぶん、このあたりまでが前編なのでしょう。史実通りとはいえ、あまりにむごすぎる...

でもそこで終わらなかったんですね。あまりにも卑劣なエンリケにとうとう天罰がくだる時がきました。エンリケに苦しめられ続けたカタリナの復讐がなんともこわいです。エンリケの死後、混迷を続けるカスティリア。一方、ドン・ペドロの長女ベアトリスの死後、次女コンスタンシアは正当なカスティリア女王として成長したのですが、ロドリゲスの庇護を受けて黒太子の弟にあたるイギリス王子と結婚しました。コンスタンシアが、混迷の只中にあるカスティリアで、いかにドン・ペドロの復権を果たしたか...を中心に後半は話が展開されていきます。そして実際にドン・ペドロが暗殺される場面、ベアトリスが病死する場面が描かれ...最後はコンスタンシア自身の手で内戦に終止符が打たれます。ドン・ペドロの死より19年たっていました。

お話の実質的な最後になるカットが印象的です。ベールをなびかせながら、カスティリアの大地に立ち尽くす姿もよければ、幸せだったころの人たちが勢ぞろいするカットもうれしい。

そして後日談が手短に語られ、アルカサルの絵と王の記念碑、ロペスの眠る教会の絵でお話は締めくくられます。

これだけの内容を200ページでまとめてしまった力技は、すごいとしかいいようがありません。たしかにもう少しページ数を描いてほしかったような気もしないでもありません。が、ともあれ完結したことに拍手。おつかれさまでした。

公式ホームページによりますと、描ききれなかったエピソードの外伝がかかれるかもしれないということで、もう少しお楽しみは続きそう

下のインタビューもおもしろかったですよ。よかったらどうぞ。


24年越しで歴史漫画を完結 青池保子さんに聞く

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